桜才学園での生活   作:猫林13世

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あれって結局イベントだったのか?


次のイベント

 地域清掃活動が好評だったのか、今度は幼稚園の一日先生の依頼が生徒会に来た。学校としては宣伝になると前向きに検討しているようだが、地域清掃の時みたいに大勢で行くわけにはいかないな……

 

「我々生徒会メンバーは決まりだが、後数人参加してもらった方が良いだろうな」

 

「そうですね。参加者を募ってみますか?」

 

「だが、参加者がいないから私たちが参加する事になったんじゃなかったでしたっけ?」

 

「そうなのよね~。誰か参加してくれる人はいないかしら」

 

 

 元々学校に話が来ていたのだが、参加者がいないから生徒会に降りてきたのだ。四人でも大丈夫かもしれないが、どうにも心許ない気がするのだ。

 

「五十嵐にも頼んでみるか?」

 

「ですが、生徒会メンバーに加えて風紀委員長まで不在となると、学校で問題があった場合どうするのですか?」

 

「うむ……五十嵐は残ってもらった方がよさそうだな」

 

「コトミちゃんは?」

 

「コトミですか? アイツに幼稚園児の相手が出来るとは思えないんですが」

 

 

 タカトシが腕を組みながら首をひねる。確かにコトミだと逆に幼稚園児にお世話されそうな気がするんだよな。

 

「まぁ、参加してもらえるならコトミでも誰でも構わない。タカトシ、後でコトミに聞いておいてくれ」

 

「はぁ……あまり期待しないでもらえるとありがたいですけど」

 

「コトミが参加すればトッキーも参加してくれるだろうし、八月一日も参加するんじゃないか?」

 

「八月一日さんはその日予定があると言っていた気がしますが」

 

 

 平日だが何の予定なんだろうか……まぁ、参加出来ないのなら仕方ないか……

 

「会長、ちょっと心配事があるんですが」

 

「何だ、萩村?」

 

 

 萩村が手招きしていたので、私は萩村の方に顔を近づける。

 

「万が一なんですが、タカトシに惚れてしまう女の子がいるかもしれないのですが」

 

「さすがにまだタカトシの魅力に気づく女の子がいるとは思えないんだが……いやしかし、最近の女子はマセている気がするし……」

 

「なんのはなし~?」

 

「タカトシが幼女に誘惑されるんじゃないかっていう話だ」

 

「ちょっと心配だね~」

 

「なんですか?」

 

 

 我々三人そろってタカトシに視線を向けたので、タカトシが不審そうに首をひねる。

 

「とにかく、コトミの件は任せるぞ」

 

「はぁ……?」

 

 

 さっき終わった話題を引き出した所為で、ますます不信感を懐かれたが、どうにか誤魔化す事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノ会長に頼まれたので、一応コトミに幼稚園の一日先生体験に参加するつもりがあるか尋ねた。

 

「行っても良いけど、何かご褒美が欲しいな~」

 

「……試験前の勉強会で特別厳しくしてやろうか?」

 

「それってご褒美じゃないよね!?」

 

 

 やっぱり褒美を求めてきたな……こいつが無償で働くなどありえないからな。

 

「コトミちゃん、ボランティア精神は大切だよ?」

 

「ですがお義姉ちゃん。貴重な時間を無償で提供するのは私の精神に反するんですよ」

 

「お前の相手をしてる俺は、どれだけ時間を浪費したと思ってるんだ?」

 

「まぁまぁ、タカ兄が勉強を見てくれるなら参加しても良いよ」

 

「それじゃあその日はお義姉ちゃんが家の事をしておくから、タカ君とコトミちゃんは思う存分幼稚園で一日先生体験をしてきてね」

 

「そう言えばタカ兄、平日だけど学校は良いの?」

 

「元々学校に来ていた依頼だから、公休扱いになる」

 

 

 てか、平日を希望してくる幼稚園も幼稚園だが、それを受けた学校も学校だな……てか、困ったら生徒会に丸投げしてくるの止めてもらいたいんだが……

 

「英稜でも今度ボランティア活動をしてみようかな?」

 

「良いんじゃないですか? 自主的に参加した方が良いですが、学校行事にして全校参加にしても意味はあると思いますよ」

 

「うわぁ、なんだか真面目な雰囲気になってきたから、私は部屋に逃げますね~」

 

 

 話し合いが嫌いなコトミは、脱兎の如くリビングから逃げ出した。

 

「別にそんなに堅苦しい話し合いじゃないんだがな」

 

「普段から生徒会で会議している私たちに比べたら、コトミちゃんはこういう空気に慣れてないんだと思うよ? タカ君だって、生徒会役員になる前は、似たような感じだったんじゃない?」

 

「どうでしょうね……もう覚えてないですよ」

 

 

 だいぶ前の事だし、あの時の心境を思い出そうとしても最近の出来事が濃すぎるせいか、おぼろげにしか思い出せないのだ。

 

「タカ君でも忘れるんですね」

 

「義姉さんは俺を超人か何かと勘違いしてませんか? 俺だって物忘れしますし、間違いだって犯すんですから」

 

「でも、コトミちゃんよりははるかに少ないですよね?」

 

「まぁ、気を付けていますから……」

 

 

 昔からコトミには注意しているんだが、未だに忘れ物は多い、遅刻の回数も減らない、挙句に赤点ギリギリを行ったり来たりだ。少しは成長してほしいんだが……

 

「今度サクラっちと本格的にアイディアを出してみます」

 

「そうしてください。相談には乗れますが、最終的には英稜の生徒会が決める事ですから。部外者の俺が意見するのはマズいでしょうし」

 

「そんなこと無いと思うけどな」

 

 

 いや、そんなことあるんと思うんだが……




とりあえず職業体験という位置にしておきましょう

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