桜才学園での生活   作:猫林13世

485 / 871
珍しくまったりとした時間が流れてる


津田家の休日

 珍しく生徒会業務も、バイトもない休日を迎え、俺は朝から家の掃除をしていた。

 

「せっかくの休みなのに、タカ君は真面目ですね」

 

「義姉さん、おはようございます」

 

 

 昨日はバイトがあったので、義姉さんにコトミの世話をお願いしていた。その流れで義姉さんはウチに泊まって今起きてきたのだ。

 

「せっかくの休みなんだから、もう少し寝てたらどう? ただでさえタカ君は働き過ぎなんだから」

 

「そんな事ないと思いますけどね。それを言うなら、義姉さんだって昨日は遅くまで起きてたみたいですし、もう少し寝てたらどうですか?」

 

「何で私が遅くまで起きてたことを知ってるの?」

 

「部屋の明かりが消えたのがだいぶ深い時間だったので」

 

「……もしかして、タカ君はそれより遅い時間まで起きてたの?」

 

「畑さんから頼まれたエッセイを詰めちゃおうと思って集中してたみたいです。まぁ、義姉さんの部屋の明かりが消えたのを見て、俺もキリが良いところまでで止めましたけど」

 

 

 まだ完成していないので、掃除や洗濯が終わったら続きをやるつもりだが、今日中には終わる見込みは立ったので、それ程焦ってはいない。

 

「それじゃあ朝食の準備くらいは私がやっちゃうね。まだでしょ?」

 

「まぁ、義姉さんが起きてからやろうと思ってので、まだですけど」

 

「それじゃあ着替えて支度をしちゃうね」

 

「お願いします」

 

 

 義姉さんに朝食を頼み、俺は残りの洗濯を終わらせてしまおうと作業を再開したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ君の家事も一段落したので、私はタカ君と二人でまったりとお茶を飲んでいた。

 

「おはよ~……」

 

「コトちゃん、もう九時過ぎだよ?」

 

「休日の私にしたら、だいぶ早起きですけどね~」

 

「威張って言う事では無いと思うが? お前、昨日は十二時くらいには寝てただろ?」

 

「だって、あそこから続きをやったら、朝までかかると思ったから」

 

 

 どうやら勉強が終わった後でゲームをしていたらしく、コトちゃんはバツが悪そうな表情で頭を掻いている。

 

「自分の部屋の掃除くらいしろよ」

 

「何、急に?」

 

「お前の部屋以外の掃除は、さっき終わらせたからな。今ウチの中で汚いのはお前の部屋だけだ」

 

「べ、別に汚くないよ?」

 

「そういえば、昨日見た限りでは、お菓子のゴミが散乱していたような……」

 

「わーっ! お義姉ちゃん、それは黙ってくれるって約束じゃ……」

 

「今日中に綺麗にしろよ」

 

 

 タカ君に睨まれて、コトちゃんは肩を落として洗面所へ向かう。顔を洗って朝食を済ませてから掃除をする事になってしまい、コトちゃん的には残念なのだろうけど、あの部屋は掃除した方が良いと私も思っていた。

 

「さて、それじゃあ俺は部屋に戻りますので、義姉さんも自由にしてください。今日は俺が家にいますから、帰っても構いませんし」

 

「お昼の支度はしていこうかなって思ってるから、もうちょっといるね」

 

「すみません、お願いします」

 

 

 タカ君は律儀に頭を下げてから部屋に戻っていった。

 

「義姉弟なんだから、もうちょっとフランクに話してくれてもいいのに」

 

 

 タカ君に対するちょっとした不満を零してから、私は残っていたお茶を飲み干したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タカ兄に言われ、私は仕方なく部屋の掃除を始めた。

 

「……おかしい。私は部屋の掃除をしていたはずなんだけどな……」

 

 

 私の目の前には、掃除を始める前より散らかった部屋と、何処から出てきたのか分からないゴミの山が広がっている。

 

「この部屋にこれほどゴミがあったとは……」

 

 

 殆どがお菓子のゴミなのだが、ここまで無精したつもりは無かったんだけどな……

 

「これからはちゃんと、食べたら捨てておこう……」

 

 

 幸いにして黒いアイツは出てこなかったので何とかなりそうだけど、これを今日中に元に戻るのは骨が折れる作業になりそうだな……

 

「タカ兄に手伝って――いや、怒られる未来しか視えないから止めておこう」

 

 

 この間の掃除の際も、タカ兄に手伝ってもらう事になって散々怒られたというのに、またこんな惨状をタカ兄に見せたら、今度こそこの家から追い出されかねないもんね……

 

 

「とりあえず掃除機とゴミ袋、後は雑巾が必要だな……何処にあったっけ?」

 

 

 普段から掃除などしないので、掃除道具が何処にあるかなんて分からないな……タカ兄に聞いて教えてもらうのもあれだし……

 

「まだお義姉ちゃん、いるかな……」

 

 

 今日はタカ兄が一日中家にいられる日なので、お義姉ちゃんはもう帰っちゃったかもしれない。そうなるとタカ兄に怒られるの覚悟で掃除道具の場所を聞かなければ、この部屋で生活する事は出来なくなってしまう……

 

「コトちゃん? 何か探してるの?」

 

「お義姉ちゃん! 掃除道具ってどこだっけ?」

 

「……ここ、コトちゃんの家でもあるんだよね?」

 

「面目次第もありませぬ……」

 

 

 さすがに誤魔化す事が出来ないので、私は素直に頭を下げ自分の不甲斐なさを恥じた。それでとりあえずは納得してくれたお義姉ちゃんは、掃除道具の場所を教えてくれた。

 

「さすがに手伝えないけど、頑張ってね」

 

「な、何とか今日中には終わらせる所存です……だからどうか、タカ兄には言わないでください」

 

「仕方ないね」

 

 

 お義姉ちゃんに口止めをして、私は部屋の掃除に戻ったのだった。




コトミは成長してるのか微妙ですな……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。