桜才学園での生活   作:猫林13世

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実はまともにやった事なかったり……


ラジオ体操

 我々生徒会メンバーとコトミで、子供会のラジオ体操を手伝い事になっている。元々コトミはメンバーに入っていなかったのだが、不規則な生活を送っているという事で、その矯正の為にこの前私が誘ったのだ。

 

「コトミ、寝坊せず来られたようだな」

 

「そりゃもう」

 

「………」

 

 

 私はタカトシに視線で問いかけたが、どうやらタカトシが起こしたようではないみたいだ。そうなるとコトミが改心して早寝早起きを……ん?

 

「徹夜したな?」

 

「うっ!?」

 

 

 よく見ればコトミの目の下に隈が出来ている。どうやら早起きしたのではなく、寝てないだけのようだ。

 

「だって、タカ兄が起こしてくれないって言うし、遅刻した分だけのお小遣いを減らすって脅されたので」

 

「だったら早く寝て早く起きればよかっただけなんじゃないか?」

 

「普通の高校生が、夏休みに早起きなんてするわけ無いじゃないですか!」

 

「威張って言う事ではな無いと思うが……」

 

 

 少なくともアリアも萩村も、当然タカトシも当たり前のように来ているので、この中で異質なのはコトミなんだと思うんだよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 徹夜してせっかく来たので、私もちゃんとラジオ体操の手伝いをする事にしよう。

 

「私たちは見本となるわけだから、間違えないように気を付けるように」

 

「分かりました~」

 

 

 シノ会長から注意され、私は記憶の中にあるラジオ体操を必死で思い返す。

 

「(間違えても問題ないだろうけど、変に目立っちゃうだろうしな……)」

 

 

 順調に進んでいく中、次の体操に移動する。

 

『腕を振って体をねじる運動』

 

 

 あぁ、これは腕を左右に振る体操か……ん?

 

「(今会長、間違えたのかな……それとも無意識にバストアップ体操やったのかな?)」

 

 

 本来なら腕を伸ばして左右に振るのだが、会長は腕組みをして体を左右に振った。そこまで気にしてるのかと、心の中で会長に同情していると、スズ先輩がこっちを見ていた。

 

「どうかしました?」

 

「いや、第二体操のこれって、恥ずかしいなって思って……ガニ股になるヤツ」

 

「あぁ、確かにそうですね~。さらに拳をピースにすると、更に羞恥心が増しますよ~」

 

「じゃあやんなよ!!」

 

 

 これでアヘ顔でもしてれば、完全にそういうシーンに見えるだろうけども、あえて表情は真面目にしていたので子供たちには分からなかっただろうな。

 

「というか、ふざけてると後でタカトシに怒られるわよ?」

 

「これくらい大丈夫ですって」

 

 

 スズ先輩と話しながら残りの体操を終え、最後の深呼吸になった。

 

「ようやく終わりましたね」

 

「それ程疲れるものでもないでしょ?」

 

 

 無事ラジオ体操を終え、会長が子供たちのカードに判子を押していく。

 

「お姉ちゃんたちがくれたカブトムシに名前つけたよ」

 

「なんて名前?」

 

「カブトムシだから、カブちゃん」

 

「シンプルでよろしい」

 

 

 さすが子供、単純な名前だなぁ……ん? ちょっと待てよ!

 

「スズ先輩」

 

「何?」

 

「もし捕まえてきたのがカブトムシじゃなくてクリオネだったとしたら――」

 

「何を期待しているんだ!」

 

「別に私はまだ何も言ってませんけど、スズ先輩は何を想像したんですか~?」

 

 

 ニヤニヤと笑いながらスズ先輩を見詰めると、恥ずかしそうに視線を逸らされた。つまりスズ先輩も私と同じ事を考えていたというわけだ。

 

「このムッツリロリめ」

 

「ロリって言うな!」

 

「あいたっ!? だが、この痛みが気持ちいい」

 

 

 スズ先輩に脛を蹴られ、私はぴょんぴょん跳ねながら恍惚の笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラジオ体操の手伝いも終わり、本来ならここで解散なのだが、何故だかコトミが子供たちに大人気で一緒に遊んでいる。

 

「コトミちゃん、子供たちと仲良さそうね」

 

「まぁ、精神年齢が近いんじゃないですかね」

 

 

 高校生にもなってそれもどうなんだと思うが、子供相手に向いているという事にしておくか……

 

「それにしても、コトミの事だから来ないかと思ってたぞ」

 

「さっきコトミが言ったと思いますが、サボれば小遣いは抜き、遅刻したらその分だけ小遣いカットだと脅しましたから」

 

「……高校生にもなって、脅されなければ早起きできないというのも問題だと思うが」

 

「アイツの場合、早起き以前の問題ですけどね……」

 

 

 徹夜してこの場にやってきたんだから、そもそも早起きでも無いんだよな……

 

「あっ! お姉ちゃん、ちょっとトイレに行ってくるからこれ預かって」

 

 

 コトミと遊んでた一人が、トイレに行くためにラジオ体操カードをスズの首にかけていった。

 

「似合ってないよ」

 

「フォローありがとう……」

 

「えー、私的には似合ってると思うんだけどな~。スズ先輩なら、子供たちに交じってても問題なさそうですし」

 

「貴様ー! 言ってはならない事を言ったなー」

 

「それ逃げろー! 今度はあのお姉ちゃんが鬼だぞ~」

 

「「きゃー!」」

 

 

 どうやら態よく鬼ごっこに鬼にされたようだな……

 

「スズちゃんも難儀な性格してるよね~」

 

「まぁ、身体的コンプレックスは誰にでもあるのかもしれませんね」

 

「わ、私は別にないからな!」

 

「何も言ってませんよ」

 

 

 シノさんが慌てて否定した事は、俺もアリアさんも気にしない事にした。




スズもコトミと精神年齢変わらないんじゃ……

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