桜才学園での生活   作:猫林13世

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私立は厳しいんだなぁ……


生徒会役員の持ち物検査

 近頃不要なものを持ってきている生徒が多いと聞く。部室を見回ったりしてきたが、全員が部活に入っているわけではないので、それで全員を調べたとは言えないだろう。

 

「――というわけで、明日持ち物検査をすることになった」

 

「確かに不必要なものを持ってきてる生徒が多いとカエデさんが言ってましたね」

 

「何時五十嵐から聞いたんだ?」

 

「ついさっきですが」

 

 

 タカトシは見回りに出ていたから、その時に五十嵐と会ったのだろうが、情報交換する時間はあったのだろうか?

 

「私も聞きました。どうやら男子に多いようです」

 

「なるほど……エロ本でも持ち込んでるんだろうか」

 

「学校で発散するのは良くないと思うけどな~」

 

「普通に漫画とかそういう発想は出ないんですか?」

 

 

 タカトシが呆れた表情でこちらを見てきたので、私とアリアは気まずげにタカトシから視線を逸らした。

 

「情報を知っている我々だけ今から持ち物検査をするから、カバンの中身を机の上に出してもらう」

 

「特に何も入ってませんが」

 

 

 真っ先に中身を出したタカトシだが、確かに普通のものしか入ってないな……ん?

 

「これはなんだ?」

 

「えっ? あぁ。さっきコトミから没収した漫画です。後で取りに来させるつもりだったのを忘れてました」

 

「またアイツか……」

 

 

 この間スカートが短いと叱ったばっかりなのに、またなのか……タカトシが疲れ果てている理由も分かる気がするぞ……

 

「次はアリアだが、DVDは学校に必要ないな」

 

「それ、畑さんから借りてたやつなんだ~。今日返そうと思ってたんだけど、彼女見当たらなくって」

 

「そういう事情なら仕方ないが、なるべく学校で貸し借りはしないように」

 

「ごめんなさい」

 

 

 形だけの注意になってしまったが、アリアはこれで反省するだろうから問題ないだろう。

 

「萩村、このボールはなんだ?」

 

「健康グッズです。血行を良くして身体の疲れを抜いたり出来ます」

 

「ちょっと試していいか?」

 

「どうぞ」

 

 

 萩村から健康グッズを借り、試しに使ってみる。これは確かに気持ちいいな……

 

「まぁ、これくらいならいいだろう」

 

「最後はシノちゃんだね~」

 

「なにっ!? あっ、いや……別に大したものは入ってないぞ?」

 

「それは俺たちで判断しますので、大人しくカバンの中身を出してください」

 

「はい……」

 

 

 タカトシに睨まれたら、私に逆らう事など出来ない。大人しくカバンの中身を机の上に並べていく……

 

「これは、タカトシ君の隠し撮り写真?」

 

「き、昨日畑から貰ったのを忘れてて……」

 

「まさか、買ったんですか?」

 

「ち、違うぞ! サンプルだからと無理矢理……あ、アリアや萩村だって貰ってるぞ!」

 

 

 苦し紛れの言い訳だったが、アリアと萩村は想像以上に慌てだした。

 

「その件は後日、畑さんを交えてゆっくり話しましょうか」

 

「「「は、はいぃ……」」」

 

 

 タカトシの素敵な笑顔に、私たちはそう答えるしか選択肢が無かった……あの笑顔は逆らったら危ないと思わせる何かがあるしな……

 

「タカ兄ー! 漫画返してー!」

 

「丁度いいところに来たな。今からお説教だ!」

 

「えーっ!? てか、シノ会長たちは何で涙目なんですか?」

 

「な、何でもない! そんな事より、お前はこの前反省文を書いたばかりなのに、また怒られるようなことをしてるようだな!」

 

「トッキーにお薦めしようとしただけですって」

 

「そういう事は校外でやるんだな」

 

「すみませーん」

 

 

 あまり反省している様子は見られないが、私たちも強く怒れる立場ではないので、後はタカトシに任せるとしよう。

 

「次持ってきてるのを見つけたら、容赦なく生活指導部に呼び出しにするからな。ただでさえお前は遅刻やら居眠りやらで目を着けられてるんだ。これ以上余計なものは持ってこないように」

 

「ゴメンなさい……あっ、そういえばタカ兄。今日はお義姉ちゃんが来てくれるから、晩御飯の用意はしなくていいって」

 

「分かった。その分、お前の説教に時間を使うとしようか」

 

「そ、そんなことより、たまにはのんびりしたらどう?」

 

「そうしたいところだが、残念ながら俺は今日バイトだ。だから義姉さんに晩御飯の用意を頼んだんだ」

 

 

 どうやらカナがタカトシの家に行くのはタカトシが頼んだかららしい。カナに頼まなくても我々がそれくらいしてやるのに……やはり、義姉弟という関係は強みなのか……

 

「とりあえず、これは返しておくが、今後持ってこないように」

 

「はーい」

 

「もしまた持ってきてたら、今後一切お前のテスト前勉強は手伝わないし、赤点補習になっても面倒見ないからそのつもりで」

 

「はい! 今後二度と余計なものは学校に持ち込まないと誓います!」

 

 

 背筋を伸ばしてはっきりと宣言するコトミを見て、ますますタカトシとの力関係がはっきりしてきたなと感じさせられた。

 

「それじゃあ、今日はもう帰って良いぞ。洗濯物だけはお前がしまっておけ」

 

「はい! 失礼しました!」

 

 

 まるで上官を相手にしているようなコトミの態度だったが、それだけタカトシを怒らせたら大変だと言う事を知っているのだろうな……

 

「さて、俺たちも帰りますか」

 

「そうだな」

 

「あっ、写真の事はしっかりと聞かせてもらいますので、後日覚悟しておいてくだいね」

 

「わ、分かってる」

 

 

 コトミので誤魔化せたと思ってたのだが、やはりダメだったようだ……




普通にゲームとかしてたな……

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