桜才学園での生活   作:猫林13世

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伝説のあの案内です。


校内案内

「明日は大事な会議をするから遅れずに来るんだぞ。」

 

 

そう言われたのだが・・・

 

「スミマセン、遅れました!」

 

 

指定された時間に遅れた。

まったく情けない、自分が・・・

 

「遅い!今日は大事な会議だと言っただろうが!」

 

 

生徒会室には俺以外の役員が揃っていた。

まあ当たり前か。

既に集合時間から5分過ぎてるもんな。

 

「いや・・・道に迷いまして」

 

 

完全に言い訳だが、事実なので正直に話す事にした。

 

「そうか、津田はまだ入学して日が浅いからな。」

 

「ええ、まあそう言う事でして・・・」

 

 

予め下見に来ていないし、生徒会に入るつもりも無かったので生徒会室までの最短距離なんて分からない。

これは早いところ覚えないとまた同じ失敗を繰り返しそうだぞ。

 

「よし!今日は私が津田のために校内を案内してやろう!」

 

「あの、大事な会議は?」

 

「そんなもの、移動中にすれば良いだろ!」

 

「それってそんなに大事じゃないよね!」

 

 

思わずツッコミを入れてしまった。

 

「ほら津田君?行くわよ。」

 

「ええ!案内するのって決定なんですか!?」

 

「だってまた迷子になったら大変でしょ?」

 

「それはまあ・・・」

 

 

確かにこの年で迷子になるのは恥ずかしいしな。

会長が大丈夫と言うのなら大丈夫なんだろう。

そう思う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ行くぞ!」

 

 

気合の入った会長に連れられ、急遽決まった桜才学園案内ツアーに出発した。

 

「此処が保健室だ。」

 

 

何故一番が保健室?

 

「此処が女子更衣室だ。」

 

 

此処を案内されて如何しろと?

 

「此処が普段使われていない無人の教室だ。」

 

 

使ってないなら何故案内した・・・

 

「男子生徒が聞くとドキッとする場所から優先的に案内してるんだが・・・不満か?」

 

「うん。」

 

 

現在地は体育倉庫。

普通は体育館が先じゃないのか?

そもそも男子生徒が全員そんな事ばっか考えてる訳じゃないですよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が私とシノちゃんが在籍している教室よ。」

 

「そうなんですか~。」

 

 

2-Bの教室前。

天草会長と七条先輩は同じクラスのようだ。

 

「何か分からない事があったら気軽に聞きに来てね。」

 

「ええ、もし何かあったら聞きに来ます。」

 

 

恐らくは無いだろうが・・・

 

「でも、こうして見ると少子化が悪いって事も無いわね。」

 

「へ?」

 

 

何故いきなり少子化の話に?

 

「3年になってP組まであったら大変だもの。」

 

「クラスのイメージカラーはピンクだな!」

 

「もう何いってるの!?」

 

 

往来の場所でなんちゅう事言い出すんだ、この二人は。

見ると萩村も呆れて口をポカンと開けている。

如何やら萩村は正常な思考の持ち主らしい。

良かった、俺だけじゃツッコミきれないからな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が女子専用トイレだ。男子は教職員用のトイレを使用するように。」

 

「じゃあ何で案内したんですか・・・」

 

 

そもそもトイレの場所は真っ先に確認したから知っている。

共学したてだからしょうがないが、もう一個くらい男子トイレを作ってくれないかな?

 

「ちなみに、此処では用を足す以外にナプキンを装着したりする!」

 

「聞いてませんよそんな事・・・」

 

 

またおかしな事を言い出したぞ、この人・・・

 

「チョッとシノちゃん!」

 

 

おお!七条先輩がツッコミをしてくれるのか?

 

「私はタン○ン派よ!」

 

 

・・・はい?

 

「すまない。つい自分を基準に考えてしまった。」

 

「い~いシノちゃん、私は・・・」

 

「もういい!」

 

 

再びおかしな事を言いそうになったので強制的に打ち切った。

 

「毎回続くの?この感じ。」

 

「私はもう慣れた。」

 

 

俺は慣れたくないんだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会長、お疲れ様です。」

 

「ああ。」

 

 

移動中に会長が挨拶された。

変なとこがあるけど、やっぱり会長は尊敬されてるんだろう。

 

「挨拶されるなんて、さすが会長ですね。」

 

「まあ慕われなければ人の上に立てないからな。君も尊敬される副会長になれるように頑張るんだね。」

 

「いやぁ~俺はそう言うのチョッと苦手でして・・・」

 

 

はっきり言って、俺は誰かに尊敬されるような人間では無い。

しかも半ば強引になった副会長だ。

一応は頑張るが、尊敬されるような副会長にはなれないだろうな。

 

「もしかして蔑まれたいのか?Mなのか?」

 

「発想が極端すぎるんだよ!」

 

 

そもそも俺はMでは無い。

少なくとも蔑まれて喜ぶような変態的思考は持ち合わせていないはずだ。

 

「それじゃあ君はSなのか?」

 

「しらねえよ!大体なんでこんな所で聞くんだよ!!」

 

「好奇心のなせる業だな!」

 

「そんな思考は怠けてしまえ。」

 

 

本当そう思う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が屋上よ。」

 

「まあ見れば分かるよ。」

 

 

屋上に来て萩村がイキイキとしている。

 

「高い場所好きなの?」

 

「まあね。人を見下ろせるから。」

 

「ふ~ん・・・」

 

 

見下ろせるね・・・

確かに高場所に居れば見下ろせる(みお)が、その内見下す(みくだ)にならなければ良いけど・・・

 

「笑いたきゃ笑えば良いじゃない。」

 

「別に笑わないよ。」

 

 

考え方なんて人それぞれだからな。

 

「ところで会長はコッチ来ないんですか?」

 

「いや、私はいい。」

 

「ひょっとして高い場所苦手なんですか?」

 

「な!?そ、そんな訳無いだろ!」

 

 

そう言ってコッチに来る会長。

足がガクガク震えている・・・

 

「でも、足震えてますよね?」

 

「こ、これは・・・」

 

「これは?」

 

 

さて、どんな言い訳が飛び出すかな。

 

「た、楽しくて膝が笑ってるのさ!」

 

「上手い事言ったつもりでしょうが、それほど上手くないですよ。」

 

 

そもそも膝が笑うって疲れて膝が言う事聞かないって意味だよな。

屋上に来て疲れた・・・正直意味が分からないぞ。

 

「もしかしなくても高い場所苦手なんですね。」

 

「シノちゃんにも苦手なものはあるのよ。」

 

「まあそうでしょうね。」

 

 

人間誰しも苦手なものくらいあるか・・・

 

「いきり立った肉の棒とか!」

 

「その口閉じろ!」

 

 

何でこの先輩はそっち方向に話を持っていきたがるんだ?




うん、この話は漫画よりアニメで見たほうが面白いな・・・
しかし、実際にこんな案内されたら引くぞ。

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