桜才学園での生活   作:猫林13世

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当然の如く、コトミは寝てます……


早朝のキッチン

 朝食の準備をするためにキッチンに降りたのですが、既にタカ君が終わらせていました。相変わらずの早起きでお義姉ちゃんは嬉しいのですが、これじゃあ何のためにお泊りしたのかが分からなくなってしまいますね。

 

「タカ君は休んでてよかったのに」

 

「いえ、昨日ほぼ全てを頼んでしまったのでこれくらいは。それに、どうせ学校がありますから」

 

「タカ君は真面目だね。お義姉ちゃん嬉しい」

 

「はぁ……それで、コトミのヤツは?」

 

「まだ寝てますよ」

 

 

 昨日は十二時前まで勉強してたから、普段からこの時間まで起きてるコトミちゃんなら大丈夫かなとも思ったけど、遊んでるのと勉強してたのとでは違うみたいですね。

 

「何時もより早く寝てるはずなのに、やっぱり起きないんですか……」

 

「ん? タカ君、何でコトミちゃんが何時に寝たか知ってるの?」

 

「部屋の明かりが消えたのが、何時もより早かったからですが」

 

「……タカ君は何時に寝たの?」

 

「二時ですかね……たぶんそのくらいだったと思います」

 

 

 首を傾げながら答えるタカ君を見て、私はタカ君の凄さを改めて思い知らされた。二時まで作業していたのに、六時前から朝食の準備をしていたわけですし、それに全然眠そうに見えないのもさすがです。

 

「タカ君はゆっくり寝た方が良いと思うよ」

 

「時間があれば寝ますけど、締め切りまでそれほどありませんので、出来る限りはやりたいんです」

 

「立派だね。どうしてコトミちゃんにはその気概が無いのでしょうか……」

 

「何でですかね……」

 

 

 最後の一品をお弁当箱に詰めながら首を傾げるタカ君。よく見ればお弁当箱は何時もの二つではなく、私たちの分も含めた四つ用意されている。

 

「相変わらずタカ君のお弁当は美味しそうですね。思わず早弁したくなっちゃいますよ」

 

「別にしても構わないと思いますよ。授業中じゃなければ、ですがね」

 

「さすがに生徒会長が授業中に早弁してたらマズいですもんね」

 

 

 タカ君と二人で談笑していると、客間からサクラっちが出てきました。いつ見てもあの胸は羨ましいですね……

 

「おはようございます……お二人とも早いですね」

 

「サクラっちも十分早いと思いますが?」

 

「ですが、タカトシさんも会長も完全に目が覚めてますよね……私はまだ少し眠いです」

 

「コーヒー淹れますので、その間に顔でも洗ってきてください」

 

「お願いします……」

 

 

 まだ半分寝ぼけ眼なサクラっちは、目を擦りながら洗面所へ向かいました。それにしても、今のやり取りを見ても、タカ君は良いお嫁さんになりそうですね……性別違いますけど。

 

「カナさんも着替えて来たらどうですか? もう乾いてると思いますし」

 

「私の着替えはコトミちゃんの部屋に置いてあるから大丈夫なんだよ。二、三日急に泊っても大丈夫なくらいの替えはあるから」

 

「……道理で見覚えの無い下着が増えたなと思ったら」

 

「タカ君のエッチ」

 

 

 洗濯物としてしか見てないだろうけども、一応は言っておかないと私まで受け入れちゃったと思われちゃいますからね。

 

「とりあえずお二人は早めに出ますよね? 桜才と違って一駅走れば間に合う距離じゃないですし」

 

「まだ時間大丈夫だよ。七時をちょっと過ぎただけだし」

 

「生徒会の業務とかは無いんですか?」

 

「今日は無いよ」

 

 

 テキパキと朝食とコーヒーをテーブルに並べながら尋ねてくるタカ君に、私もちゃんと答える。でもまぁ、そろそろ着替えないと洗濯出来なくなっちゃうから、着替えてくるとしますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカトシさんの家から英稜まで会長と二人で向かう中、私は鞄の中に入っているタカトシさんお手製のお弁当が気になっていました。私がタカトシさんに作ってあげるなら、まだ性別的に問題ないのかもしれませんが、男子であるタカトシさんが、女子である私にお弁当を作ってくれるというシチュエーションは、女子である私的に何だか複雑な思いでいっぱいです……

 

「サクラっち、さっき朝ごはん食べたばっかだよ? もうお腹すいてるの?」

 

「違います! てか、会長も何となく分かってますよね?」

 

「まぁね。でもタカ君は主夫だし、私たちが用意するよりもおいしいごはんを作ってくれるからね……複雑な思いなのは分かるけども、せっかく作ってくれたわけだし」

 

「そうなんですよね……」

 

 

 私や会長だって普通に料理は出来るのだが、タカトシさんが作る料理の方がよっぽど美味しいので、下手に「私が!」とかは言えないんですよね……

 

「そういえばコトミさんは起きたんでしょうか?」

 

「どうなんでしょうね……最悪コトミちゃんは遅刻、って事になるでしょうがね」

 

「タカトシさんも起こしてあげてるみたいですが、コトミさんは全然起きない様子でしたしね」

 

「タカ君曰く、昨日はいつもより早く寝てるらしいけどね」

 

「ところで、今日も泊まるんですか? もしそうなら、さすがに替えの下着とかを持ってきたいのですが」

 

「後でタカ君にメールで聞いてみるね。でもまぁ、まだエッセイも終わってないし、サクラっちだってお泊りしたいでしょ?」

 

 

 会長の質問にどう答えるべきか悩んだ私は、無言で頷いたのでした。だって、力強く答えるのもあれですし、かといって否定するのも違いますし……てか、会長の中では私も泊まるのが決定してるみたいでしたしね……




どうしようもないな……

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