桜才学園での生活   作:猫林13世

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次回からまた原作ありきに戻ります



夏の終わりと新学期

 夏休みも終わりに近付いてきたのだが、目の前には終わっていない宿題の山がある。タカ兄が見てくれてたから少しは終わってるのだが、タカ兄だって暇ではないのでずっと見ていてくれていた訳では無い。生徒会の仕事だってあるし、宿題以外にもタカ兄は勉強してるんだし、ずっと私の勉強を見てくれていた訳では無いのだ。

 

「また溜めてしまった……」

 

 

 毎年恒例の事なのだが、今年こそはと思っては溜めてしまうのだ。

 

「受験勉強もしてたし、今年は仕方ないよね!」

 

「開き直ってないでとっとと終わらせちまいな」

 

「お母さん、手伝ってよ~」

 

「タカトシが帰ってくるまで一人でやってるんだね。帰ってきたらきっと見てくれるから」

 

「タカ兄に怒られる……宿題はちゃんとやってるって言ってたし……」

 

「アンタの嘘なんてタカトシはお見通しだろうよ。まったく、せっかくの休みだって言うのにこの娘は……何処が分からないんだい?」

 

「全部……」

 

「……自分で何とかするんだね」

 

 

 教えてくれそうだったお母さんだったが、私が全部分からないと言うと黙って教科書を机に置いた。

 

「さーて、今日の晩飯は何を作ろうかねぇ」

 

「お母さん!?」

 

「ただいま」

 

「お帰り。タカトシ、コトミの宿題見てやっておくれ」

 

「コトミの? アイツまた溜め込んだのか」

 

 

 ゆっくりと階段を上ってくる音が近付いてくる。タカ兄に何て言って謝れば良いんだろう。

 

「タカ兄、ゴメン!」

 

「……は? また何かやらかしたのか?」

 

「宿題終わってるって嘘吐いて……」

 

「いや、知ってたぞ」

 

「……何で?」

 

「だってお前の部屋で受験勉強してたんだし、宿題にまったく手をつけてないのくらい知ってるさ。そもそも毎年俺が言わなきゃやらなかったんだから、自主的に終わらせてるなんて思う訳無いだろ」

 

 

 その信頼は嬉しく無いけど、今は兎に角タカ兄の力を借りなくては!

 

「それでタカ兄、お願いがあるんだけど……」

 

「教えはしない。だが分からない箇所の説明くらいはしてやるから」

 

「さっすがタカ兄! 後で私の全部をあげるね!」

 

「いや、要らないんだが……馬鹿な事言ってないでさっさと手をつけろ。あと一週間も無いんだぞ」

 

「は~い!」

 

 

 タカ兄の手伝いもあって、残り一日を持ってして夏休みの宿題は終了した。私もやれば出来るんだな~。

 

「殆ど人に聞いておいてなんだその満足げな顔は!」

 

「だって本当に全部分からないんだもん!」

 

「……桜才を受けるのは諦めた方が良いんじゃないか?」

 

「えぇー! だって兄妹の学校プレイが……」

 

「そんな目的は達成出来なくて良い!」

 

「あっそっか! 別に他の高校でも忍び込めば……」

 

「コトミ、今から始業式の朝まで受験勉強だ」

 

「え? 今からってあと一日以上あるけど……まさか本気じゃないよね?」

 

「さっさと参考書とノートを開け! 時間は有限だぞ!」

 

「た、タカ兄? 何でそんなに気合が入ってるの?」

 

 

 さっきまで呆れ気味だったタカ兄が、何かのスイッチが入っちゃったように燃えている。

 

「お前を他所の高校に行かせて問題を起こされるくらいなら、桜才に入ってもらって目の届く場所に居てもらった方が、俺の精神は落ち着けるだろうしな。さぁコトミ、模試で合格判定もらえるように頑張るぞ」

 

「も、模試って、九月になってすぐだよ!?」

 

「だから今から勉強するんだろ! それともコトミは合格出来なくても良いのか!?」

 

「それは嫌だけど……」

 

 

 タカ兄の熱血指導のおかげで、私は残り一日の夏休みを満喫する事無く勉強に費やしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日からまた学校が始まる。二学期も生徒会やら勉強やらで忙しいんだろうが、なんだか高校生活を送ってるって感じがするよな……

 

「さて、今日から二学期な訳だが」

 

「そうだね~シノちゃん」

 

「我々生徒会はちょこちょこと学校に来ていたから新学期と言う感覚が他の生徒より薄いかも知れん」

 

「そうかな……」

 

 

 別にそんな事無いんだが……

 

「そこで新学期だと感じられるように生徒会室を引っ越してきた」

 

「そう言えば前は三階でしたね」

 

「そんな理由で引っ越してきたのかよ」

 

 

 てっきりもっと他の理由があったのかと思ってたぞ……

 

「それでシノちゃん? 津田君の相手なんだけど……」

 

「ちょっと待って! 何だその話は」

 

 

 俺の相手って何だよ?

 

「あっ、津田君を誰とくっつけようかって話だよ」

 

「は?」

 

「アリア、それだと説明不足だ」

 

「そうだったね。津田君を主役にBL小説を……」

 

「速攻原稿を提出の上、コピーなりバックアップなりも全て渡して下さい。全て処分します」

 

「「えぇー!!」」

 

「何か文句でも?」

 

「「い、いぇ何でも無いです……」」

 

 

 まったく、人の事を想像でも男とくっつけようとするなよな……

 

「新学期早々五月蝿いですよ!」

 

「あら、カエデちゃん」

 

「五十嵐」

 

「また会長たちですか……ってあれ? 生徒会室は三階じゃ……」

 

「引っ越したんですよね~」

 

「ヒィ!?」

 

「畑さん」

 

 

 千客万来か? 何かまだ来るような予感がするんだが……

 

「お~い、生徒会役員共」

 

「横島先生、何か用ですか?」

 

「いや、暇だから遊ぼうかと」

 

「アンタそれでも教師かよ!」

 

「会長ー予算アップお願いします!」

 

「三葉」

 

「あっ、タカトシ君でも良いよ」

 

「いや、予算は萩村だから」

 

「失礼します。お嬢様、お昼をお持ちしました」

 

「ありがとう出島さん」

 

 

 ……新学期早々騒がしいが、なんだか漸く新学期だって気分になってきたな。これも会長のおかげなのかもしれないな。




さ~て、イベントが多い二学期に突入です。やりたい事が多くてちょっと困ってます

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