桜才学園での生活   作:猫林13世

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宿題をちゃんとやってるのはえらいが……


ドッキリアイテム

 タカトシたちが田舎から帰ってきたので、私たちはコトミの勉強を見る為と、タカトシの手伝いをするために朝から津田家に向かっていた。

 

「今のカップル、学生みたいだね」

 

「まったく、学生が朝からイチャイチャして」

 

 

 べ、別に私もタカトシとああいう風に出来ればとか思ってるわけではなく、学生の本分は勉強なんだから、朝早くから見せつけるようにイチャイチャするのが気に食わないだけだ。

 

「じゃあ男女のペチャクチャは?」

 

「まぁ、それくらいは……」

 

「男女のペチョクチュは?」

 

「らめぇ!!」

 

 

 相変わらずこの人たちは……タカトシがいないところでは絶好調ね……

 

「二人とも、そろそろ津田家が見えてきますので、おふざけはほどほどにしてください」

 

「分かっているさ。だがタカトシがいないところでは、羽目を外したって良いだろ?」

 

「外し過ぎなんですよ、二人は!」

 

 

 出来ればタカトシがいないところでも、恥じらいを持って行動してもらいたいものだ……主に私の胃の為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 洗濯を済ませ、掃除でもしようかと思ったところで、家に近づいてくる三人の気配を感じ取った。

 

「シノ会長たち? こんな時間から何の用だろう……」

 

 

 夏休みの前半は、殆ど義姉さんたちと過ごしていたので、シノ会長たちと会うのは臨海学校以来だが、今日は特に予定は無かったと思うんだがな……

 

「本人たちに聞けばいいか」

 

 

 どうせ用事がなくて遊びに来たとか、そういう事なんだろうけど……

 

「朝早くからすまないな」

 

「そう思うならもう少し後に来てほしかったですね。まぁ、追い返したりはしませんが」

 

 

 三人を招き入れ、とりあえずリビングで寛いでもらう。三人分のお茶を用意して、俺は掃除の続きをすべく掃除機を手に取った。

 

「コトミはどうしてるんだ?」

 

「アイツが夏休みのこんな時間に起きるわけ無いじゃないですか」

 

 

 昨日の夜も遅くまでゲームをしてたみたいだし、こんな時間に自発的に起きるなら、俺も義姉さんも苦労しないのだ。

 

「では我々が起こしてこよう。タカトシは掃除を続けてくれ」

 

「はぁ……お願いします」

 

 

 やけにシノ会長が気合いが入っているようだが、何が目的なんだか……まぁコトミを起こしてくれるならありがたいし、特に止める理由も無かったので三人がコトミの部屋に行くのを見送り、俺は残りの箇所の掃除を進める事にした。

 

『起きろコトミ!』

 

『何ヤツっ!? ってシノ会長たちじゃないですか~……グー』

 

『寝るなっ!』

 

『痛っ!? でも、ロリっ子に躾けられるのってなんだか快感』

 

『ロリって言うな!』

 

「何をしてるんだ……」

 

 

 案の定ろくな結果にならなかったようだが、とりあえずコトミが起きたので善しとしておこう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノ会長たちに叩き起こされて、私は眠い目をこすりながら歯磨きをする事にした。

 

「コトミ、ここにタオル……」

 

「ふぁい」

 

「おやおやザ○ゲロをしてるみたいだな」

 

「何言っちゃってんの?」

 

 

 私の寝間着を洗濯するために脱衣所にやってきたタカ兄にツッコまれ、シノ会長が恥ずかしそうに去っていった。前なら気にしなかったはずなのに、最近の会長はやたらと乙女だな~。

 

「お前もくだらない事を考えている暇があったら、残ってる宿題をさっさと終わらせろ。休み明けのテストで七十点以下だったら、容赦なく小遣いを減らすからな」

 

「えぇ!? 七十点なんて取れるわけ無いじゃん! いきなりなんでそんなことを」

 

「この前田舎に行ったとき、お母さんたちがそう言ってたんだ。お前はさっさと寝てたから聞いてないだろうが」

 

「うへぇ……最近漸く六十点平均になってきたばっかだって言うのに……」

 

 

 タカ兄とお義姉ちゃんのお陰で、私は漸く人に言っても恥ずかしくないような平均点になったのだ。

 

「いや、十分恥ずかしいだろ……」

 

「あれ?」

 

 

 私からしてみれば、六十点平均なんて快挙なんだけどな……下手をすれば四十点に届かない教科だってあったくらいだし。

 

「何時まで歯を磨いてるの。さっさと来なさい」

 

「わ、分かりましたから引っ張らないでくださいよ~」

 

 

 スズ先輩に引っ張られて、私はテレビの前のテーブルの所に正座させられた。ここ、私の家だったような気もするんだけどな……

 

「それでコトミ、夏休みの宿題は大丈夫なのか?」

 

「少し残ってますが、今までと比べればバッチリですよ! これ、工作の宿題です」

 

 

 自信満々に取り出したカップを、シノ会長に手渡す。これにはちょっとした仕掛けがあるから、シノ会長が引っ掛かるのが楽しみだな~。

 

「ほほぅ、よく出来て……」

 

『パキ』

 

「っ!?」

 

「――ていうドッキリアイテムです」

 

「あ、あぁ、仕様なのか……」

 

 

 見事に引っ掛かってくれた会長に、私はすぐにネタ晴らしをした。何時までも黙っているのも何だか心苦しいし、元々壊れてるものを壊したと思い込んで凹まれるのは、周りの人にも悪いしね。

 

「じゃ、じゃあ早いところ残ってる宿題を終わらせるぞ! コトミ、ぼやぼやするな」

 

「そんなに意気込んでも、大して残ってませんよ?」

 

 

 今年の私は、タカ兄とお義姉ちゃんにみっちり絞られて、早めに宿題に手を付けたので、この時期でも大して残っていない。これは自慢出来る事だろうな。




発想がろくでもない……

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