桜才学園での生活   作:猫林13世

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明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。


新感覚クッキー

 新聞部部長の畑さんは何時スクープ現場に遭遇してもいいように何時もカメラを持ち歩いている。大抵は脚色と曲解をしてボツにされているのだが、偶にまともなスクープを撮ってくるのだ。

 

「さっき会長が虫から逃げている場面を撮ったんだけど、見る?」

 

「見ませんよ……」

 

「カリスマ貧乳会長は虫が苦手。タイトルはこれで如何かしら?」

 

「『貧乳』っていらねぇんじゃね?」

 

 

 会長が居たらブチギレそうな事を平然と言ったぞ、この人……

 

「しかしカメラを常時持ち歩いてるって凄いですよね」

 

「もはやカメラは私の身体の一部」

 

「プロ級ですね」

 

 

 そこまでの根性を高校の部活動に注げるのが羨ましい……

 

「具体的に指すと○器の部分」

 

「重要性を表現したかったんだろうが、何故そこ……」

 

 

 もっと他の部分でもよかったでしょうに……

 

「スクープの為なら張り込みだってするわよ」

 

「そんな事まで……」

 

 

 そう言えばこの間ボロボロになって学校に来てたな……あれは張り込み明けだったのだろうか……

 

「だからカメラ以外にも色々と所持してる」

 

「へー……傘に防寒具、飲食物……あれ? これ空ですよ」

 

 

 鞄の中に空のペットボトルが入っていた。この前の張り込みで空になったのだろうか……

 

「それ用足し用」

 

「色々と犠牲にしすぎ……」

 

 

 女子高生がなんて事を……今日日部活動ってそこまでするのが普通なのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、私は会長と津田と一緒に生徒会室へと向かっていた。

 

「津田、君のクラスの男子だが」

 

「はい」

 

「校歌をちゃんと歌えてなかっただろ」

 

「気付きました? 俺も壇上から見て口パクだなと思ってました」

 

 

 私は気付かなかったわね……そもそも興味も無かったし。

 

「さっき聞いたら、校歌って堅苦しかったり難しい言葉があって覚え難いとか言ってました」

 

「それは気分次第だろ。アニソンだと思い込めば大丈夫だとアドバイスしておけ」

 

「全員がそんなキャラ設定ではないだろ……」

 

「じゃあゲーソン」

 

「一緒じゃね?」

 

 

 津田のツッコミに会長が満足したのか、何処かに行ってしまった……

 

「何処行ったんだろう……」

 

「さぁ? でもどうせ後で合流するんだし」

 

 

 部活動予算会議があるので、生徒会室に向かわなくとも直接会議室に行けば良いんだし……

 

「鍵が開いてる」

 

「七条先輩が居るんじゃないかしら」

 

 

 生徒会室に着くなり、津田が首を捻ったので、私は何事かと思った。

 

「如何かしたの?」

 

「萩村、これ四時半からだよね」

 

「あ、いけない」

 

 

 昼にホワイトボードに書いておいた会議の時刻を間違えていたようだ。

 

「それにしても、よく私が書いたって分かったわね」

 

「そりゃ位置で……」

 

「ん?」

 

「字で分かるし、それに書いてる時俺も此処に居たんだけど……」

 

 

 そうだったかしら? 津田は居なかったような気もするんだけど……

 

「や!」

 

「畑さん?」

 

「ちょっと生徒会室を貸してほしいのだけど」

 

「何するんですか?」

 

 

 畑さんの後ろには五十嵐先輩も居る。何でこの二人が一緒に居るんだろう……

 

「ちょっと風紀委員長にインタビューしたくって」

 

「何故此処で?」

 

 

 私の疑問はスルーされ、畑さんはインタビューを始めた。

 

「聞くところによると風紀委員長は相当な男性恐怖症だとか」

 

「そんなにじゃないですよ。若干です」

 

「本当に? 噂では一年のフロアを見回り出来ないくらいって聞いてますが」

 

 

 そう言えばそうだったわね……五十嵐先輩の見回りルートは二年と三年のフロアのみ、一年のフロアは別の人が担当してるらしい。

 

「それで、本当は如何なんですか? 男性恐怖症なんですよね」

 

「そうです……」

 

「なるほど、それで経験を生かして風紀委員長になられたのですね」

 

「は?」

 

 

 経験って何だろう……

 

「それで、何人の男に騙されたんですか?」

 

「そう言った過去はありません……」

 

「さっ、退場願います」

 

 

 津田が畑さんの首根っこを掴んで生徒会室から追い出した。片手で人一人持ち上げられるって、どれだけ凄いのよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 職員室に日誌を持っていったら、横島先生が項垂れていた。

 

「如何かしたんですか?」

 

「ちょっと開いた口が塞がらなくて」

 

 

 何があったんだろう……あの横島先生の口が塞がらない出来事って興味があるな……

 

「どんな事です? 学校問題とか?」

 

「そっちじゃないわ」

 

「と言うと?」

 

「だから、デカイのとやったら緩んだの」

 

「……私の口が塞がらなくなった」

 

 

 職員室で堂々とそんな事を言い切れる辺りが凄いが、いったいどれくらいデカイのを咥えこんだのだろうか……

 

「やっぱり自分のサイズとあったヤツとやらなきゃ駄目ね」

 

「戻るんですか?」

 

「鍛えれば大丈夫よ。その為にも新しい相手を見つけないと」

 

「先生の場合はそう言う相手では無く人生のパートナーを見つけないといけない年齢では?」

 

「ウルセェ! 私はまだそんな歳じゃない!」

 

 

 怒鳴るって事は、先生も焦ってるんだろうな……私は日誌を置いて生徒会室に戻る事にした。予算会議まではまだ時間あるしな……

 生徒会室に戻ってくると、アリアが津田に何かを手渡している。

 

「アリア、それは何だ?」

 

「これはね~ピリ辛クッキーだよ~」

 

「ピリ辛?」

 

「うん! クッキーにわさびを入れてみたの~」

 

「大丈夫なのか?」

 

 

 何だかミスマッチなような気がするんだが……

 

「ちょっと騙されたと思って食べてみて~。例えば、幼馴染のヒロインが非処女だったような感覚で」

 

「……ビッチか」

 

 

 幼馴染がビッチ……新しい感覚だな。

 

「だがアリア、私たちは女だ。幼馴染が非処女でも別に良いんじゃないか?」

 

「それじゃあ津田君が非童貞だった感覚で」

 

「何ッ!?」

 

 

 津田は童貞じゃないのか……

 

「津田! 相手は誰だ!」

 

「シノちゃん、たとえ話だよ」

 

「……そうだったな」

 

 

 慌てて居住まいを整えたが、津田はかなり怖い雰囲気を醸し出していた……出来れば怒られたくないんだが、無理だろうなぁ……




ボケを考えるのは大変です……

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