桜才学園での生活   作:猫林13世

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無理が無いように改変するのにちょっと手こずりました


生徒会新聞

 体育祭まであと数日と迫った今日、生徒会室で会長が重大発表をすると言うので、放課後は生徒会室に向かう事になっている。

 

「津田、生徒会室に行きましょう」

 

「萩村? 分かった、じゃあな柳本」

 

 

 廊下から萩村がひょっこりと顔を出して俺を呼んできたので、柳本に挨拶をして俺は廊下に向かった。途中すれ違ったクラスメイト(女子)から、ロリ疑惑を掛けられたが、断固として違うと声を大にして否定しようとしたら……

 

「ロリって言うなー!!」

 

「!?」

 

 

 小声だったにも関わらず、萩村の耳にも届いていたようで萩村がキレた。名前は有名でも知らない人は居るんだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとしたハプニングはあったが、特に問題は無く生徒会室までやって来た。

 

「「おはようございます」」

 

「うむ! これで全員だな」

 

「シノちゃん、重大発表って?」

 

「この度、生徒会新聞を発行する事となったのだ!」

 

「「「生徒会新聞?」」」

 

 

 この前のホームページと良い、生徒会の事を知らせるメディアなら、もっと前からあっても良かったんじゃ無いだろうか……

 

「そこで、新聞部にも協力してもらう事になった」

 

「やっ!」

 

「……アンタ、何処から現れた」

 

 

 何も無い空間から畑さんが現れ、萩村は驚いてすっ転んだ。

 

「萩村、大丈夫か?」

 

「ええ……ありがとう」

 

 

 転んだ萩村に手を差し伸べて、引っ張り上げた。やっぱり萩村は軽いな……

 

「新聞部に協力って、何をしてもらうの~?」

 

「写真などを頼もうと思っている」

 

「それなら既に大分ありますよ。普段からあなた方の事は写真に収めてますから」

 

 

 確かに、しょっちゅうカメラ持ち歩いてるしな……しかし真面目な写真なら兎も角、おかしな物は没収しておかないと面倒になりかねないからな……

 

「いくらで買います?」

 

「何撮ったんだアンタは!」

 

「冗談。お勧めはこれ」

 

「ん?」

 

「ドアをくぐろうとした際に上に頭をぶつけちゃった津田君」

 

 

 それの何処がお勧めなんだ……

 

「……を、ちょっと羨ましそうに見つめる萩村さん」

 

「ちょっと! これじゃあ私が身長にコンプレックスを持ってるみたいじゃないですかー!」

 

 

 写真を見るやいなやもの凄いスピードで抗議する萩村……そこまで必死だと持ってるって言ってるようなものなんだけど、此処は黙っておこう。

 

「まあまあ落ち着いて。そう言ってくるのは予測済みよ」

 

「……それで?」

 

「コラっときました」

 

「「コラー!!」」

 

 

 くだらない事をした畑さんに俺と萩村のツッコミが同時に入った。本当にろくな事しないな、この人は……

 

「それでシノちゃん、どんな感じにするの?」

 

「そうだな、やはり全ての内容に目を通してもらいたいな」

 

「それならいっそ、袋とじにでもしてみます?」

 

「袋とじ?」

 

「ページとページをくっつけて、中を見えなくする事ですよ。そうすれば興味持ってもらえると思いますよ」

 

 

 主に男子が……この間クラスメイトが持ってきて隅っこで見てたのを、俺はその集団から離れた場所で見て、女子にあれは何だと聞いた事がある……交ざりたいとは思わなかったが。

 

「ああ! イカ臭いエッチ本の事ね」

 

「イカ?」

 

「○液ってスルメのにおいがするでしょ?」

 

「……それは違います」

 

 

 この人の下ネタにツッコムのは大変だ……コトミ以上に何を言ってるのかが分からないぞ。

 

「会長、レイアウトはこんな感じで良いですか?」

 

 

 萩村が簡単に新聞をどんな形にするかをパソコンで作っているんだろう……作業が早いのは良いけど、少しはこっちも手伝ってくれないかな……

 

「うん、なかなか良いんじゃないか。だが、この写真がズレてるぞ」

 

「こうですか?」

 

「今度はこっちがズレてる」

 

「こう……ですか?」

 

「ここも」

 

 

 随分と拘ってるんだな……萩村が気にしないほどのズレを気にするなんて……

 

「会長、そんなに細かい事気にしてたら禿げちゃいますよ?」

 

「下の毛なら歓迎だ!」

 

「……そうですか」

 

 

 萩村が軽く流して、大体の見通しは出来た。後は内容を考えるだけだけど、俺にはあまり関係無いかな。

 

「津田、生徒会新聞に載せるエッセイを頼めるか?」

 

「エッセイ? 俺がですか?」

 

「うむ! 何となくだが、君なら出来るような気がするんだ!」

 

「何ですかその勘は……」

 

 

 結局断れずにエッセイを担当する事になったのだが、不評でも俺は責任取りませんからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、津田が持って来たエッセイを読んだ会長と七条先輩が棒泣きした。

 

「二人共大げさでしょ」

 

 

 七条先輩から津田の書いてきたエッセイを受け取り、サラッと目を通した。男の癖に字が綺麗ね……ふむふむ……これは!?

 

「萩村まで!?」

 

 

 津田が驚いたので気がついたが、私も棒泣きしていた。津田ってこんな文才があったんだ。これなら何時でも物書きとしてやっていけそうだわ……

 

「やはり君に頼んだのは正解だったようだな!」

 

「こんなに胸を打たれた話、初めてだよー」

 

「悔しいけど、私じゃこんな話は書けないわ」

 

「そう? 良かった、喜んでもらえて」

 

 

 津田は照れくさそうに頭を掻いて、笑った。津田のこんな表情を見たのは初めてかもしれないわね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその後、生徒会新聞は無事発行され、好評を博した。主に津田のエッセイが人気のようだった。

 

「あんたって良い物書きになれるわよ」

 

「将来の選択の一つとして考えとくよ」

 

「文才か……私には足りないものね」

 

「萩村だって出来ると思うけど」

 

「あんたには勝てないだろうから止めとくわ。これからあんたのエッセイを毎月読めるって楽しみにしてる生徒も少なく無いようだしね」

 

「プレッシャー掛けないでよ」

 

 

 津田が半ば本気で嫌がってるのを見て、あれだけ凄いエッセイを書いてても自信を持ってないんだなと気付いた。

 

「津田副会長……」

 

「はい? あっ、五十嵐さん」

 

「貴方のエッセイ、楽しみにしてますから!」

 

「え? あっちょっと?」

 

 

 それだけ言って五十嵐先輩は顔を真っ赤にして走り去ってしまった……風紀委員長が廊下を走らないでとか、言いたい事はあったけど、私は五十嵐先輩の反応を見て、自分のライバルになるのでは無いかと思ってしまっていたのだ……それが何のライバルなのかは考えないようにして……




タカトシが真面目だと理解してるから、カエデの出番を如何しようか悩みましたが、ファンと言う事で登場させました。

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