明日は生徒会の親睦を深める目的で海水浴に行くのだが、風紀委員長と他所の学校の人もくるんだから、生徒会の親睦を深めると言う目的からは外れてるんだろうな。
「良いな~タカ兄ぃは、私も海に行きたいな~」
「お前は今年受験生だろ。遊んで無いで勉強してろ」
「タカ兄ぃ、やろうとしてる人間に『やれ』って言うのは逆効果だよ! エッチの時も……」
「お前は言われなきゃやらないんだから良いんだ」
「だから最後まで言わせてよ~!」
如何して口を開けばおかしな事しか言わないんだ、この妹は……
「帰ってきたら勉強見てやるから、それまで大人しく一人で(勉強)してるんだな」
「うん! タカ兄ぃが帰ってくるまで一人で(オ○ニー)してるよ!」
……何か致命的にズレたような気がするんだが……まぁ良いか。妹の事は兎も角これで如何にかなった。問題は明日だ。
元々は横島先生の車で行く予定だったのだが、人数が増えた為に七条先輩の家でも車を出してくれるようなので、二台で分乗していくようなのだが、どちらに乗るかは当日決めるとの事なのでちょっと不安だ。比率とか大丈夫だよな?
翌朝、6時に桜才学園校門前集合との事なので、俺は電車を使って行く事にした。さすがに荷物を持って一駅分を歩くのは疲れるからな。
「あら、津田さん」
「魚見さん。おはようございます」
電車に乗り込んだら英陵の魚見さんがちょうどその車両に乗っていた。面識はあるが、殆ど初対面の人相手に何を話せば良いんだ……
「昨日はシタんですか?」
「? 何をです?」
「オ○ニーを!」
「してねぇよ! あと公共の場所でそんな事を言うな!」
さすが会長と趣味があうだけある、この人も変態畑の人だった。
「そのツッコミ、ウチの生徒会役員にも匹敵しますね」
「そうですか……」
結局グダグダのまま駅から学園までの道程を過ごした。如何して俺の周りにはボケばっかり集まるんだろう……
「おはよう津田、魚見さんもおはようございます」
「二人共、おはよ~」
校門に着いた時には、七条先輩と萩村が既に来ていた。
「おはようございます」
「あれ? シノッチは」
「会長と五十嵐先輩はまだ……」
「私は居ます!」
「カエデちゃん、おはよ~」
如何やら会長が最後のようだ。何だか会長が最後って珍しい気がする……
「待たせたな!」
「会……長?」
「シノッチ、さすがですね!」
「シノちゃん分かってる~」
イルカの浮き輪を膨らませた状態で持ってきた会長は、その場で浮き輪に跨って上下運動を始める……俺はツッコまないからな。
「それじゃあ横島先生の車と、出島さんの車、どっちが良い?」
「メイドの出島です」
本当に居るんだ……さすがお嬢様だけある。
「此処は公平にジャンケンと行こう」
「勝った人が津田さんの上に……」
「はいはい、勝った人から順番に選びましょうね」
道中で魚見さんの扱いに慣れた俺は、ボケを途中で流して元の話の流れに戻した。
「津田のスキルが上がってる……」
「随分扱いに慣れてますね……」
萩村と五十嵐さんが何故だか面白く無さそうな目で見てきてるけど、何か俺やらかしたか?
ジャンケンの結果、横島先生の車に俺と魚見さんと五十嵐さんが乗り、出島さんの車に桜才生徒会メンバーが乗る事になった。
「助手席には荷物が置いてあるから、アンタらは後部座席ね」
「それでは津田さんが真ん中で」
「いや、五十嵐さんは俺と接しない方が良いんじゃないですか?」
「だ、大丈夫です!」
だって既に震えてるじゃないですか……そもそも何で俺と一緒の方を選んだんだろうこの人は……
「それじゃあ津田、アンタが真ん中で良いのね」
「そうみたいですね」
結局五十嵐さんが大丈夫と言い張ったので俺が真ん中に……泳ぐ前から疲れてきたぞ……
海に到着して、女性人の着替えが終わるのを待ってる間にパラソルなどを設置しておく。横島先生も意外と準備が良いんだな。
「待たせたな!」
会長が腰に手を当てて立っているが、正直何故あそこまでテンションが上がってるのか理解出来ない。人ごみは苦手なんだよ、俺は……
「津田さんに一つだけ忠告を」
「はい?」
メイドの出島さんが何時の間にか背後に立っていた。
「お嬢様にもしもの事があったら、責任取ってもらいますからね」
「責任?」
「貴方の息子を引き抜きます」
「はぁ……」
息子? 息子ってなんだろう……俺はまだ子供なんて居ないんだが……
「それじゃあ引率の横島先生から一言」
「皆羽目を外しすぎないように、ハメるのは良いけど」
「どっちも駄目だろ」
何でこの人が引率なんだか……あっ、生徒会顧問か。
「よし! 遠泳でもするか!」
「負けないよ~」
「シノッチには勝ちますからね」
「えっと、私も?」
「やりますか」
「私は遠慮します、足が届かない場所では泳がない主義なので」
ほう……
「誰だ今ビニールプールを想像したのは!」
萩村に追いかけられる形で全員が逃げ出した。多分俺だけじゃなかったのだろう……てか、五十嵐さんもか……
萩村から逃げ切った私たちだが、津田の姿が見当たらない……何処に行ったんだ?
「シノちゃん、あそこに居るよ~」
「何!?」
アリアの指差したのは、遊泳区域ギリギリのブイだった。そうか、アイツは泳ぎが得意だったんだな……
「さすが津田だな……」
「まるでお魚さんだね~」
「一応見たことありますが、もの凄い泳ぎですね」
「私は初見ですが、津田さんって運動得意なんですね」
結局遠泳勝負は津田の勝ちか……せっかく勝って津田に何か言う事を聞かせるつもりだったのに……
「あっ、戻ってくるよ~」
アリアが無邪気に津田の事を見ていたら……
「あ、足が!?」
「五十嵐!?」
五十嵐が足を攣って溺れかけた。如何しよう、此処から浜辺まで結構あるし、私たちじゃ五十嵐を引っ張って向こうまで泳ぐ自信が無いぞ……
「お、おちちゅいてください!」
「ウオミーが落ち着け!」
「如何しよう……」
私たちが慌てている間に、五十嵐が沈んで行った。と、とりあえず五十嵐を引っ張り上げなくてはいけないな。
「プハァ! ケホッ!」
「五十嵐!」
意を決して潜ろうとしたら、五十嵐が出てきた。自力で出てきたのか?
「何してるんですか! 溺れた人を放って置くなんて!」
「津田君!?」
「様子が変だから慌てて来てみれば、普段ふざけてるくらい余裕な感じなんですから、こう言った時も冷静に対処して下さいよ!」
「スマナイ……」
「ゴメンなさい……」
如何やら津田が慌てて五十嵐を引っ張り上げたようだった……それにしてももの凄い心肺能力だな。
「一先ず浜辺に戻りましょう。五十嵐さんは俺が運びますから」
そう言って津田は五十嵐の手を引っ張ってゆっくりと泳いでいった。
「津田さん、かなりカッコいいですね」
「ウオミー!?」
「カエデちゃん、良いな~」
ウットリと津田を見つめているウオミーとアリアを見て、私はもの凄く焦った。まさか二人がライバルになるなんて思って無かったぞ……
完全にウオミーとアリア、シノはタカトシを意識してます。もちろんカエデも……
意外とタカトシは性知識に疎いです。