桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシのままだとすぐにバレるので……


ミステリーツアー 事件発生

 乗っていたバスがエンジントラブルで動かなくなり、偶然見つけた洋館に向かう事になったのだが、どうもやらせの匂いがするんだよな……

 

「ようこそ。この館の主人です。話はあちらの女性から聞きました。災難でしたな」

 

「(あの人って、バスの運転手だよな?)」

 

「(これもミステリーツアーの内容なんじゃない?)」

 

 

 スズと小声で話していると、出島さんがその会話に割り込んできた。

 

「(何分人手不足なものでして……ちょっとした無理は見逃してください)」

 

 

 つまりあの人も七条家の人なのだろうと納得し、とりあえず館で過ごす事にした。アリア先輩がいる以上、衣食住に不備があるという事は無いだろうし。

 

「お部屋にご案内しましょう。大浴場もありますので、ご自由にお使いください」

 

「大浴場か」

 

「足を伸ばして入れるのは良いですね」

 

 

 スズの興味が風呂に向いたので、俺はとりあえず部屋に向かおうとして、ふと部屋割りが気になり出島さんに話しかけた。

 

「さすがに俺は一人部屋ですよね?」

 

「いえ、先ほど魚見様と話し合われて決めたのですが、タカトシ様は森様と同じ部屋だそうです」

 

「何故? 俺とコトミを一緒にすれば、義姉さんと森さんが同じ部屋で事は済んだはずですが」

 

「その辺りは聞いていません。後程魚見様からお聞きになるか、気にしないことをお勧めします」

 

「はぁ……」

 

 

 何だか最近、義姉さんが俺とサクラさんをくっつけようとしてるように感じるのだが、これもそれが原因なのだろうか?

 

「お義姉ちゃん、一緒に部屋でだらだらしましょう!」

 

「丁度いい機会だから、コトミちゃんの勉強を見てあげるね」

 

「宿題はちゃんと終わらせましたよ?」

 

「宿題だけじゃ補えない成績なんだから、頑張って勉強しようね?」

 

「くっ! これもタカ兄の陰謀か!?」

 

「俺は何にも言ってないだろ」

 

 

 厨二全開のコトミに軽くツッコミを入れてから、俺はとりあえず部屋に向かう事にした。

 

「まさかタカトシさんと同じ部屋になるとは思ってませんでした」

 

「俺もです……どうやら、義姉さんが出島さんと話しあって決めたらしいんですけど」

 

「会長が? 珍しい事もあるんですね」

 

「サクラさんもそう思いますか?」

 

「ええ」

 

 

 義姉さんの行動が怪しいとサクラさんも感じているようで、俺たちはひとしきり可能性を上げては否定し、また上げては否定しを繰り返した。

 

「駄目ですね、さっぱりわかりません」

 

「面白半分って可能性もありますし、深く考えては負けなのかもしれませんね」

 

 

 義姉さんの思惑を考える事に諦めたタイミングで、扉の隙間から何かが入れられてきた。

 

「何ですかね、コレ?」

 

「さぁ?」

 

 

 サクラさんがその紙を拾い上げて、そこに書かれている文を読む。

 

「えーと……森サクラ様、今回起こる事件において、貴女が犯人役となりました……つまり、どういう事でしょうか?」

 

「これから起こる事件の犯人役として立ち回れ、という事ではありませんか? なんなら、俺もお手伝いしますし」

 

 

 これを持ってきた人は気配で分かっているので、恐らくあの人が何かをして、それをサクラさんがやったようにミスリードさせろという事なのだろうな。

 

『うわぁっ!?』

 

「今の、天草さんの声、ですよね?」

 

「何かあったみたいですね」

 

 

 サクラさんと二人でシノ会長の許へ向かう。

 

「風呂に入っている間に、パンツ盗られた」

 

「えぇ……」

 

 

 サクラさんが何とも言えない目で俺を見てくるが、俺は明後日の方を向いてその視線から逃れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノ会長のパンツが盗まれたと聞かされ、私たちは全員大広間へと集められた。

 

「下着ドロがいるかもしれない場所にこれ以上いられるか! 私は部屋に戻らせてもらう!」

 

「………」

 

「って! 誰か止めてくださいよ! このままじゃ死亡フラグになっちゃうじゃないですか!」

 

「遊んでないで真剣に考えろよな」

 

 

 タカ兄に怒られて、私たちはそれぞれのアリバイを言い合った。

 

「全員アリバイがありますね」

 

「そういえば、館の主人とか言ってた人は何処に行ったんですか?」

 

「あぁ、彼なら厨房で食事の準備をしております」

 

「まさか、その人が犯人?」

 

「でも、女湯の更衣室にあの人が入ったら、さすがに気づくのではありませんか?」

 

「うーん……まぁ、とりあえずお義姉ちゃん。一緒にお風呂に入りましょう」

 

 

 考える事を諦めて、私はお義姉ちゃんと一緒にお風呂に入ることにした。どうせタカ兄が全て推理してくれるだろうし、私は普通にこのツアーを楽しもうと決めたのだ。

 

「それにしても、シノ会長は災難でしたね」

 

「そうだね。でもスズポンのではなくシノっちのパンツを盗んだって事は、犯人はロリコンではないじゃないかな」

 

「うーん、どうでしょう。スズ先輩のと間違えてシノ会長のパンツを盗ったという可能性もありますし」

 

「じゃあ次のターゲットはスズポン?」

 

「あり得ますね」

 

 

 お風呂でお義姉ちゃんと推理し合って、私は着替えるべく脱衣所に移動して――

 

「あ、あれ?」

 

 

――私のパンツが無い事に気が付いた。

 

「どうかしたの?」

 

「私のパンツも無くなってるんですけど」

 

「犯人はパンツが好きなのかな?」

 

 

 確かに、ブラもあるのにパンツを盗むって事は、それを被って楽しむような人なのかな。とにかく、パンツが無いと困るんだけど……




まぁ、あの人だから仕方ない

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