桜才学園での生活   作:猫林13世

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これから夏だというのに……


読書の秋

 読書の秋ということで、我々新聞部はエッセイのみの新聞を発行しようと話し合い、津田先生に交渉に赴いた。

 

「――と、言うわけでして、来週までにもう一本お願いできませんかね? もちろん、報酬は弾みますので」

 

「弾むといわれても、特に何かを貰ってないんですが」

 

「渡そうとしても津田先生は断るじゃないですか」

 

「てか、その『先生』って何ですか?」

 

「またまた。桜才学園きっての作家先生じゃないですか」

 

「煽ててもこの前のカエデさんに対しての密着取材の件は許しませんからね」

 

 

 この間風紀委員長に密着取材していたら津田副会長に怒られたんですよね……まだ覚えてたか。

 

「その件は後程ということで、どうにか一本、お願いできませんか?」

 

「そもそも何で今になってそんな話をするんですか……もう少し前に言ってくれれば何とか出来たかもしれないのに」

 

「今月は良いネタが無かったので、津田副会長のエッセイで誤魔化そうと思いまして」

 

「正直に言えば何でも許されると思うなよ」

 

「まぁまぁ、津田副会長のファンが多く、前々からエッセイを増やしてくれという意見が新聞部に来ているので、この機会にお願いしてみようという運びになったわけです」

 

「今から一本となると、かなり厳しいんですが……具体的にはどの程度のものを期待してるんですか?」

 

「先日頂いたものの半分程度で結構です。文字校正はこちらでしますので、津田先生は誤字脱字など気にせず進めてください。まぁ、何時もほぼ完璧ですから、こちらとしても助かっているのですが」

 

「あれの半分で良いなら何とかなるか……」

 

 

 そう呟いて、津田副会長は虚空に視線を向けて考え込んだ。恐らく、頭の中のスケジュール帳を確認しているのでしょうね。

 

「なんでしたら、こちらで津田先生の代わりを務めましょうか? 家事やコトミさんの相手くらいなら私がしますので」

 

「大丈夫です。今日から義姉さんが泊りに来るので……間に合わなくても文句は受け付けませんからね」

 

「その時は、天草会長が生徒会室でバストアップ体操をしてた写真を載せますので大丈夫です」

 

「また盗撮してたのか、アンタは……」

 

「あっ……」

 

 

 今回は完全に自爆でしたね……この後、津田副会長にこっ酷く怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ君の家にお泊りするにあたり、一人じゃ心許ない感じがしたので、サクラっちを誘って二人でタカ君の家にやって来ました。

 

「いきなり私も泊まることになって大丈夫なのでしょうか……」

 

「大丈夫。お義母さんの許可は貰ってるから。それに、サクラっちにお願いするのは、私が料理とかやってる時のコトミちゃんの監視だから」

 

 

 どうやらコトミちゃんは、生活指導部に目を付けられているくらいの問題児らしいので、生活態度を改善させるために私が呼ばれたのだ。だが、タカ君が急に忙しくなってしまったので、家事一切を私にお願いしたいと先ほどメールを貰い、そういう事ならとサクラっちを増援として呼んだのだ。ちなみに、何故サクラっちなのかというと、他のメンバーではタカ君の邪魔をしかねないから……

 

「しかし、いきなりもう一本エッセイをお願いされても、普通なら断りそうですがね」

 

「タカ君はなんだかんだで優しいですし、大勢のファンの声を無視するのは申し訳ないと思ったのかもしれませんよ。散々せっついた甲斐がありました」

 

「会長の案だったんですね……」

 

「もちろん、私だけではありませんがね」

 

 

 タカ君のファンは、桜才学園だけではなく英稜にも大勢いますし、私一人がせっついてたとは思えませんしね。

 

「すみません、義姉さん。いきなり全てをお願いする形になってしまって」

 

「気にしないでください。その代わり、感動できるお話を期待してますので」

 

「あんまり期待されても困るんですがね……サクラさんも、急に申し訳ありませんでした」

 

「私はあくまでもお手伝いですから」

 

 

 タカ君はもう一度申し訳なさそうに頭を下げてから、エッセイ作成の為に自分の部屋に引っ込んでしまった。

 

「さてと……コトミちゃん? 逃げちゃ駄目だからね」

 

「わ、分かってますよ……ちょっとコンビニにお茶とお菓子を買いに行こうと思っただけですって」

 

「それならタカ君から指示を受けて、私たちが買ってきたから大丈夫だよ」

 

「くっ、優秀な兄が憎い……」

 

 

 コトミちゃんが逃げ出す口実として使うかもしれないから、というメールを貰い、この家に来る前に私とサクラっちで先に買ってきたのだ。これでコトミちゃんが家から逃げ出す口実に使えないからと……

 

「それじゃあさっそく、数学の復習からしようか。サクラっち、監視をお願いね。その間に私は洗濯物を取り込んでおくから」

 

「分かりました。コトミさん、部屋に行きましょう」

 

「勉強したくありません!」

 

「タカ君に見放されて、この家を追い出されたいならしなくてもいいよ?」

 

「さぁサクラ先輩! いろいろと教えてください!」

 

「……よっぽど追い出されるのが怖いんですね」

 

 

 私の脅しにコトミちゃんはあっさりと部屋に向かい、その姿を見たサクラっちが呆れたように呟いてその後に続いた。まぁ、自活能力皆無なコトミちゃんがこの家を追い出されたらどうなるか、想像するのは簡単ですからね。




コトミの先読みをするタカトシでした
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