桜才学園での生活   作:猫林13世

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ちゃっかり美味しい思いしてたんだな……


太った原因

 私は今悩んでいる。来週の練習試合に向けて計量を行ったのだが、なんとオーバーしてしまったのだ。試合に出る為には何としても体重を戻さなければいけないのだが、これだけ練習してるのに何で太ってしまったのかが分からないし、練習だけでは体重を戻せないのだ。

 

「――というわけなんだけど、何かいい案無いかな?」

 

 

 こういう悩みは一人で抱え込んでも仕方がないので、私は柔道部の皆に意見を求める事にした。

 

「それなら楽な、入浴ダイエットですよ。汗を掻いて毒素を出す」

 

「ウォーキングは? 効率よく脂肪燃やせますけど」

 

「うーん、悩むな……」

 

 

 コトミちゃんとトッキーの意見を聞いて、私はどっちをしようか頭を悩ませる。だってどっちも良さそうなんだも……

 

「――とゆーわけで、ジムの温水プールで水中ウォーキングを実施します!」

 

「「「「「(混ざった!?)」」」」」

 

「今回はさらに負荷を掛ける為に、ペアをおんぶして歩きます」

 

「うへぇ……」

 

「ムツミ先輩! それってマネージャーの私もやるんですか?」

 

 

 マネージャーとして同行しているコトミちゃんが挙手をして質問をしてくる。確かにコトミちゃんは試合に出るわけじゃないから鍛えなくても良いのかもしれないけど――

 

「せっかくだからやってね」

 

「うへぇ……」

 

 

 参加してもらおうとしたら、コトミちゃんもチリと同じ反応をした。

 

「(なんでみんな嫌そうなんだろう……? せっかく鍛えられるし、痩せられるのに)」

 

 

 一つの作業で二つの効果が出るんだから、こんなにいい事はないと思うんだけどな……

 

「それじゃあさっそく、チリ」

 

「はいよ」

 

 

 まずは私がチリをおんぶして水中ウォーキングを開始する。それ程キツくないと思っていたんだけど、進むにつれてだんだんと厳しさが増してきた。

 

「結構キツイね、これ……これはカロリーを消費するな」

 

「あんたって食べても太らない体質だと思ってたけど、やっぱり人の子だね」

 

「うん、最近食べ過ぎてたかも」

 

「そうか? 何時も通りに見えたけど」

 

「だってタカトシ君のお弁当のおかず、すっごく美味しいんだもん。よく取り替えっこしてるんだけど」

 

「(えっ、幸せ太り?)」

 

 

 チリが何か言いたそうな雰囲気を醸し出したけども、私は追及することなく歩き続けた。ここでしっかり痩せられれば、またタカトシ君とおかずの交換できるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マネージャーとして同行しただけなのに、何故か私も参加しなければいけなくなった。まぁ今はトッキーの錘として参加してるんだけど。

 

「んぷっ!?」

 

「どうしたの?」

 

「鼻に水が入った」

 

「相変わらずドジっ子だな~」

 

 

 重心を前に傾けすぎてプールに顔が浸かっちゃっただけか……心配して損したよ~……あっ!

 

「トッキー、私トイレ」

 

「はっ? もうちょい我慢しろ」

 

「だって、おんぶって……お尻の穴開くでしょ? そこから水入って……」

 

「すぐ出るから!!」

 

 

 危機的状況を察してくれたのか、さっきよりも急いで歩いてくれたトッキー。そのお陰で私は、ジムのプールで粗相をする事なく済んだ。

 

「いや~危なかったよ」

 

「ホントにな……」

 

「あれ? トッキーたちも休憩?」

 

「部長……いや、ちょっと」

 

 

 トイレから出てお喋りしていたら、ムツミ先輩たちもやってきた。

 

「そうそう、下っ腹摘まめる人は、皮下脂肪持ちらしいよ」

 

「そうなのか? ってムツミアンタ、摘まむところないじゃん」

 

「ちょっと、止めてよ~」

 

 

 チリ先輩がムツミ先輩の下っ腹を摘まもうとしても、残念ながら摘まめなかったようだ。

 

「あっ、ここ摘まめますよ。土手○ン」

 

「下のヤツ排除しろ!」

 

 

 私がムツミ先輩の土手○ンを摘まもうとしたら、トッキーに凄い力で押さえつけられた。

 

「トッキーが摘まみたいの?」

 

「違うっ!」

 

 

 力いっぱい否定されたけど、じゃあ何であんなに焦ったんだろう……私には分からないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長たちが見回りで不在の時、生徒会室に近づいてくる気配を察知し俺は視線をドアに向けた。

 

「タカトシ君、みてみて~!」

 

「三葉……一応ノックをして相手の返事を待ってからドアを開けたらどうなんだ?」

 

「あっ、ゴメンね」

 

「いや、嬉しくて舞い上がってるから仕方ないのかもしれないが」

 

「へっ?」

 

 

 何故俺がそんな事を言ったのか分からないといった様子で首を傾げる三葉。というか、それを言いたくて来たんじゃないのか?

 

「運動して体重を戻したんだろ?」

 

「うん! ……あれ? 私、タカトシ君に太ったって言ったっけ?」

 

「コトミから聞いてた。まぁ、見ればだいたいの体重は分かるんだが」

 

「へー、凄いね~。でもちょっと絞り過ぎて、スカートが――」

 

 

 三葉が何かを言い掛けたところで、彼女のスカートが落ちる。

 

「ありゃ。やっぱりちょっと緩くなっちゃったな~」

 

「今日もプールに行くのか?」

 

「うん! せっかくだから、練習試合まではプールで鍛えようと――あっ、会長。七条先輩にスズちゃんも」

 

「な、なにをしているんだ?」

 

「タカトシ君に私の身体を見てもらってます」

 

「破廉恥だ!」

 

「……絞った身体を確認してもらいたかっただけらしいです。そもそも、これは下着ではなく水着です」

 

 

 相変わらずの勘違いだが、さすがの俺でも女子が下半身下着姿を曝して注意しないわけ無いだろうが。




コトミはいろんな意味で危なかったな……

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