桜才学園での生活   作:猫林13世

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祝・劇場公開! 狙ったんですかね、この日付……


情報の出所

 カナがコトミの相手を務める事になったため、私たちが夕食の用意をすることになった。ここにいるメンバーなら誰がやってもあまり変わりはないので、全員で準備を進める事にした。

 

「改めて考えると、タカトシって凄いヤツだったんですね」

 

「無理にでも生徒会役員にしておいてよかったな」

 

「あれ? タカトシさんは自分の意思で生徒会役員になったわけじゃないんですか?」

 

「そっか~。サクラちゃんは知らないんだったね~」

 

 

 カナはなんとなく知ってる風だったから、てっきり森も知ってるものだと思っていたが、どうやら知らないようだな。

 

「タカトシは最初、余りやる気は無かったんだ。てか、我々が強引に生徒会役員にしたんだから、やる気が無くても仕方なかったんだがな」

 

「あの時はまだ、会長も七条先輩も下発言が酷かったですからね……私も辞めたかったですし」

 

「タカトシ君が入ってくれたお陰で、ボケっぱなしって事が無くなったし、仕事も大幅に遅れる事が無くなったもんね~」

 

「もともと多くは無かったですが、しっかりと期限までに終わるようになったのはタカトシのお陰でしょうね」

 

 

 しみじみとあの時の事を思い出していたら、インターホンが鳴った。はて、来客があるとは聞いていなかったんだが……

 

「はい?」

 

 

 玄関扉を開けて誰が来たのかを確認すると、そこには畑と汗だくの五十嵐が立っていた。

 

「なんだ? タカトシならまだ部屋で缶詰だが」

 

「いえ、お手伝いに来ました」

 

「五十嵐もか?」

 

「風紀委員長は津田先生のオカズになりにきたようでして――」

 

「そんな事一言も言ってません!」

 

「一緒にお手伝いに来たようです」

 

 

 畑のボケにツッコんだ五十嵐だったが、またすぐに下を向いて息を整え始める。どれだけ疲れてるんだ、こいつは……

 

「だが、手伝うと言っても我々と英稜の二人で十分間に合ってるんだが」

 

「じゃあ私は締め切り間近の作家と編集者という体で津田副会長の部屋で待たせてもらいましょうか」

 

「さすがに二日じゃ完成しないんじゃないか?」

 

 

 タカトシがエッセイを作り始めたのが昨日なのだから、今日出来上がるはずはないと思う。それなのに部屋に行かせたら、畑が何をしでかすか分かったもんじゃない。

 

「もしくは、津田さんの勉強を見る事が出来ますが」

 

「それはカナがやってるぞ」

 

「いえいえ、有益な情報を津田さんに提供する事が出来ますので」

 

「有益な情報?」

 

「はい。次の定期試験で確実に出題される箇所をお教えする事が出来ます」

 

「何処で仕入れてるんだ、そんな情報……」

 

 

 まぁ、コトミにはそれくらいでもしなければ補習回避は難しいだろうが、そんな事タカトシが許すとは思えないんだが……

 

「とりあえずお邪魔しますよ。津田先生の進捗状況を知っておきたいですし。万が一の時の為にこちらも記事を作っておかなければいけないので」

 

「まて。その記事というのは――」

 

「はい。天草会長が生徒会室でバストアップ体操をしていた証拠写真付きの記事と、風紀委員長が誰もいない風紀委員会本部で怪しい動きをしていた記事を載せるつもりです」

 

「怪しい動きなんてしてないわよ!」

 

「ほーん? これを見てもそんなことが言えますかね~?」

 

 

 そう言って畑が取り出したのは、風紀委員会本部の机の角に跨っている五十嵐の姿を写した一枚の写真だった。

 

「動画もありますけど、見ますか?」

 

「風紀委員長が誰もいない教室で角○ナプレイとは……風紀が乱れまくってるな」

 

「人の家の玄関で何をしてるんですか、貴女たちは……」

 

「おや、津田先生。部屋から出てきても大丈夫なんですか?」

 

「畑さんの気配がしたので、一応目を通してもらおうと思いまして」

 

「もう完成したんですか?」

 

「明日には出来ると思います」

 

 

 そう言ってタカトシは畑に原稿をコピーしたものを手渡した。畑はしっかりとその原稿を受け取り、物凄い早さで目を通して行く……私も読みたいぞ。

 

「その程度で問題は無いですか?」

 

「これはこれは……まったくもって問題ありませんね。それどころか、ますます津田先生のファンが増える事間違いなしですね。あっこれ、私からの差し入れです」

 

「……何ですか、これ?」

 

「風紀委員長の使用済み――」

 

「何を渡してるんですか貴女は!!」

 

 

 一瞬しか見えなかったが、あれはパンツじゃなかったか? 何処で手に入れたのかも不思議だが、何故それをタカトシに差し入れしようとしたのかも不思議だ……何せタカトシの部屋には、いわゆるトレジャーすらないというのに。

 

「冗談はさておき、これ、次の定期試験で出題されるであろう予想問題です。コトミさん成績の為に役立ててください」

 

「……どこで仕入れたんですか、これ?」

 

「ちょっと先生たちの弱みを握りまして……」

 

「脅しは駄目ですからね」

 

 

 そういいながら畑が持ってきた問題に目を通し、一つ頷いてタカトシはその問題を畑に返した。

 

「おや、不必要でしたか?」

 

「いえ、俺が予想してたのとほぼ同じだったので、後はこっちで問題を作りますから」

 

「これはこれは……さすがは津田副会長、御見それしました」

 

「とりあえず、エッセイは明日データごと新聞部に持っていきますので」

 

「では、今日のところは帰ります。ちなみに、風紀委員長はお泊りする気満々のようですので」

 

「そんな事言ってません!」

 

 

 相変わらず畑にからかわれてるな、五十嵐は……しかし、五十嵐も学校でああいう事をするんだな……ちょっと意外だ。




畑さんの情報が知りたい方は69-0721-***まで

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