桜才学園での生活   作:猫林13世

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そういえば原作でもタカトシと森さんの距離が近づいてた気が……


タカトシの隣を狙って

 食事を済ませ、私たちは片づけを勧めている。タカトシに頼り過ぎるのもあれなので、今回はタカトシには休んでもらっている。

 

「スズ先輩、タカ兄のスプーンを持って何を考えてるんですかー?」

 

「別に何も考えていないわよ! てか、アンタだってタカトシのコップを睨みつけて何を考えてるのよ」

 

「間接キスしたいなーって」

 

「相変わらずぶっ飛んでるわね……」

 

 

 実の兄と間接キスしたいなんてかなりアブノーマルよね……

 

「こ、これがタカトシ様が使ったお皿……」

 

「出島さーん?」

 

「……はっ! 私は今何を……」

 

「出島さんが興奮するのも仕方ないと思いますけどね。私もタカ君の使ったお皿を舐めたいですし」

 

「会長も自重してください」

 

 

 ほんと、タカトシの周りには変態しかいないのね……まともなのは私と森さんの二人だけだし……

 

「そういえばシノ会長は何処に行ったんですか?」

 

「シノっちは珍しくくじ引きで当たりを引いたのでタカ君と一緒に休憩中です」

 

「シノちゃんが当たりを引くなんて珍しいわよね」

 

 

 確かに会長が当たりくじを引くなんて、今まであったかしら……まぁ、今回はタカトシと同じテントだし、会長にもツキがめぐってきたのかしらね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 向こうでみんなが片づけをしている中、私はタカトシと二人きりでのんびり過ごしている、

 

「何だか落ち着かないですね」

 

「な、何がだ?」

 

 

 もしかして私と二人きりが気に食わないというのだろうか……

 

「いえ、他の人に仕事させておいて俺がのんびりしてるってこの状況が落ち着かないんですよ」

 

「そ、そういう事か……」

 

「何をそんなに焦ってるんですか?」

 

「何でもないぞ! というか、お前は働き過ぎなんだから、少しくらい休んだらどうだ」

 

「そんなに働いてるつもりは無いんですが……」

 

「タイムスケジュールを書き出せば分かるはずだ。お前は人より働いてるって事が」

 

 

 少なくともコトミよりも働いているだろうし、私たちでって太刀打ち出来ないくらいの働きっぷりだろう……

 

「出島さんが淹れてくれたお茶でも飲んでまったりしたらどうだ?」

 

「はぁ……」

 

 

 落ち着かない雰囲気が凄いが、タカトシは視線を水平線に向けてお茶を飲んでのんびりしはじめた。

 

「お前、本当に年下か?」

 

「学年が下なんですし、留年もしてないので年下です。それでも納得出来ないなら、無人島から戻ってから保険証でも見せますよ」

 

「そこまでしなくてもいいが……やっぱり年齢より経験なのか」

 

「何の話ですか?」

 

「私やアリア、カナがお前より年上に見られないって事だ」

 

「どうなんでしょうね?」

 

 

 タカトシはあまり興味なさそうに相槌を打って、もう一度水平線に視線を向けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 片づけを済ませ、私たちはそれぞれのテントに別れて寝ることにした。

 

「それで、どの位置で俺は寝ればいいんですか?」

 

「タカ君はお義姉ちゃんの隣で寝ればいいんですよ」

 

「待てカナ! ここは公平にじゃんけんだろ!」

 

「じゃんけんするのは良いですけど、どうやって決めるんですか?」

 

 

 タカ君の疑問に、シノっちは固まって小さく頷いた。

 

「勝った人間から場所を選んでいけばいいんだ! もちろん、タカトシは真ん中のどちらか以外選べないからな」

 

「何ですか、その決まり……」

 

 

 タカ君は嫌そうな顔をしてたけど、文句を言ったからと言ってシノっちが引き下がるわけがないと理解してるからか諦めて視線を逸らしました。

 

「それじゃあじゃんけんをするぞ!」

 

「シノっち、タカ君が真ん中のどちらかしか選べないという事は、最初に勝った人が真ん中のどちらかを選べば必然的にタカ君の寝る場所が決まるって事ですよね?」

 

「そうだな!」

 

「つまり、タカ君は一回負ければじゃんけんをする必要がないと?」

 

 

 首を傾げながらタカ君に視線を向けると、疲れた表情でタカ君は頷きました。

 

「会長のルールなら、そうなるでしょうね。もちろん、最初に勝った人が端っこを選べば二回目もじゃんけんする必要があるでしょうけども」

 

「大丈夫だよ。タカ君の隣で寝たくない人なんてここにはいないから」

 

 

 シノっちはもちろんのこと、私だってサクラっちだってタカ君の隣で寝られるチャンスを不意にするつもりは無いのだ。

 

「それじゃあ行くぞ! じゃんけんぽん!」

 

 

 シノっちの音頭で、私たちは一斉に手を突き出す。タカ君とサクラっちがチョキ、私とシノっちがパーだった。

 

「な、何故だ……」

 

「サクラっちが勝つなんて……」

 

 

 そのままサクラっちがタカ君に勝って、真ん中を選択。必然的にその隣がタカ君という事になった。

 

「カナ、真剣勝負だ!」

 

「シノっちとの仲とはいえ、こればかりは譲れません!」

 

 

 精神を集中させて、私とシノっちは何を出すかを考えながら、相手の考えを読もうと真剣な表情で睨み合う。

 

「なんかすごい気合いですね……」

 

「ちょっと身の危険を感じるのは気のせいですかね……」

 

 

 タカ君が身震いをするのを横目で、私とシノっちはじゃんけんする。

 

「これが私の実力だー!」

 

「くっ……今回はシノっちの勝ちですね……」

 

 

 普段ならシノっちが負けて絶叫するパターンなのですが、今回は私が負けてしまいました。シノっちがタカ君の隣の端を選び、私がサクラっちの隣の端で寝ることになりました。




津田さんだったのが津田君になってたし……

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