桜才学園での生活   作:猫林13世

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ところどころで下ネタが……


マナー教室 後編

 出島さんが腰を下ろしたところで、マナー教室が開始となった。

 

「まずはお辞儀ですね」

 

「角度によって意味が変わる、という事ですか?」

 

「その通りです。まずは十五度。これは会釈です。続いて三十度。こちらは敬礼となり、最後は四十五度。こちらは最敬礼となります」

 

 

 萩村が分かり易く実践してくれたお陰で、角度の具合などもしっかりと分かる。昔の私たちならこの後に――

 

「九十度はバックからの突き待ちだ!」

 

 

――などと続けたのだろうが、ここでボケようものならタカトシに殺されかねないからな……思っても自重できるだけ成長しているのだろう。

 

「萩村様、実践ありがとうございました。では次はテーブルマナーですね」

 

「お座敷でテーブルマナーということは、箸使いだよね?」

 

「その通りです。それでは代表的なダメな例をお見せしましょう」

 

 

 そう言いながら出島さんは箸をうろうろと動かしだす。

 

「さーて、どこから取って曝してやろうか」

 

「迷い箸だね~」

 

「おや? 刺身の味の他にHな味がするぞ?」

 

「ねぶり箸だな」

 

「きゃ(裏声)! おっと、違うところを刺しちゃったぜ」

 

「刺し箸だね~」

 

「……何か違う事が行われてる気がするのは俺の気のせいか?」

 

「たぶん女体盛りで例えが展開してるんだと思う……」

 

 

 タカトシと萩村は女体盛りで例えられているのが気に入らないようだが、私とアリアには非常に分かり易い例えだったから気にしなかった。

 

「冠婚葬祭にもマナーがありますね。結婚式の贈り物にもタブーがあります。ハサミや包丁といった『切れる』意味があるものや、花瓶や皿など壊れるものも縁起が悪いと言われているわね」

 

「お見舞いに鉢植えも『根付く』という意味から敬遠されたりするよな」

 

「よくご存じですね。その他にもドレスコードなど冠婚葬祭以外にも当てはまるものがありますので、その都度調べ直すのも一つの手です」

 

 

 出島さんの説明が一番手っ取り早く確実なので、私たち四人は頷いてこの話題は終了したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いろいろとマナーの確認をしていたら遅くなってしまったので、このまま七条先輩の家に泊まる事になった。着替えなどは近所にある七条グループの宿泊施設のものを借りられるとの事で、心配はなくなった。

 

「今日はいろいろと勉強になったな」

 

「本当だね~。再確認した事や、新しく覚えたマナーもたくさんあったもんね~」

 

 

 今はタカトシを除いた四人でお風呂に浸かっている。何故出島さんも一緒に入っているのかが不思議だけど、何もしないなら気にしなくてもいいかしらね……

 

「ねぇ、お風呂にもマナーってあるの?」

 

「そうですね……温泉で女の子同士が『あんたちょっと胸大きくなった?』とか言ってもみ合う戯れがあるじゃないですか」

 

 

 あ、あるのだろうか……少なくとも、私の周りではそんなことは起こらないけど……

 

「アレ、どさくさに乳首こねるのはNGです。怒られます」

 

「一般人は触った時点で怒りますよ」

 

「そうですかね? よくお嬢様の胸を揉んだりしますが、怒られたりしませんよ? というか、天草様や萩村様は確認されることがないからではありませんか?」

 

「「けんかうってんのかー!」」

 

 

 私と会長は同時に出島さんに詰め寄ろうとして、視界に入った七条先輩の胸に釘付けになってしまった。

 

「んー? どうかしたの、二人とも」

 

「生で見るとまたデカいな……」

 

「大きいと分かってはいたんですけどね……」

 

「触りたくなりますよね?」

 

 

 出島さんの悪魔のささやきに、私と会長は思わず頷きかけて、慌てて首を横に振った。

 

「私たちは出島さんと違うんです!」

 

「そんな大声を出すと、逆に怪しいですけどね~」

 

「何だか出島さんと畑さんがダブって見えたんですが……」

 

 

 あの人も良く語尾を伸ばして迫ってくることがあるからかしら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ君から、今日は七条さんの家に泊まると電話があって、私は少し慌ててしまったが、良く聞けばシノっちたちも一緒だという事が分かり、アリアっちがゴールインしたわけじゃないのかとホッと息を吐いた。

 

「お義姉ちゃん、どうしたの?」

 

「タカ君がお泊りになったから、私もこのままお泊りする事になりました」

 

「タカ兄がお泊り? 新しいお義姉ちゃんが出来るんですかね~?」

 

「マナー教室が遅くまで続いた所為で、七条家で一泊する事になったそうですよ」

 

「なんだ~。誰かが新しいお義姉ちゃんに決定したのかと思ったのに」

 

 

 思考回路は私と似ているようですね……さすが我が義妹です。

 

「お泊りと言えば、アメニティって持ち帰りOKの場所がありますよね」

 

「タオルとか浴衣とかはダメですが、ティーパックやシャンプー、マッチなどはOKのところが多いです」

 

「私もたまには外泊したいな~」

 

「長期休暇に旅行が出来るかどうかは、コトミちゃんの成績次第ではないですかね」

 

「それを言われると困っちゃうんですよね~……またタカ兄とお義姉ちゃんに手伝ってもらわないと、私は赤点になってしまうので……」

 

「胸を張って言う事ではないと思うのですが」

 

 

 コトミちゃんだってやれば出来る子だと思うんだけど、当面の目標は赤点回避なんですよね……タカ君も可哀想に……




出島さんはバイだからなぁ……

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