桜才学園での生活   作:猫林13世

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柔道部の試合です


初の練習試合

 今日は柔道部初の練習試合と言う事で、生徒会メンバーと共に応援にやって来た。

 

「これ、必勝のお守り」

 

「わーありがとう!」

 

「頑張ってな」

 

「うん! 絶対に勝つからね!」

 

 

 随分と気合が入ってるな……空回りしなきゃ良いけど……

 

「私も今日の為にてるてる坊主を作ったよ~」

 

「それはあまり意味無いんじゃ……」

 

 

 柔道は室内競技ですし、よっぽどでは無い限り天気には左右されないんですが……

 

「それにしても、柔道って初めて見るよ~」

 

「そうなんですか? この前練習を見せてもらったじゃないですか」

 

「あれは練習でしょ? 試合は初めてって意味だよ」

 

「確かに……俺もテレビでは見た事ありますけど、直に見るのは初めてですね」

 

 

 滅多に見れるもんじゃないし、中学には柔道部無かったしな……

 

「津田君もそう言ったもの見るんだね?」

 

「はい? 国際大会とかはテレビでやってるじゃないですか」

 

「え……寝技の国際大会とかあるの!?」

 

「あれ? 俺たち柔道の話してましたよね?」

 

「うん。だから夜の柔道じゃないの?」

 

「……アンタもっとしっかりした方が良い」

 

 

 思春期なのは良いですけど、会話が成立しないくらいのボケは止めてもらいたい……

 

「痛っ!」

 

「如何したの? 大丈夫?」

 

「練習中受身失敗して、手首がコキって」

 

 

 うわぁ、痛そうだな……音を聞く限りだが骨折はしてないだろうけど、手首って意外と使うし捻挫でも相当私生活に影響が出るぞ……

 

「手がコキ!?」

 

「手○キか!」

 

「何か、大丈夫って感じるね」

 

「GO TO 保健室」

 

 

 ふざけてる場合じゃ無いでしょうが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見立て通り、手首の捻挫でドクターストップが出てしまった。これじゃあ練習試合は出来ないな……

 

「よし! 私が代わりに出ようじゃないか!」

 

「でも会長、受身も知らないですし危険ですよ」

 

「じゃあお前が出るか?」

 

「俺は男ですよ……」

 

「ちょっと化粧してウィッグつければいけるだろ」

 

「無理があるだろ……」

 

 

 いくら女顔だと言われてる俺でも、さすがに女装して女子柔道の試合に出るほど女顔じゃないですよ……出れたとしても組めないでしょうが……

 

「パッドもあるけど?」

 

「いや、使わないから……」

 

 

 何でこの人たちは俺を出したがるんだろう……

 

「あのーもう会長を代理としてメンバー表出してきちゃったんだけど」

 

「それが正解だろうな……本人がやる気なんだし」

 

 

 実はもう柔道着に着替えている会長は、既にやる気満々だったのだ……怪我だけはしないで欲しいけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長の出番まで少しあるが、試合は一進一退の白熱した展開になっている。

 

「畑さん」

 

「や!」

 

「新聞部も来てたんですね」

 

「柔道部初の試合ですからね。取材しない訳にはいかないわ」

 

 

 確かに、普段ふざけてるけど新聞部はしっかりと部活の取材をしたりして各部のモチベーションを上げたりしているのだ。今回のも次に繋がるように取り上げてくれるだろう。

 

「それに、こう言うのはネタになるから。女子高生同士がくんずほぐれつ、マニアにはたまらないでしょうね」

 

「……ちょっと別室でお話しましょうか?」

 

「いやね~、冗談ですよ。まさか男子生徒に売りつけたりなんてしてませんから」

 

「俺は何も言ってませんけど?」

 

「お、おホホ、おホホホホホ……」

 

 

 笑いながら徐々に俺から距離を取っていく畑さん……つまりは既に商売してたと言う事なのか。

 

「萩村、ちょっと良いか?」

 

「何よ?」

 

「新聞部が予算要らないみたいだから、来年の予算の割り振りをしなおさなきゃいけなくなった」

 

「それは面倒ね。でも新聞部が予算要らないのなら他の部活が潤うから仕方ないわね」

 

「ちょっとお待ちを!」

 

 

 冗談に感じなかったのか、畑さんが必死に俺たちの会話に割り込んできた。

 

「我々新聞部は桜才学園を盛り上げる為に必死になって活動をしています。その部活から予算を取り上げられたらやっていけませんよ!」

 

「だって独自利益があるんですよね? それを認めるのなら学園からは予算を出せませんよ」

 

「そうね。新聞部は独自予算で活動出来るでしょうし、学園側からの予算は認められません」

 

「これは、私個人でやってるものなので、新聞部自体には利益はありません! ……あっ」

 

 

 自白した事に気付いたが時既に遅し、俺と萩村は畑さんを連行して説教をする事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんを説教してる間に、練習試合は終わってしまった。見れなかったが、如何やら会長は勝ったようだった。

 

「おめでとうございます、会長。よく勝てましたね」

 

「ああ。押さえ込みとか言うので勝ったぞ!」

 

「一本ですか? 凄いですね」

 

 

 いくら会長が運動が得意だからって、素人が一本勝ちとはホント凄いな。

 

「私が貸してあげた小説が役に立ったよー!」

 

「小説?」

 

 

 柔道の試合に役に立つ小説っていったい何だろう……

 

「うん! 男の人を女の人が押さえ込んでくんずほぐれつする小説だよー」

 

「男の人を?」

 

「うん!」

 

 

 萩村が接続詞に引っかかりを覚えたようで、七条先輩に確認している。確かに「が」なら分かるが「を」って……いったいどんな内容なんだ?

 

「……くんずほぐれつ? ロクな小説じゃねぇな」

 

 

 さっき畑さんから聞いたばかりの言葉が七条先輩の口からも出てたのに気がついて、そう言った小説なんだと言う事が分かった。それにしても会長も七条先輩も何て小説読んでるんですか……

 

「ねぇ津田君、さっきの話じゃないけど、女装してみない? きっと似合うと思うんだけど」

 

「しねぇよ! そもそも似合うって言われたくねぇ!」

 

 

 したらしたで絶対何処かでカメラを構えている変態が居るだろうから。絶対にしたくねぇ!




タカトシ男の娘計画が早くも……

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