桜才学園での生活   作:猫林13世

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下ネタが減ってもボケ側の人間だからな……


ヤンチャタイム

 生徒会室に入ると、シノ会長が机に突っ伏していた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「最近どうにもストレスが溜まっていてな……ヤンチャでもしたい気分なんだよ」

 

「ストレス、ですか?」

 

「自分で言うのもあれだが、学園内で優等生として通っているが、時としてそれが大きなストレスとなるんだ。だから偶にヤンチャしてガス抜きしたくなる気分になるんだ」

 

「ハァ……」

 

 

 日ごろからかましているボケはヤンチャに入らないのだろうか……今日だけでシノ会長に十三回ツッコんだんだがな……まぁ、エロボケが無くなった分成長はしているんだけど、出来る事ならボケるのも止めてもらいたいんだが。

 

「というわけで、タカトシにはこの風船を持ってもらいたい」

 

「何処から取り出したんですか?」

 

 

 やけに用意が良すぎる気がしたが、会長の気が紛れるのなら付き合うとするか……

 

「てい」

 

「!?」

 

 

 突如取り出した針で風船を突き刺したので、咄嗟に身構えてしまう。だが風船は割れる事無く元の形を保っている。

 

「ひっかかったな。テープを貼っておけば針を刺しても割れないのだ!!」

 

「あぁ……」

 

 

 自慢げに語る会長を見て、俺はそう答えるしか出来なかった……というか、これってヤンチャなのだろうか? ただの実験にしかなってないような気もしないでもないが……

 

『パチ』

 

「ん?」

 

 

 今何か、火花が散ったような音がしたような気がしたんだが……

 

『パァン!』

 

「わぁ!?」

 

「あっ、静電気か……」

 

 

 静電気が発生した所為で風船が割れ大きな音がした。俺はそれ程驚かなかったが、会長がびっくりして腰を抜かしてしまった。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ……ちょっと衝撃が強すぎて転んでしまった」

 

「ちょっとシノちゃん? 大きな音がしたけど、何をしてたの?」

 

「何やらスクープの香りが」

 

「どんな匂いだ……」

 

 

 慌てて飛び込んできたアリア先輩とスズと一緒に、畑さんまでもが生徒会室に飛び込んできた。最近忘れられているが、この部屋って関係者以外立ち入り禁止だったような気も……

 

「お騒がせして悪かったな。ちょっとガス抜きをしようとしたらこんなことになってしまって……」

 

 

 シノ会長が申し訳なさそうに頭を下げたのを見て、アリア先輩とスズは納得したような顔をしているが、畑さんは何かを考え込んでいるように思えた。

 

「会長、メディアは真実を伝えるのが務めですが、今回は見なかったことにします」

 

「畑……すまんな」

 

 

 何やら悪だくみをしてるのではないかと疑ってしまったが、どうやら見なかったことにしてくれるようだ。畑さんも成長して――

 

「放屁プレイはマニアックすぎますし」

 

「そのガスじゃないぞ!?」

 

 

――なかったな……

 

「曲解して新聞に載せるつもりなら、貴女を説教しなければいけないのですが?」

 

「大丈夫ですよ。新聞に載せるつもりも、誰かに話すつもりもありませんから」

 

「大丈夫だと言い切るなら、そのメモは何に使うんですかね?」

 

「あっ、これはその……」

 

 

 畑さんのメモ帳には『会長、生徒会室でガス爆発?』という、少し意味が分からない見出し風の一文が書かれていた。

 

「畑……お前とはゆっくり話し合う必要がありそうだな」

 

「じょ、冗談ですので……こんなメモこうしちゃいますから」

 

 

 慌てた畑さんは、メモ用紙を破り捨て、ぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に投げ入れた。もちろん、ダミーを疑ったが今回は本物だったようだ。

 

「さすがに反省しました……これからは真実のみを追い求める事を誓います」

 

「そうしてくれると、我々としても大いに助かるんだがな」

 

 

 最後に会長から釘を刺され、畑さんは頭を下げて生徒会室から出ていった。

 

「まったく……畑の曲解癖には困ったものだ」

 

「ところで、何で風船なんて割ったの?」

 

「割るつもりは無かったんだが、乾燥してた所為で静電気がな……」

 

「そっか~」

 

「というか、何で風船なんて持ってたんですか?」

 

「さっきも言ったが、ちょっとガス抜きとしてヤンチャしようと思ったんだ。だからテープを貼った風船をタカトシに持たせ、針を刺して驚かそうとしたんだが……結局驚いたのは私だったな」

 

「俺は静電気が発生した音が聞こえたので、ある程度身構えられましたから」

 

 

 会長に忠告しようとしたけど、その前に割れてしまったからな……会長には申し訳ない事をしたかもしれない。

 

「タカ兄、会長がガス爆発を起こしたって本当?」

 

「何だその話は……誰から聞いたんだ?」

 

「さっき畑先輩が『ここだけの話』だって教えてくれたんだけど、ガス爆発を起こした割には生徒会室が綺麗だね」

 

「風船が割れただけだからな」

 

「何だ……それじゃあ私は先に帰ってゲームでもしようかな」

 

「宿題はどうした?」

 

「小学生じゃないんだから、そう毎日宿題なんて出ないって。今日はお義姉ちゃんも来ないから、一人で勉強してもはかどらないしね~」

 

「誰かがいれば勉強しようと思えるようになっただけ成長か……」

 

 

 相変わらず一人では勉強しようとしないけど、誰かに見られれば渋々ながらも勉強するようになったのだ。これでも成長していると思える自分が情けないが、とりあえずは善としておこう、うん……




すぐに人に話す畑さん……

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