桜才学園での生活   作:猫林13世

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自分も偶にため口になる……


ため口ツッコミ

 最近暑くなってきたとはいえ、生徒会メンバーとのスキンシップは大事にしたい。私は校門で見つけたサクラっちにハグをする。

 

「サクラっち、おはよー」

 

「おはようございます……会長、スキンシップが過激ではないでしょうか?」

 

「そうかな? 私としては、これでも我慢してる方なんだけど」

 

 

 ハグだけで済ませているので、私としてはこれでもおとなしめなスキンシップなのだ。本当なら頬ずりしたりほっぺにチューくらいはしたいのだけど。

 

「会長がスキンシップを大事にしてるのは知っていますが、これが校内で流行り出したら大変ですので、もう少し自重していただきたいです」

 

「わかった。じゃあこの距離をキープする形にすればいい?」

 

 

 そう言って私は、自分の胸とサクラっちの胸がギリギリ当たる距離に移動する。これなら過激なスキンシップにはならないだろう。

 

「別の問題が発生しそうなので、暫くはスキンシップを我慢していただく方向でお願いします」

 

「そんな……サクラっちも反抗期なの!?」

 

「違います! ……も?」

 

「今朝珍しくゆっくりしていたタカ君にもスキンシップをしようと思ったんだけど、あの冷静な目で見られたら出来なかった……前は引きつりながらも受け入れてくれてたのに」

 

 

 まぁ、タカ君が忙しそうにしていたところにスキンシップをしようとしたから、怒られそうになったんだけど、それでも義弟とのスキンシップは大事だもの。

 

「とにかく生徒会室に行きましょう。昨日残った作業があるんですから」

 

「そうだね」

 

 

 サクラっちと二人で生徒会室に行くと、青葉っちが既に作業を始めていた。

 

「それにしても今日は暑いですね……」

 

「だからって青葉っち、少しだらしないよ?」

 

「それに比べて会長はしっかりと背筋を伸ばしてますね。下はだらしないですが」

 

「だって、今日は暑いから」

 

 

 バケツに水を張って足を入れて涼んでいる。エアコンを使うまでではないので、これでしのいでいるのだ。

 

「まぁ、会長のそういった大胆なところは見習いたいですけどね」

 

「えっ?」

 

 

 サクラっちの言葉に、私は恥ずかしながらもバケツの水をコップに移して差し出す。

 

「はっはっは、清潔な会長の足の爪に垢なんてあるはずないですよ。ていうかやめろ」

 

「サクラっちのツッコミ、最近タカ君みたいだね」

 

 

 タカ君も所々ため口になることがある。前のサクラっちはそんな事なかったと思うんだけど、だいぶタカ君に影響されてるんだね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今朝は急ぐ必要が無かったので、ゆっくりと家事を済ませてから学校に向かおうとしたところで、コトミから電話が掛かってきた。

 

「何だ? 忘れ物でもしたのか?」

 

『バレてるっ!? って、タカ兄ならそれくらい当たり前か』

 

 

 電話口で納得したような雰囲気が漂ってきたが、とりあえずこいつの相手をまともにしてたら疲れるからな。

 

「それで、何を忘れたんだ?」

 

『パンツ! 悪いんだけど持ってきてくれないかな?』

 

「……確か水泳の授業があったんだっけか」

 

 

 下に直接水着を着ていったから、替えの下着を忘れたというわけか……

 

「というか、異性の家族に下着を持ってきてもらうって、恥ずかしくないのか?」

 

『だって、タカ兄は毎日私のパンツを触ってるでしょ?』

 

「人聞きの悪い事を言うな。洗濯してるだけだ」

 

『じゃあお願いね。朝練が終わったら取りに行くから、生徒会室で待ってて』

 

 

 本当は持っていく義理など無いのだが、妹がパンツを穿かずに授業に出るなんて状況を避ける為に、俺はコトミの部屋から下着を一枚持って鞄に入れる。

 

「(こんなの見つかったら問題だな……)」

 

 

 人に鞄を預ける事など無いから別に良いんだが、何となく嫌な予感がするのは何故だろう……

 

「おはようございます」

 

「よし! 今から持ち物検査をするぞ!」

 

「………」

 

 

 さっきからしてた嫌な予感の正体はこれか。

 

「何故いきなり持ち検を?」

 

「抜き打ちでこそ意味があると思ってな!」

 

「はぁ……」

 

 

 事情を話せばわかってくれるだろうから、必要以上に慌てる事も無いか……

 

「むっ? アリア、これは何だ?」

 

「あっ、今朝出島さんから貰ったお○玉ブラジャー。タカトシ君に是非って言ってたから」

 

「あの人は一度説教した方がいいですね」

 

「そうだな……萩村、この本は何だ?」

 

「先日友人から勧められたのですが、私にはよく分からないものでした」

 

「まぁ、萩村はラノベは読まないだろうしな」

 

「それ以前に、何故女子同士であんなに密着した描写があったんでしょうか」

 

 

 ……そっち方面の本があるとは聞いていたが、まさか身近に読んでいる人がいたとは。

 

「タカトシっ! 何で女子のパンツを持ち歩いてるんだ! 誰と合体してきたんだ!」

 

「変な発想をするな! コトミが下に水着を着てパンツ忘れたから持ってきてくれってさっき電話があったんですよ」

 

「なるほど……つまりタカトシの貞操はまだ守られているわけだな」

 

「最近大人しかったからか、シノ会長の発言に対するいら立ちが半端ないのですが」

 

「タカ兄、持ってきてくれた―?」

 

「コトミ! 年頃の乙女が兄にパンツを持ってこさせるとは何事だ!」

 

 

 タイミングよく現れたコトミに説教する事で逃げたな……まぁ、あの人が変な事を言うのは今に始まった事じゃないしな……




ツッコミにまで敬意を求められてもな……

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