体育祭もいよいよ明日になり、今日はその準備に勤しまなくてはいけない。力仕事なら男手が必要なのだろうが、クラスメイトの男子は何故だか隅っこに集まって何かを話している。いったい何を話してるんだろうな……
「とりあえず此処にあるものは全部出してしまおう」
「分かりました」
三葉たちに指示を送る会長の声で我に返ったが、体育倉庫と言うものは如何してこう粉っぽいのだろう……石灰がまってるのだろうか?
「色々な国の旗ねー」
「ベネゼエラ、ノルウェー、グァテマラ」
「良く知ってるな」
「常識です」
うん、俺もそれくらいは分かるぞ。てか、高校にもなって万国旗って如何なんだ?
「ナプ○ンね」
「うむ、三日目か」
「……旗じゃねぇ!」
てか、想像で何を万国旗に交ぜてるんだよ……今日も会長と七条先輩はアクセル全開のようで、ツッコミに勤しまなくてはいけないようだ……
「この玉転がしの玉は如何します?」
「うむ、それも出してしまおう」
「タマ転がし!? それって、十八禁になれるんじゃない!?」
くだらない事を言った横島先生目掛けて大玉を転がす。
「あーれー……」
程よく勢いの付いた大玉は横島先生を潰そうと転がっていった。無言でのツッコミも楽じゃない……
「次はグラウンドだな」
「そうだねー」
グラウンドでの準備もかなりあるだろうけど、沢山の人が手伝ってくれてるからそれ程大変では無いのかな。
「まずは此処に運営用のテントを組み立てなければ」
「じゃあそれは俺がやります」
「そうか?」
「ええ、良く家族でキャンプに行った時には俺がテントを張ってますから」
「何!? 君は家族の前でテントを張ってるのか!?」
「ええ。親二人が使うのと俺とコトミが使うのとで二つ」
「二つ!? 君は二本も生えていると言うのか!?」
「? ……そう言う意味じゃねぇよ」
会長のボケが漸く理解出来たのでツッコミを入れる。そう言えばさっきからこの人の視線は下半身に向いてたな……
「ところで津田君」
「はい、なんでしょう?」
「ご両親と兄妹で分かれてるの?」
「そうですね。いくつになっても仲が良い両親でして……普通なら母とコトミ、父と俺で分けるんでしょうがね」
あのラブラブっぷりには俺もコトミもほとほと参っているのだ……
「つまり擬似○姦プレイをしてるんだね!」
「違げぇだろ……」
「それと津田君、近親○姦は駄目だよ~?」
「してねぇっての!」
会長の次は七条先輩がボケ倒すので、一向に作業が進まない……この人たちは邪魔するだけなのだろうか? それなら大人しく帰ってほしいんだが……
「アンタも大変ね」
「そう思うなら手伝ってよ……」
さっきから黙々と作業を進めている萩村に増援要請を出す。
「私じゃあの二人纏めては無理だから」
しかしあっさりと断られてしまった……片方だけでもいいから引き受けてくれないかな……
「よし! 次は選手宣誓の練習だな」
「シノちゃん、頑張ってね!」
練習なのに随分と気合が入ってるんだな……
「宣誓! 我々一同、スキンシップに乗っ取り、性交を堂々とする事を誓います!」
「完璧ね!」
「明日は俺にやらせてくれませんかー」
酷い選手宣誓をした会長に、それに感動した七条先輩、やっぱりこの生徒会は駄目だ……
「ちょっと! 何ですか今の選手宣誓は!」
「五十嵐!」
「何処か駄目だった?」
「何処がって、駄目なところ以外あったんですか?」
五十嵐さんの登場で少しはマシになるだろうと期待してたのだが、そう言えばこの人も色ボケが多かったような気が……真面目なのか、会長たちの同属なのか、はっきりしてほしいものだよな……
「会長、今の宣誓を着ボイスにしても良いですか?」
「畑!?」
「女子高生の○姦宣言、しかも堂々とすると……これは売れる!」
「もう帰れアンタら!」
真面目に作業するつもりが無いのがはっきりと分かったので、纏めて追い払う事にした。居ても居なくても変らない……むしろ居ないほうが捗るのなら帰ってもらった方が良いだろう。主に俺の精神衛生上……
「津田ー、次はあっち手伝ってってさ」
「あっち? ああなるほど……」
かなり重そうな荷物を運んでる女子一団が手招きしている……隅っこに固まっていた男子たちは何時の間にか居なくなっており、グラウンドに居る男子は俺だけになっていた……俺、帰っても良いかな……
津田の活躍もあり、体育祭の準備は恙なく終わった。途中で会長や七条先輩がフザケたのもあったけども、予定してた時間より少し遅れた程度で体育祭の準備は完成したのだ。
「これで後は明日を待つだけだな!」
「人前で運動するのはドキドキするよー。……あっ、貞○帯は外しておかなければ」
「そもそも学校にしてくんな!」
津田がお疲れでヘバってるので、代わりに私がツッコミを入れる。こうして考えると私の負担を全部津田が代わりに背負ってくれてるんだと言う事が良く分かった。
「津田、いつもありがとう」
「何? 急に……」
「なんでもない」
バテながらもこっちに視線を向けた津田の表情にドキッとして、私は慌てて視線を逸らした。
「完成してよかったですね」
「我々が本気になればこれくらい楽勝さ!」
「シノちゃんのカリスマ性は凄いもんね~」
「……じゃあ何で津田が此処までバテてるんですか」
二人は途中から遊びだしてしまい、結局津田が殆どの準備の指示と手伝いをしてたのだ。バテてしまってるのも仕方ないだろう。
「津田、明日の本番、大丈夫か?」
「今日はオ○ニーしない方が良いよ~」
「しねぇっての……」
キレが無いながらも津田のツッコミが入る。どんな時でも津田はツッコミなんだと思ったのと同時に、やっぱり津田が居てくれるから私の負担は少なくて済んでるんだと思った。
「よし! 我々も帰ろう」
「そうだね~、津田君」
「何ですか?」
「良かったらお家まで送ってあげようか?」
「出島さんか」
会長がつぶやいたように、七条先輩にはメイドの出島さんが運転するお迎えがあるのだ。ついでに津田を送ってく事なんて容易いだろうが、かなり嫌な感じがするのは何故だろう……
「せっかくの好意ですが、大丈夫です」
勢いをつけて立ち上がった津田は、七条先輩の申し出を断って更衣室まで歩いていった。
「やっぱり津田君は手ごわいな~」
「アリア、何を企んでた」
「ん~? 津田君を車に乗せて逆レ○プをしようとしてたんだ~」
津田、アンタの危機察知能力は凄いわ……私は津田が歩いていった方角に視線を向け、そんな事を思っていたのだった……
記憶を辿りながらの作業でしたので、少し違ったかもしれませんが、アレンジだと思ってください。決して思い出せなかった訳では……