桜才学園での生活   作:猫林13世

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下ネタ無くても酷いな……


試写会

 新聞部の畑さんに呼び出されて、生徒会役員である私たち四人は学校の視聴覚室にやってきた。

 

「今度、桜才新聞で映画研究会の作品をレビューする事になりまして、生徒会の皆さんにも参加していただきます」

 

「試写会ってワクワクするねー」

 

「どんな映画なんだ?」

 

「とりあえずトイレに行く手間は無いかと思います」

 

 

 何故トイレ? ひょっとしてショートムービーなのかしら。そう思って席に座り、画面に表示された文字を見て私は立ち上がった。

 

『桜才版、学校の怪談』

 

「だ、誰も漏らしたりせんわ!!」

 

「スズ、落ちつけ」

 

 

 タカトシにツッコまれて、私はとりあえず腰を下ろした。映画の内容は、桜才七不思議を調査しに来た男女がいろいろな事件に巻き込まれるという内容らしいけど、この七不思議って以前私たちが検証したものよね……特に何にもなかったはず。

 

「また私たちも調査するか」

 

「いいね~。お泊り楽しかったし、結局何一つ解明されなかったものね」

 

「わ、私は反対です! 何もなかったという事は、七不思議が迷信だったと証明されという事ですし」

 

「いやいや、一日で決めつけるのは良くないぞ。幽霊だって休日があったかもしれないし」

 

「どんな思考だよ!」

 

「三人とも、五月蠅いですよ」

 

 

 真面目に映画を見ていたタカトシに怒られ、私たち三人はとりあえず黙る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく見続けていくと、ちょっとずつホラー要素が強くなり、よく見れば萩村がタカトシの腕にしがみついているではないか。これはひょっとするとチャンスなのでは? という考えが働き、私もタカトシの腕にしがみついた。

 

「両手に華なのも大変ですね~。腕封じ込められて」

 

「はぁ……」

 

「チンポジ変えたくなったら私に言いなさい」

 

「腕を封じ込まれても、頭突きとか出来るんですが?」

 

「ゴメンなさい」

 

 

 まったく、私と萩村がしがみついているというのに、タカトシの興味は畑に向けられている……まぁ確かに、私たちではそれほど感触を味わう事が出来ないかもしれないが――って!

 

「誰が貧乳だ!」

 

「どうしました?」

 

「あっ、いや……ちょっと幻聴が……」

 

「はぁ?」

 

 

 あからさまに呆れている視線を向けてくるタカトシに、私は頭を下げて腕を解いた。そうこうしている内に、映画内ではお約束の死亡フラグが展開されていた。

 

「(死んじゃうのか……)」

 

 

 こんな状況で一人で行動すればどうなるのか、物語ではもはやお約束になっている。タカトシやアリアも分かっているようで、その後の展開をじっと見つめている。

 

「(やっぱり死んじゃったか……)」

 

 

 別行動を申し出た男子が、教室の天井にロープを吊るして首を吊っている。もちろん演出だと分かっているが、ちょっと怖いな……

 

「死亡フラグも捨てたもんじゃないと思う」

 

「何故ですか?」

 

「女子がああやってドキドキしながら黄色い声を飛ばしてくれるんだから」

 

 

 畑の視線の先では、萩村がギャーギャー騒いでじたばたしている。

 

「ときめき要素ゼロじゃないか?」

 

 

 確かに声を飛ばしてはいるが、あれは黄色いのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映画は学園に住みついている幽霊が現れ、次々と男女を殺害していくという、ちょっと血生臭い感じで終わりを迎えた。

 

「バッドエンドも意外と面白かったな」

 

「レビューの提出は来週までにお願いします」

 

 

 一人も助からないという、ある意味斬新な展開だったが、会長が言うように素人が作ったものにしては面白かったと俺も思う。

 

「さぁ、さっさと帰りましょう」

 

「スズ? なんか予定でもあるの?」

 

「別に」

 

 

 若干不貞腐れた様子ですたすたと歩き、扉を開けた萩村がいきなり倒れた。よく見ると、幽霊の格好をした映画研究会の人が立っている。

 

「補足すると、ここまでがオチだそうです」

 

「お子様の萩村には刺激が強すぎたか……」

 

「でもまぁ、失禁しなかっただけ大人かと」

 

「そんなこと言ってないで、起こすの手伝えよ」

 

 

 気絶したスズを見て談笑する二人にツッコミを入れ、俺はとりあえずスズを抱きかかえて保健室に向かう事にした。

 

「あっ、スズちゃんの荷物は私が持ってくね」

 

「すみません、アリア先輩」

 

「いいって。スズちゃんも可愛い後輩なんだから」

 

 

 アリア先輩にスズの荷物を任せ、俺はスズを保健室のベッドに寝かしつける事にした。

 

「それにしても、スズちゃんってホント怖がりだよね」

 

「あの映画を見た後にあの展開ですから、ビックリはすると思いますがね」

 

「でも、意識を失うまで驚くかな?」

 

「どうでしょうね? 気配はあったから驚かなかったかな」

 

「そんな事が出来るのはタカトシ君だけだよ」

 

「そうですかね?」

 

 

 驚かす気満々で待機していたから止めなかったんだけど、スズには悪い事をしたな……後で謝っておこう。

 

「タカトシ君だったら、私があの映画のような展開になったら助けてくれる?」

 

「最後の男女のような展開ですか?」

 

 

 生き残っていた男女は、互いに疑心暗鬼になり刺し違えるという、かなり可哀想な最期を迎えたのだ。

 

「そうですね。なんとしてもアリアさんだけは逃がそうとすると思いますよ」

 

「そっか。なら安心だね」

 

「あくまでもフィクションですよ?」

 

 

 そもそも俺たちが検証した七不思議とは違うものだったので、同じようにはならないと断言出来るんだが……別にいいか、それは。




スズはやっぱり子供だn……

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