桜才学園での生活   作:猫林13世

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相変わらず場所が凄い


ビーチ勝負

 トリプルブッキングに文化祭にゲスト出演してもらおうと思っていたのだが、英稜高校からもオファーを受けていたという事で、我々桜才学園と英稜高校、どっちの文化祭にゲスト出演してもらうかを懸けて勝負を行う事になった。

 

「――というわけで、場所は七条家が所有しているプライベートビーチだ!」

 

「相変わらずのスケール……この点では我々の負けですね」

 

「なんだ、もう負けを認めるのか?」

 

「そもそも我々は三人、そちらは四人じゃないですか! 人数的にも不利なんです」

 

「うちには萩村がいる。つまり、三人半ということだ」

 

「それ、どういう事ですかね?」

 

 

 勢いで言ってしまって後悔した。だって、タカトシ並みのオーラをまき散らした萩村が私に詰め寄ってきたんだから……

 

「俺は見学でも構いませんよ? 体力勝負がだいたいでしょうから、男の俺が参加したら不公平でしょうし」

 

「なんなら、タカ君はこっちにも参加してくれてもいいよ?」

 

「タカトシを誘惑するな!」

 

 

 我々は今水着なのだ。布一枚で密着すれば、いくらタカトシだって意識しないはずもないだろうし……

 

「義姉さん、俺は桜才学園の人間ですから、英稜チームに参加する事は出来ませんよ」

 

「残念……まぁ、タカ君が見学してくれるのなら、私たちもいつも以上の力を発揮出来るかもしれませんし、今日はそれで手を打ちましょう」

 

「あ、あれ?」

 

 

 相変わらずタカトシは無反応……まぁ、こいつがこれくらいの誘惑で籠絡されるとは思ってなかったが、美人な義姉に水着で抱き着かれても微動だにしないとは、一筋縄ではいかな過ぎるだろ……

 

「と、とりあえず最初の勝負はビーチバレーだ!」

 

「ペアはどうするんですか?」

 

「タカトシが出られない以上、私とアリアのペアだ!」

 

「……文句を言いたいですが、私では戦力になりませんしね」

 

 

 萩村が何か言いたげに私を睨んでいるが、だって萩村じゃネットに届かない可能性が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビーチバレーはギリギリ私たち英稜が勝ったので、会長はご機嫌の様子。でも、チームが違うのにタカトシ君の隣に座るのはどうなんだろう……

 

「次の勝負はビーチフラッグだ! これなら萩村でも活躍出来るぞ」

 

「その言い方は引っ掛かるな?」

 

「べ、別に深い意味はないぞ? お前は脚力があるから、砂場でも問題なく走れるだろ?」

 

「まぁ、そう言ってもらえるのなら頑張りますが」

 

 

 桜才学園側から聞こえてくる会話に、私は顔を引きつらせる。相変わらず萩村さんも難儀な事をしてるんだなと思う一方で、タカトシ君はあのメンバーの中でも普通に活躍出来るんだなという思いが押し寄せてきたからだ。

 

「それじゃあ、こっちはサクラっちに任せるから」

 

「えっ? 私ですか」

 

「スズポンに負けたら恥ずかしいよ?」

 

「変なプレッシャーかけないでください!」

 

 

 私はそれ程運動が得意なわけじゃないんですが……そりゃ並み程度は出来ますけど、ここにいるメンバーで並み程度で何とかなるのは、同じチームの青葉さんくらいだし……

 

「審判はタカトシに任せる。公平な判断が出来るだろ?」

 

「別に贔屓するような人がいるとは思えませんが……」

 

 

 何となく視線を逸らした人が数人見受けられたけども、タカトシ君はそれには気づかないふりをして進行する事にしたらしい。

 

「位置について」

 

 

 一瞬だけ萩村さんがこっちを睨んできたような気もしたけど、勝負前の行動だという事にしておこう……その方が何となく精神的に楽だから。

 

「よーい、どん」

 

 

 タカトシ君の合図で私と萩村さんは一斉にフラッグ目掛けて走り出す。やっぱり萩村さんの脚力には敵わなそうだな……

 

「あっ!?」

 

 

 萩村さんのテールが私のビキニの紐に引っ掛かり、私は何とかそれを外そうとしたが、萩村さんがフラッグに飛び込んだ所為で、その紐が引っ張られてしまった。

 

「取った!」

 

 

 萩村さんが勝ち誇った声で私にそう宣言するが、私はフラッグを取られた事よりも気になることがあるのでその声に反応出来なかった。

 

「び、ビキニの紐が……」

 

「何やってるんだよ……」

 

 

 胸が見えないように腕で抑えていたら、タカトシ君が背後に周って紐を結び直してくれた。

 

「この勝負、我々桜才学園の勝ちだな!」

 

「だけど、サクラっちの一人勝ちな気がするのは何故でしょう?」

 

「ビーチフラッグでビーチフラグを建てるなんて、やっぱりサクラちゃんが強いのかな」

 

「あの、何の話をしてるんですか?」

 

「次は遠泳勝負だ! アリア、任せた!」

 

「ではこちらは青葉っちで」

 

 

 とりあえずこの勝負は負けてしまったので、これで一勝一敗。次の勝負は結構重要になってくるので、私は青葉さんを必死に応援する事にしました。そうしてないと、さっきの事を思い出しちゃうから……

 

「いい勝負してるね」

 

「そうですね。どちらも頑張ってますね」

 

「それじゃあ、私たちは追いかけっこでもしようか?」

 

「は?」

 

「タカ君が鬼ね」

 

 

 そう言って会長が逃げ出し、タカトシ君は何故か追いかける羽目に陥ってしまいました。

 

「なに力押しのロマンスを展開してるんだ!」

 

「てか、タカ君早いっ!? これじゃあ捕まって犯され――」

 

「それは○Vだろうが!!」

 

「大声で変な事を言うな!」

 

 

 おかしなボケをした会長と、おかしなツッコミをした天草さん二人に、タカトシ君のカミナリが落ちる。結局遠泳勝負は、僅差で七条さんが勝利したのだった。




参加してないのにタカトシが一番忙しい……

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