桜才学園での生活   作:猫林13世

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あまり役には立たないかな


コトミの手伝い

 何時も通りアリアがお茶を淹れてくれたのだが、何やら何時もと匂いが違うような気がするんだよな……

 

「これはセンブリ茶ですか?」

 

「そうだよ~。身体に良いから持ってきたんだ~。その代わり凄く苦いけど」

 

「前にコトミが買ったんですけど、結局飲めなくて俺が片づけたくらいですからね」

 

「そうなんだ~。ということは、タカトシ君はセンブリ茶は平気なんだね~」

 

「最初はちょっと厳しかったですけど、飲み続けて平気になりました」

 

「私はちょっとまだ厳しいかな~」

 

 

 アリアとタカトシは談笑しながら飲んでいるが、私や萩村にはちょっと厳しい苦さだ……というか、アリアも厳しいとか言っておきながら、平然と飲んでるじゃないか……

 

「シノ会長?」

 

「いや……ちょっと苦くて飲み込めない……」

 

「そういう時は勢いで飲んじゃうと良いよ~」

 

 

 そういうとアリアは私の鼻を摘まんで呼吸できなくし、強制的にセンブリ茶を飲み込ませた。

 

「うへぇ……苦い……」

 

「慣れればなんてことないんですけどね」

 

「ゴメン、私も無理だわ……」

 

 

 萩村もギブアップをして、結局お茶はタカトシが全て飲んでくれた。

 

「いくら身体によくても、こんだけ摂取したら身体に悪いと思うんですが」

 

「申し訳ない……だが、捨てるわけにもいかないだろ?」

 

「まぁ、もったいないですからね」

 

 

 結局この日以降、生徒会室でセンブリ茶が出されることは無かったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会の仕事として、資料室の整理を任されたんだけど、さすがに私一人では賄えないので、ムツミとネネに手伝ってもらう事にした。

 

「スズちゃん、これは何処に持っていけばいいの?」

 

「それはそっちの棚に。というか、ゴメンねムツミ。ジャージ汚れちゃってる」

 

「別に良いよー。どうせ部活で汚れるだろうし」

 

「そう? でも、ありがとうね」

 

 

 力仕事なら任せてと、ムツミは張り切って手伝ってくれている。ひょっとしてタカトシが手伝いに来るかもとか思っているのかもしれないけど、タカトシは現在、この資料室を散らかした横島先生を説教中なので、絶対に来ることはない。というか、タカトシが来られるなら、ムツミやネネに声はかけなかったし……

 

「ネネもゴメンね。というか、ジャージに着替えなくて良かったの? 制服汚れちゃってるけど……」

 

「別に大丈夫だよ」

 

「そうなの?」

 

「どうせ後で着衣オ〇ニーするから汚れるし」

 

「笑顔が眩しい……」

 

 

 満面の笑みでそう言われてしまったら、ツッコミを入れる事が出来なくなっちゃうじゃないの……というか、制服でするのは良いのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近生徒会業務やバイトが立て込んでいて、まともに家事をすることが出来ていない。時間がある日は義姉さんが来てくれてやってくれているのだが、さすがに申し訳なく思ったので今日は断った。

 

「タカ兄、今日も遅いの?」

 

「ん? そうなるだろうな」

 

 

 生徒会室に顔を出したコトミに、俺はそう告げて作業を再開する。だが、背後でコトミが頬を膨らませている雰囲気を感じ取り、もう一度振り返った。

 

「どうかしたのか?」

 

「べっつにー!」

 

「最近タカトシと一緒にいられなくて不貞腐れてるんじゃないか?」

 

 

 シノ会長が顔を上げてコトミを見てそう発言すると、コトミが慌てて手を振って否定し始める。

 

「そ、そんなんじゃないですからね! 別にタカ兄の料理が食べられなくて不満、とかそんなんじゃないですから! お義姉ちゃんがいてくれるから全然寂しくなんてないんですからね!」

 

「ツンデレ?」

 

「というか、殆ど本音だと思いますが……」

 

 

 慌てて否定しようとした所為か、本音が垂れ流し状態になってる気がしなくもないがな……

 

「だったらコトミも手伝ったらどうだ? そうすればタカトシも早く帰れるだろうし」

 

「でも私、生徒会の作業なんて出来ませんよ?」

 

「纏めた資料をファイルに入れるだけだから、コトミでも出来るだろ」

 

 

 そう言って会長はコトミにファイルを差し出す。少し考えてから、コトミはそのファイルを受け取った。

 

「仕方ないから手伝ってあげるけど、帰りにタカ兄が荷物持ってよね」

 

「はいはい」

 

 

 そうでもしないと手伝えないのだろう。コトミはなんとか自分を納得させて作業を開始した。といっても、本当にファイルに入れるだけなので、コトミじゃなくても出来るんだが……

 

「コトミ、これも頼む」

 

「こっちもおねがーい」

 

「これも」

 

「わーん! 多すぎですよー!」

 

 

 何で処理してる俺たちの方が早く終わってるのかが不思議なくらい、コトミの作業効率は悪かった……これだったらいない方が早かったかもしれない……

 

「よし、これで終わりだな」

 

「こっちも終わったよ~」

 

「私の方も、これで終わりです」

 

「コトミ、お前の方は――」

 

 

 四人の作業が終わったのでコトミの方を確認すると、机に突っ伏して寝ていた。

 

「とりあえず終わってるみたいですね」

 

「コトミがいてくれたから、その分早く終わった……のか?」

 

「まだ外も明るいですし、そう思っておきましょう」

 

「……もしかして荷物ってコイツ?」

 

 

 揺すっても起きないコトミを見ながら、俺はため息を吐いた。

 

「仕方ないか」

 

 

 このままここで寝かしておくことも出来ないので、俺はコトミを背負って先に生徒会室を辞した。鞄は持ってきてるけど、寝てちゃ持てないしな……素直に先に帰せばよかった……




荷物は重そうだ……

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