桜才学園での生活   作:猫林13世

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見目は麗しいんですが、中身は……


水着コンテスト

 コトミちゃんがアルバイトをしていると聞いて、私はタカ君とサクラっちを引き連れて海の家に遊びに来た。もちろん、海でも遊べたら遊ぶつもりなので、水着も持ってきている。

 

「おはようございます、シノっち」

 

「おぉ、カナか。コトミの様子を見に来たのか?」

 

「それもありますが、せっかくの休みですから、海に遊びに来ました。あっちにタカ君とサクラっちもいますよ」

 

「そういえば昨日、タカトシの家に泊まったのか?」

 

「えぇ。ご両親は出張ですし、タカ君はバイトでしたから、私とサクラっちの二人で家事をしたので」

 

 

 私一人でも十分だったのですが、サクラっちにお手伝いを頼んだのは、生徒会の事でサクラっちと打ち合わせしておきたかったことがあったからで、他意はないのです。

 

「私の提案で、三人リビングで川の字で寝ました」

 

「何と羨まけしからん状況なんだ!」

 

「タカ君は最後まで反対してましたが、意外な事にサクラっちが乗り気だったので、結局は二人きりで押し切りました」

 

「森も最近積極性が増してきてないか?」

 

「圧倒的スタートダッシュを決めたとはいえ、まだまだ油断出来ないのでしょうね」

 

 

 サクラっちは明らかにタカ君に意識されているとはいえ、そこで油断しないのが凄いですよね。私なんて、義姉になって安心しちゃってますし。

 

「とにかく、川の字で寝たとはいえ、何の進展もありませんので、そこまで怖い顔しなくても大丈夫ですよ」

 

「このバイトが終わったら私たちもタカトシの家でお泊り会だな」

 

「楽しそうですね。もちろん、私たちも参加しますので」

 

「カナたちは既にお泊りしてるだろうが」

 

「あれはお手伝いの延長でですから。今度は純粋に遊びに行きます」

 

「むぅ……まぁどうせコトミの宿題の面倒を見る事になるんだろうし、人は多い方が良いか」

 

 

 イマイチ納得してない様子のシノっちではありましたが、結局は私たちのお泊りも認めてくれました。というか、家主はタカ君なのだから、シノっちの了承を得たところで意味はないのですが。

 

「シノちゃ~ん」

 

「アリア? どうかしたのか?」

 

「砂浜で水着コンテストをやるらしいんだけど、参加者が足りないから出てほしいんだって~」

 

「私は嫌だぞ!」

 

「でも、もう古谷先輩とコトミちゃんがOKしちゃったんだけど」

 

「少しは人の意見も聞いてもらいたいものだ……」

 

「ちなみに、カナちゃんやサクラちゃんにも出てもらいたいんだって。スズちゃんはさすがに参加させられないからって」

 

「私は構いませんが、たぶんサクラっちは参加しませんよ」

 

 

 こういう行事は苦手だと言っていましたし、無理に参加させるのはシノっち一人で十分でしょうしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか参加を断れたので、私はタカトシさんと萩村さんと一緒に見学だけになりました。

 

「まさか義姉さんとコトミがノリノリで参加するとは思いませんでしたが」

 

「そう? あの二人ならむしろノリノリで参加しそうだけど」

 

「確かに会長は意外と乗り気でしたしね」

 

 

 今回参加しているのは、天草さん、七条さん、魚見会長、そしてコトミさんの四人と、最初から参加していたメンバーらしいのですが、実際何人参加しているのか私たちは知らないのです。

 

「というか、随分と人が集まってるようですね」

 

「それだけ話題を呼んでいるんじゃありませんか? 実態は兎も角として、四人とも魅力的な女性ですから」

 

「コトミだけはそれに当てはまらないと思いますが」

 

 

 タカトシさんが苦虫を噛み潰したようような顔でそういうと、萩村さんが可笑しそうな表情を浮かべていました。確かに実態は兎も角として、全員魅力的ですものね。

 

「……見えない」

 

「じゃあ、私が動画を撮って萩村さんに送りますよ」

 

 

 私は携帯を取り出して参加者のムービーを撮り、その都度萩村さんにメールで転送する事にしました。

 

「てか、古谷さんも参加してるんですか……」

 

「あの人って、桜才のOGなんですよね?」

 

「シノ会長の前の会長だって聞いてますが、昔はあんな派手じゃなかったらしいですよ」

 

「大学デビューでしょうかね?」

 

 

 知り合い全員の紹介が終わったので、私は携帯をしまってタカトシさんとお喋りを続けました。

 

「このコンテストって、どうやって一位を決めるんでしょうね?」

 

「見学者の投票じゃありませんか? あっちで投票用紙を管理してる人がいますし」

 

「タカトシさんは誰に投票するんですか?」

 

「俺は見てるだけで投票はしませんよ。もし誰かに投票したとして、面倒になりそうですし」

 

「会長や魚見さんは嫉妬深そうだもんね」

 

 

 ムービーを見終わった萩村さんも会話に加わってきて、私たちは投票結果が発表されるまでお喋りで時間を潰しました。

 

『今回の優勝者は、エントリーナンバー8・天草シノさんです』

 

「さすが会長ね。人気が高いのは校内だけじゃないみたい」

 

「二位以下も知り合いばかりですね」

 

 

 タカトシさんが指差した結果が書かれた紙を確認すると、僅差で七条さんが二位、三位が魚見会長、四位がコトミさん、そして六位に古谷さんという結果だった。

 

「さくらで参加したのに優勝しちゃ駄目なんじゃないですかね?」

 

「いいんじゃない? どうせ賞金が出るわけじゃないんだし」

 

「そんなもんか」

 

 

 とりあえず私たちは、天草さんに拍手を送ることにしたのでした。




多少はマシになってるとはいえ、どピンク思考だからな……

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