桜才学園での生活   作:猫林13世

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殆どしたこと無いな……


昆虫採集

 生徒会業務の一環でラジオ体操の手伝いをしていたら、近頃のキッズたちは昆虫を見た事が無いという事をしり、私たちは実物を見せてやる為に山へ虫採りにやってきたのだ。ちなみに、七条家の私有地なので、他の人と取り合いになることはない。

 

「相変わらずスケールがデカいな……」

 

「もう慣れてきたとはいえ、相変わらずよね……」

 

「タカ兄、ずっと上見てたら首が痛くなってきた」

 

「確かに……私もちょっと痛くなってきた」

 

 

 生徒会役員共+コトミで昆虫を探していたのだが、木の高い場所を探すので首に負担が掛かるのだ。

 

「私のように楽な姿勢で上を向くと良いですよ」

 

 

 七条家の私有地という事で、案内役としてついてきた出島さんが、地面に寝そべりながら昆虫を探している。

 

「今日は黒のフリフリですか」

 

「何を見てるんですかね?」

 

 

 昆虫を探していたのではなく、アリアのパンツを覗いていた事が発覚し、出島さんはタカトシに怒られることになった。

 

「出島さんは放っておく事にしても、なかなか見つかりませんね」

 

「子供たちの期待を裏切るわけにはいかん! 採れるまで頑張る!!」

 

「この紫外線の中、己の身を犠牲にする会長、かっこいい!!」

 

「……カブトムシ星に帰省中でいなかったことにしようか」

 

「子供の純粋を利用するな!」

 

「仕方ありません。とっておきを伝授しましょう」

 

 

 先ほどまでタカトシに怒られていた出島さんが、私たちの間に割って現れる。いるって分かっていてもちょっとビックリしたな……

 

「まず、樹液が出ている木を見つけ縛って印をつけます。夜になるとカブトムシを視れますよ」

 

「へー」

 

「私はタカトシ様に縛っていただきたいですけどね」

 

「……それじゃあ、夜になるまでもう少し探してみますか」

 

「スルーっ!? だがそれもいい!」

 

 

 タカトシに相手にされなかった出島さんだったが、それはそれで興奮出来るようで、私たちはその場に置いていく事にした。

 

「あっ、野生のタヌキですよ」

 

「子供が可愛いな」

 

 

 萩村と一緒に見つけたタヌキの親子で和んでいると、コトミがしゃがみ込んでいるのが視界に入った。

 

「こっちにも子供いましたー」

 

「何っ、もう一匹子ダヌキがいるのか」

 

「――クワガタの」

 

「「ギャー!?」」

 

 

 てっきりタヌキだと思って近づいた私と萩村は、コトミの手の中にいるクワガタの幼虫を見てダッシュで逃げ出した。これでも乙女だからな……虫は苦手なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せっかく見つけたクワガタの幼虫を見せようと思ってたのに、会長とスズ先輩が走って逃げてしまった。

 

「どうかしたのか?」

 

「あっタカ兄、クワガタの幼虫を見つけた」

 

「それでシノさんとスズが逃げていったのか……」

 

「まさか逃げ出すとは思わなかったよ――って、タカ兄カブトムシ捕まえたんだね」

 

 

 タカ兄の手に黒く光るものを見つけ、私はそれがカブトムシだと認識した。一瞬Gかとも思ったけど、立派な角が生えてたから間違えなくて済んだのだ。

 

「表面が硬くて黒いんだね~」

 

「なかなかのサイズですね」

 

 

 アリア先輩と出島さんがタカ兄の手にくっついているカブトムシを見ながらそんな感想を言い合っていると、カブトムシが落ちてタカ兄の下半身に貼り付いた。

 

「ガチガチだね」

 

「黒光りしてます……実物はどうなのでしょうか?」

 

「タカ兄のは立派ですよ」

 

「ほぅ……」

 

「何の話をしてるんですかね?」

 

 

 出島さんとタカ兄の下半身談義に花を咲かせようとしたところで、タカ兄が物凄いオーラを放っている事に気付き、私たちはひたすら頭を下げたのだった。

 

「み、皆様。一匹捕まった事ですし、一先ず戻りましょう」

 

「そ、そうですね! 汗かいたことですし、シャワーでも浴びましょうか」

 

 

 出島さんの発言に便乗して、私はダッシュで別荘に戻る事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幼虫から逃げた私と会長だけでなく、何故か出島さんとコトミまで汗だくになっていた。

 

「何かあったの?」

 

「ちょっとタカ兄のプレッシャーから逃げてきたので……」

 

「また何かしたの?」

 

「いえ……タカ兄の下半身に落ちたカブトムシの話を出島さんとしてただけなんですが――ちょっと過激な表現になってしまったので」

 

 

 相変わらずぶっ飛んだ妹なのね……

 

「えっと着替えは……あぁっ!?」

 

「な、なによ……」

 

 

 急に大声を出したコトミにびっくりして、私は少し後退った。

 

「替えの下着を忘れました……」

 

「それじゃあ、旅行中はその下着を使い続けるしかないんじゃない?」

 

「そうですね……」

 

 

 さすがにタカトシが持ってるはずもないし、私はそれだけ言ってシャワーを浴びる事にした。

 

『おや、コトミ。替えの下着はどうしたんだ?』

 

『スズ先輩に旅行中ずっとこのパンツを穿くように言われたので』

 

『っ!?』

 

「ちゃんと事情を説明しろ!」

 

 

 脱衣所から聞こえてきた会話に、私は大声でツッコミを入れた。まるで私が同じ下着を使うように強要してるような感じに聞こえたからだ。

 

「スズちゃん、どうかしたの?」

 

「いえ、コトミの表現にツッコミを入れただけです」

 

 

 隣でシャワーを浴びていた七条先輩に顔を覗き込まれてしまった……というか、相変わらずデカい……




タカトシが言っても事情を聞かれるだけでしょうから、スズに変更しました

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