桜才学園での生活   作:猫林13世

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生徒会役員共の弱点

 柔道部が今度他校との練習試合をすると言うことで、生徒会メンバーと共に柔道部にやって来た。

 

「三葉、調子は如何?」

 

「タカトシ君! うん、絶好調だよ!」

 

「でも、部設立以来初めてでしょ? 緊張とかしないの?」

 

「大丈夫! 私本番に強いタイプだから」

 

「そのわりにはテスト中に死にそうになってなかったか?」

 

「あはは、勉強は苦手なんだ……」

 

 

 如何やら三葉が強いのは格闘技の本番だけのようだ。

 

「いくら本番に強いからと言って、前戯は怠らないようにな!」

 

「ぜんぎ? 準備はしてますよ」

 

 

 そう言えば三葉ってピュアだったんだっけ……ボケとピュアは噛み合わないんだな……

 

「今から練習なんだけど、見てく?」

 

「少し見たら帰るよ」

 

 

 生徒会の仕事もあるし、何よりずっと見学してたら邪魔だろうしな。

 

「そう、じゃあ軽く準備運動しちゃうねーほっと」

 

 

 そう言って三葉は脚を開いて柔軟を始めた。

 

「うわぁ! そんなに脚開くの!?」

 

「別に痛く無いですよ」

 

「大丈夫? 膜……」

 

「へ?」

 

 

 天然とピュアも噛み合わないようだ……そもそも心配の仕方がおかしいだろ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に戻ってから改めて思ったのだが、七条先輩って良いとこのお嬢様なんだよな……何であんなに思春期全開なんだろう……

 

「ねぇ津田君、お花生けたんだけど何処に飾れば良いと思う?」

 

「そうですね……机の真ん中で良いと思いますよ」

 

「そうだね。そこが一番目立つものね」

 

「そう言えば先輩って、華道以外に何か稽古やってるんですか?」

 

「うん、お茶にお琴に……あと書道」

 

「書道ですか、書記にはピッタリですね」

 

 

 しかし随分と稽古事が多いな……さすがはお嬢様と言ったところか。

 

「書道の作品があるんだけど、見る?」

 

「良いんですか?」

 

「うん!」

 

 

 そう言って七条先輩が鞄から作品を取り出した。

 

『愛人』

 

 

 ……これは如何賞賛を送れば良いんだ?

 

「人を愛すって、素敵な言葉だよねー」

 

「間違ってないですが、あまり人に見せない方が良いと思いますよ……」

 

 

 込められた意味は兎も角、字単体ではあまり良い言葉じゃ無いですし……

 

「津田ー目安箱回収してきたわよー」

 

 

 タイミング良く萩村が生徒会室に来てくれたおかげで、気まずい雰囲気は感じずに済んだ。

 

「それにしても最近機能してないな……」

 

 

 体育祭のパンも、誤字だったパンツほど希望は無かったし……

 

「横島先生、何か不満があったら書いてくださいよ」

 

「不満…ねぇ……」

 

 

 さっきから何も話さずにただ座っていた先生に何か不満が無いか聞いてみる。この際サクラでも良いので目安箱を機能させたいのだ。

 

『欲求』

 

「はいそれシュレッダーに入れてください」

 

「何だよ! そこは『俺が解消してあげましょう』とか言うところだろ!」

 

「誰が言うか誰が! そもそもアンタの欲求不満なんて知ったこっちゃ無いんだよ!」

 

 

 結局今週は目安箱に入れられた学園の不満は一つも無かった……良い事なのかも知れないが、ちょっと寂しいのは何故だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近廊下を走る人が目立つので、注意書きのポスターを貼る事にした。

 

「走っている生徒を見かけたら、各自注意するように」

 

「分かりました」

 

「でもシノちゃん、廊下を走らないと角で運命の人とぶつかるってシチュエーションが無くなっちゃうよ? 少子化が加速しちゃうわ」

 

「いや、それは無いだろ……」

 

 

 しかも何故そんな事を大声で言う……周りの人たちの視線が痛いんですが……

 

「うむ、一理あるな」

 

「え!? 納得しちゃうの!?」

 

 

 頷いた会長はポケットからマジックを取り出しポスターに追加の書き込みをした

 

『廊下は走らない! (曲がり角は可)』

 

「これで少子化は止められるな!」

 

「そこが一番スピード落とさなきゃいけない場所だろうが……」

 

 

 それと会長と七条先輩の漫画の趣味が何となく分かった気がする……随分と古典的なものが好きなんだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 津田に職員室までお使いを頼んで、我々は生徒会室で作業していたら部屋の中に虫が現れた。

 

「うわぁ! 虫だ! た、助けてくれ……」

 

「シノちゃん本当に虫が苦手なんだね。腕が毛を剃った後の肌みたいになってる」

 

「鳥肌で良いでしょ」

 

 

 アリアのボケに萩村がツッコミを入れたが、今はそんな事を気にしてる場合では無い。

 

「だ、誰か何とかしてくれ!」

 

「私も現代っ子だから」

 

「大きさ一cm以上の虫は守備範囲外です」

 

 

 クソ、こんな時如何したら……

 

「そうだ! 窓を開けたらそのうち出て行くはず!」

 

 

 窓を全開にして虫が出て行くのを待つ事にした。だが……

 

「もう一匹入ってきた」

 

「うわぁーん!」

 

 

 何でこの部屋に入ってくるんだ! 入るならもっと良い場所があるだろうが! 具体的に何処かは分からないが……

 

『バシ!』

 

 

 泣きながら生徒会室を走り回っていたら、何かを叩いた音が生徒会室に響き渡った。

 

「退治しましたよ。生徒会室に入るやいなや騒いでたので、何事かと思いましたよ」

 

 

 さすが津田だ。我々の出来ない事をサラリとやってのける。

 

「お、おぉ! さすがだ!」

 

「ありがとう津田君! 凄く助かったわ!」

 

「さすが副会長ね! お手柄よ!」

 

「……虫退治くらいでそこまで感謝されると、今まで俺が役に立ってなかったように感じるので止めてもらえます?」

 

「そんな事は無いぞ! 君は生徒会で十分役に立っている!」

 

「だけど今回は本当に津田君が居なかったら駄目だったろうし、素直に感謝させてね!」

 

「本当に助かったわ。私も虫は得意じゃないのよ」

 

「う~ん、やっぱり何だか複雑だな……」

 

 

 私たちは心から感謝してるのに、津田は何故か納得してないような顔でしきりに首を捻っていた。如何やら津田は向上心があるようで、虫退治くらいで褒められるのは本意では無いようだ。

 

「では、改めて津田に礼を言って、この件は終わりとする。津田、本当にありがとう」

 

「いえ、これくらいならお安い御用です」

 

「じゃあこれからも虫退治、よろしく頼むな!」

 

「あれ? それって俺の仕事なんですか?」

 

「うむ! 君にしか出来ない仕事だからな!」

 

 

 我々生徒会に足りなかった力も手に入った事だし、これからも我々は邁進していくぞー!

 

「やっぱ納得いかねー!」

 

「津田、ちょっとは同情してあげるわ……」

 

 

 だがやっぱり津田は納得してないようだったがな。




原作よりも役に立ってるために、あのセリフはなしです

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