桜才学園での生活   作:猫林13世

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男子が見てたら問題ですね……


スカート問題

 今日も風紀を取り仕切る為に校内の見回りをしていたら、階段を昇る女子がスカートの後ろに手をやっているのが目に入った。

 

「パンツが見えそうならもう少し丈を長くすれば良いものを」

 

「天草会長……いつの間にいらしたんですか?」

 

「ついさっきだ」

 

 

 注意しに行こうとしたタイミングで話しかけられたので、ちょっとだけ驚いてしまいました。

 

「しかし、五十嵐が見つけたからまだよかったものの、これが男子生徒だったらいろいろと問題だな」

 

「ですね」

 

 

 ただでさえ最近また風紀的によろしくない傾向になりつつあるのに、覗き事件にまでなるといよいよ風紀委員では取り締まることが難しくなってしまいますしね。

 

「一度タカトシを交えて話し合った方が良いかもしれないな」

 

「タカトシ君、ですか?」

 

 

 何故ここで彼の名前が出てきたのか、私には理解出来なかった。女子のスカート丈の問題なのだから、七条さんや萩村さんの方が良いのではないだろうか。

 

「女子の我々が注意するよりも、男子のタカトシが注意した方が羞恥心を煽ることが出来るだろ?」

 

「タカトシ君が引き受けてくれるでしょうか」

 

「服装の乱れを注意するのは生徒会もだからな。さらにタカトシは副会長で男子だから女子目線ではない意見も出てくるかもしれない」

 

「第三者的意見、というわけですか……確かにそういった目線からの意見も必要でしょうね」

 

 

 おしゃれをしたいという気持ちも分からなくはないですし、私だって少しくらいはしてみたいと思わなくはないですしね……もちろん、風紀的問題があるのでしませんけど。

 

「更に、アイツには年頃の妹がいるからな。そういった目線でも何か新しい意見が出てくるかもしれない」

 

「それは、どうなんでしょうか……てか、さっき津田さんのスカートの丈が短すぎると注意したばかりなのですが」

 

 

 タカトシ君は凄く真面目なのに、何故妹の津田さんは何度も注意させるのでしょうか……成績の面でも安定していないようですし、少しはタカトシ君を見習ってほしいですね。

 

「とりあえず五十嵐、後程生徒会室に来てくれ」

 

「分かりました。見回りが終わり次第伺わせてもらいます」

 

 

 天草会長と別れて、私は再び校内の見回りをはじめ、同じような光景を三回目撃したのだった……皆さん、風紀を乱し過ぎてますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五十嵐が来る前に、私は生徒会役員に先ほど見たことを話す事にした。

 

「階段を昇る時に手を後ろにあてている女子が最近目立っているんだが、みんなはどう思う?」

 

「確かに見かけるね~。あれって風紀委員的にどうなんだろう?」

 

「先ほど五十嵐にも聞いたが、注意した方が良いのではないかという事になった」

 

「特に一年生に多いみたいですね。二年生にもちらほらと見受けられるようですが」

 

 

 萩村の情報に、私は一度頷いてからタカトシに視線を向ける。

 

「男子から見て、そういう女子はどう思うんだ?」

 

「制服でおしゃれをしようとしなくてもいいのではないか、とは思いますね。校則違反ですし、風紀委員でも問題になっているなら注意するべきだと思います」

 

「実は、先ほど五十嵐がコトミの服装を注意したらしいが」

 

「アイツは……」

 

 

 妹が注意されたと知り、タカトシは頭を押さえて苦々しげに呟いた。

 

「そこでこの後、五十嵐を交えてどう注意すべきかを話し合おうと思っている」

 

「それって俺がいて良いんですか?」

 

「タカトシには異性から見たそういう行動に対する評価を述べてもらいたい」

 

「実際にそういう場面に出くわしてたら、注意するとは思いますが、異性に見られてたと知った場合どういう反応をするか分からないのですが……皆さんならどういった反応をしますか?」

 

「脛を蹴り飛ばすわね」

 

「いきなり物騒だな……」

 

 

 萩村の回答に、タカトシは戦いたような表情を浮かべる。確かに、見られていたと分かったら何かしらの制裁を加えるかもしれないな……

 

「タカトシ君にだったら見られてても良いけど、他の男の子に見られてたらちょっと嫌だな~」

 

「何故俺ならいいんですか……」

 

「だって、タカトシ君になら私の全部を見られても良いって思ってるから」

 

「わ、私だってタカトシになら見られても良いぞ!」

 

「だからって見せようとはしないでくださいね?」

 

 

 あまり参考にはならなかったようだが、タカトシはとりあえず私たちの意見を聞いて結論を出すようだった。

 

「実際に問題になる前になにか手を打っておかないと、男子生徒はおちおち階段前を歩けなくなりそうですね。もちろん、見なければいいだけですが、この場合女子にも問題があるわけですし、何かしらの罰を設けるのが一番早いかと思います」

 

「そもそも校則違反なわけだしな。だが、罰を設けると言っても具体的には?」

 

「その辺りはカエデさんを交えて話し合った方が良いでしょうね。実際に取り締まるのは風紀委員会なわけですし」

 

「生徒会はあくまで注意と警告だけだからな」

 

 

 取り締まろうとすれば出来ないことは無いのだが、そうなると風紀委員会の仕事が大幅に減ってしまい、存在価値も減ってしまうからな……

 

「参考までに、タカトシは帰ってコトミにどうやって注意するんだ?」

 

「別に特別な事はしませんよ。普通に怒って、それでも直らなければ……さて、どうしましょうか」

 

「こ、怖いぞ……」

 

 

 タカトシの雰囲気の所為で、生徒会室の温度が下がったような錯覚に陥り、私たちは自分の身体を抱きしめたのだった。




そこまで短くする意味っていったい……

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