桜才学園での生活   作:猫林13世

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削る場所を間違えてるような……


経費節約

 生徒会室で作業していると、風紀委員の五十嵐がやってきた。

 

「節約してください」

 

「何だいきなり」

 

 

 生徒会室に入るなりいきなりそんな事を言われても、何でそうなったのか分からない。私は五十嵐と向き合い、彼女の発言の理由を聞くことにした。

 

「ここ最近、生徒会の経費が多すぎます。もっと抑えられるのでは?」

 

「なるほど、第三者の目線か……」

 

「外野だからこそ、冷静に物事を見る事が出来ることもありますよね」

 

「しかし、そんなに多くなっていたか……」

 

「普段抑え気味の生徒会だからこそ目立つんです。予算にも限りがありますので、ご協力お願いします」

 

 

 そう言い残して、五十嵐は生徒会室を去って行った。

 

「いきなりで戸惑ったが、確かに五十嵐の言う通りだな。身を切る改革で無駄をなくそう」

 

「例えばどんな感じで~?」

 

「そうだな……いらないプリントはメモ帳に再利用だ!」

 

「確かに、これなら紙を必要以上に買う必要が無くなりますね」

 

 

 萩村がいらないプリントを纏め、結構な量になったのを見て頷いた。

 

「ティッシュは一回一枚だ!」

 

「確かに、一枚で事が足りるのに二枚取ってたりしてたもんね~」

 

 

 鼻をかもうとしていたアリアが、二枚目を引き抜こうとしたのを何とかとどまり、私の言葉に同意してくれた。

 

「私も、テーピングでバストを大きく見せるの止めるから!」

 

「泣くくらいなら使っても良いですよ」

 

 

 私が泣きながら宣言すると、萩村が同情的な目で私の事を見てきた。

 

「ところで、タカトシは何処に行ったんだ?」

 

「あぁ、タカトシなら予算委員に呼び出され、各部の予算分配に」

 

「それで五十嵐が生徒会室に来たのか」

 

 

 予算編成で生徒会が沢山予算を確保すると、他の部に行き渡らなくなってしまうからな……

 

「あっ、そろそろお茶にしようか」

 

「ああ、頼む」

 

「あっでも、身を切る改革をしなきゃ」

 

「このお茶っ葉は、アリアが自前で持ってきたんじゃなかったか?」

 

「そうだけど、あんまり使い過ぎると、次のお茶っ葉を買わなきゃいけなくなるから」

 

 

 そういってアリアは、お茶を一杯だけ淹れて私たちの前に置いた。

 

「というわけで、お茶の量を減らしました」

 

「三人で一杯というわけですか」

 

「タカトシ君がいれば、四人で二杯にしたんだけど、生憎タカトシ君がいないからね~」

 

「というか、もしタカトシがいた場合、誰がタカトシとカップル飲みをするのかでもめただろうな」

 

「ただでさえ最近タカトシとの絡みが減ってる会長や私が大いにもめたでしょうね」

 

 

 萩村も分かっているようで、最近カナや森だけでなく、アリアとの絡みも多くなってる気がするんだよな……その代わりに、私や萩村とタカトシの絡みが減っているのだ。

 

「兎に角、暫くはお茶も我慢しなければならないようだな」

 

「そうだね~」

 

「というか、飲みたいなら自販機に行って買ってくれば良いのでは?」

 

「なっ、タカトシ!? いつの間に現れたんだ」

 

「普通に入ってきたんですけど」

 

 

 いつの間にか戻ってきたタカトシに驚き、私はお茶を零してしまった。

 

「あっつ!?」

 

「なにやってるんですか……」

 

 

 タカトシが呆れた視線を私に向けつつタオルを手渡してくれた。

 

「着替えるなら俺はちょっと出てますね」

 

「いや、そこまでしなくても――」

 

「会長、服が透けてます」

 

「……着替えるから少し席を外してくれ」

 

 

 タカトシに席を外してもらった間に、私は濡れた服を脱いでジャージに着替える事にした。

 

「すみません、さっきは――」

 

「あら、カエデちゃん」

 

「何をしてるんですかっ!?」

 

 

 ちょうど上を脱ぎ終えたタイミングで五十嵐が生徒会室に戻ってきて、私の格好を見て大声をあげる。

 

「いや、お茶を零してしまってな……着替えようとしただけだ」

 

「カエデちゃんは何を考えたのかな~?」

 

「な、何でもありません! ところで、何故お茶を零したのです? 会長なら、そんなミスを犯すとは思えないのですが」

 

「いや、ちょっとビックリしてな……それでお茶を零してしまったんだ」

 

「ビックリ?」

 

 

 五十嵐にお茶を零した経緯を説明すると、納得いったようで二度頷いた。

 

「そういう事でしたか。とりあえず、何時タカトシ君が戻ってくるか分からないですし、早く服を着てください」

 

「タカトシなら、私が着替え終わったタイミングで戻ってくるだろうがな」

 

「アイツはラッキースケベとは程遠いですしね」

 

「でも、サクラちゃんとはラッキースケベが起るんだよね……不思議だよ~」

 

 

 アリアの言葉に、私たち三人の時が停まる。確かにタカトシと森との間には、ラッキースケベが起こりすぎているような気もするな……

 

「って、一回は私がアシストしたんだったな……」

 

「奴隷ゲームの件も含めると二回では?」

 

「兎に角、着替え中にタカトシが帰ってくることは無いだろうから、五十嵐もそこまでそわそわする必要は無いぞ」

 

「いえ、そういう理由でそわそわしてるのではないんですが……」

 

「カエデちゃんもキス経験者だもんね~」

 

「っ!?」

 

 

 アリアの冷やかしに慌てた五十嵐は、足をもつれさせてその場に倒れた。なるほど、五十嵐のパンツは黒なんだな……




何処を見ているんだか……

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