桜才学園での生活   作:猫林13世
<< 前の話 次の話 >>

463 / 503
あんまりされるのも嫌だな……


密着

 体育の授業でダンスをする事になり、私はトッキーとペアを組むことになった。

 

「だりぃ……何でダンスなんてしなきゃいけねぇんだよ……」

 

「まぁまぁトッキー、そうぼやかないの」

 

 

 確かにダンスなんてやる意味あるのかとは思うけど、踊るだけで単位がもらえるなら私にとってはラッキーだ。

 

「……ところで、さっきから掌を広げて何をしてるんだ?」

 

「これ? こうしてみると、皆が私の掌の上で踊ってるように見えるからさ」

 

「楽しそうだな……」

 

 

 トッキーが呆れた目で私の事を見てくるが、私は気にせず遠近法を使って遊んでいた。

 

「あっ……」

 

「どうかしたのか?」

 

「指に跡が残ってる……そんなにキツイ指輪をしてたわけじゃないのにな」

 

「別に跡くらいなら良いんじゃねぇか? 実物があるなら兎も角」

 

「鞄の中にしまってあるんだよ」

 

 

 最近は大人しくしてたからマークされてないとは思うけど、不要な物を持ってきたと知られたら怒られちゃうかもしれないし……

 

「センコーとかに見られなきゃ大丈夫だろ」

 

「だと良いんだけど……」

 

 

 さっきまで楽しかったのに、なんだか憂鬱な気分になって体育の授業は終了した。とりあえず着替えて飲み物を買いに行く途中で、タカ兄とアリア先輩に遭遇した。

 

「あっ、こんにちはー」

 

「こんにちは……あら? コトミちゃん、その指の跡」

 

「っ!?」

 

 

 しまった! 挨拶のついでに思わず手を上げてしまい、アリア先輩に指輪の跡を見られてしまった。

 

「内緒にしておいてあげるね」

 

「へっ? あ、ありがとうございます」

 

 

 タカ兄は難しい顔をしてるけど、アリア先輩は見逃してくれるようだ。これなら何とかなる――

 

「元ア〇ルサック愛好者としてはね」

 

「ほー」

 

「馬鹿な事言ってないで、早いところ済ませましょうよ。コトミも、余計なものは学校に持ってこないように」

 

「「はーい」」

 

 

 二人同時にタカ兄に怒られ、私たちは元気に返事をする。タカ兄はまだ何か言いたげな雰囲気だったけど、ため息を吐いただけで何も言わずに去って行った。

 

「ふぅ、助かった……」

 

「自爆もいいとこだな……」

 

「つい癖でね~。とにかく、早いところジュースでも買って教室に戻ろう」

 

「そうだな。お前に付き合って遅刻したくねぇし」

 

「って、いつの間に買ってきたの!?」

 

 

 横でジュースを飲んでいるトッキーに驚き、私は急ぎ足で自販機を目指したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たまには外で飯を食べようという事になり、俺は今中庭に来ている。普段は教室か生徒会室で済ませるんだが、何故外で食べようという事になったのか、俺は詳しい事情を聞いていない。

 

「――つまり、会長の思いつきなんだな?」

 

「ある意味いつも通りよ。また何か考えがあるのかもしれないけど、少なくとも私は知らないわね」

 

「スズが聞いてないんじゃ、多分考えなんて無いと思うぞ」

 

 

 スズから詳しい事情を聞こうにも、スズも詳しい事は何も分からないらしい。まぁとりあえず重要な事ではないという事だけは分かったから良しとしよう。

 

「それにしても、公衆の面前でいちゃついて恥ずかしくないのかしらね?」

 

「ある意味黙認してるんだから、俺たちも同罪なのかもしれないがな」

 

「あっ、こっちの視線に気づいた」

 

「逃げてったな」

 

 

 一応校内恋愛禁止が校則だと理解しているようで、生徒会役員である俺とスズの視線から非難めいたものを感じ取ったカップルがそそくさと中庭から去って行った。

 

「あんなにくっついて、恥ずかしくないのかしらね?」

 

「近くに座るくらいなら、問題無いんじゃないか?」

 

「私だったら恥ずかしくて逃げ出すわね」

 

 

 スズが何となく機嫌が悪そうだと感じたタイミングで、遠くから会長とアリア先輩の声が聞こえた。

 

『おーい!』

 

『お待たせ~』

 

「先輩たちが座れるように、距離を詰めないと」

 

「……無理に詰める必要は無いんじゃないか? あっちの席も空いてるんだし」

 

 

 さっきまで密着して座るのが恥ずかしいと言っていたスズが、俺に密着するように座り直した。

 

「おい萩村? 随分とタカトシに密着してないか?」

 

「先輩たちが座れるように座り直しただけです」

 

「スズちゃんなら、私の膝の上にでも座れば良いと思うよ~? だからそこは私が――」

 

「いや待て! そこは会長である私が――」

 

「三人で座ってください。俺はあっちに座るので」

 

 

 何だかもめだしたので、俺はカップルたちが座っていた方へ移動し、三人を座らせることにした。何で揉めているのか分かっているが、それを俺が口に出すのは憚られる。

 

「(先輩たちが邪魔するから、タカトシがあっちに行っちゃったじゃないですか)」

 

「(邪魔というが、抜け駆けをした萩村にも問題があると思うが)」

 

「(乙女条約を忘れたとは言わせないからね、スズちゃん)」

 

「(分かってますけど、会長や先輩だって、結構抜け駆けしてますよね?)」

 

「(………)」

 

 

 何を話してるかは聞こえないけど、唇の動きで分かるんだよな……俺に聞こえないように配慮したまでは良いが、口元を隠す事を忘れている時点で、内緒話になってないんだが……




スズなら膝の上に座ってても問題ないとおm……


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。