桜才学園での生活   作:猫林13世

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掃除はちゃんとしろよ……


幼少期のタカトシ

 今日はお義姉ちゃんと会長たちが我が家にやってきて、ウチ中の掃除を手伝ってもらっている。何故そんな事になったかと言うと、私が家のあちこちに余計なものを溜め込んでいるので大掃除である程度片付けろとタカ兄に怒られ、お義姉ちゃんが手伝ってくれることになり、その流れで会長たちも手伝ってくれているのだ。

 

「こらっ! 掃除サボるな!」

 

「いやー、物置から昔のマンガが出てきて……」

 

 

 ちょっとマンガを読んでいたらスズ先輩に怒られてしまった。これがタカ兄だったら、問答無用で取り上げてお説教だっただろうな。

 

「こーゆー発掘品でついつい見たくなりません?」

 

「そんなわけ……」

 

 

 スズ先輩の視線が私から側に置いてある段ボールに向けられる。あの中身は確か、昔とったビデオが入ってるはず……そしてスズ先輩が手に取ったテープに貼ってあるラベルには――

 

『タカトシ六才』

 

 

――と書かれていた。

 

「見たいんですか~?」

 

「そ、そんなわけ……」

 

「じゃあ、片づけを再開しましょうか~」

 

「くっ……まさかコトミちゃんに屈する時が来るとは」

 

 

 スズ先輩を降した私はビデオテープを持ってリビングへ向かう。お義姉ちゃんたちならすぐに喰いつくだろうから、大掃除をサボるのにはもってこいだ。

 

「なに? 昔のタカトシのビデオが出てきた?」

 

「見てみた~い」

 

「じゃあ、少し休憩してみんなで見ましょうか。タカ君は買い出しに出かけてるし」

 

「こーゆーのって、照れ臭い子供時代の姿をみんなに見られて悶えるタカ兄を楽しむんじゃないですか?」

 

「タカ君がその程度で動じるとは思えないけど?」

 

「……そうだね」

 

 

 そもそも子供時代からしっかりしていたタカ兄は、見られて困るような事は無いだろうし……むしろ子供時代の無垢なタカ兄の姿を見て先輩たちがショタに目覚めないか――

 

「あっ」

 

「? コトちゃん、どうかしたの」

 

「いえいえ、なんでも」

 

 

 お義姉ちゃんには最初からショタ属性があったんだっけ……

 

「それじゃあ、スイッチオン!」

 

 

 私がビデオデッキを操作して再生すると、いきなり子供時代のタカ兄のドアップから始まった。

 

「わっ、このころのタカトシ君可愛い~」

 

「ホントですね、ナデナデしたい……」

 

「萩村、今何か言った?」

 

「子供のタカトシ君をなめなめしたいって」

 

「思いっきり聞き間違えてますね。というか、タカトシがいないからって下発言するな!」

 

「えー、私もタカ兄をなめなめしたいって思いましたよ~?」

 

「お前と一緒にするな! この変態妹が!」

 

 

 スズ先輩に罵声と蹴りをいただいて、私は大人しくビデオ鑑賞に戻る事にした。それにしても、我が兄ながらこのころからイケメンの匂いがするなんて……

 

「おっ、タカ君がホースを持ってますね」

 

「水が出ないみたいだね~」

 

 

 テレビでは私がホースを踏んで水を止めたのが分からず、タカ兄が覗き込んでいるのを見た私が足を離した所為で、タカ兄の顔に水が○射されていた。

 

「そーいえばこんなことやったな~」

 

「子供ですから、タカ君もコトちゃんの気配をまだ察知出来てなかったんだね」

 

「これをやった後、タカ兄が覚醒して二度と同じ悪戯が出来なくなったんですよね~」

 

「つまり、コトミの悪戯がタカトシを達人クラスまで育て上げたという事か?」

 

「厳密に言えば、私の所為じゃないんですよ」

 

「どういうこと?」

 

「実はこの悪戯、お母さんがお父さんに皮ダムプレイをしてたのを見て影響されちゃって」

 

「このころから変態だったのか、アンタは!」

 

 

 スズ先輩が頑張ってツッコミ役をこなしてるけど、イマイチ威力を感じない。それは私の勘違いではなく、スズ先輩の意識が子供時代のタカ兄に向けられているからだろう。

 

『年上と年下の子、どっちが好み?』

 

『別に、一緒にいて居心地が悪くないのならどっちでも』

 

「タカ君、このころからしっかりと考えてる子だったんだね」

 

「実際タカ兄は年齢や身体的特徴で人を選んだりしませんから」

 

 

 むしろ女の子に興味があるのかと心配になるほどなんだけどね……どれだけ探してもトレジャー見つからないし……

 

「何見てるんですか? ……俺の子供時代のビデオか」

 

「タカ君、どうしてこの時からお義姉ちゃんの義弟じゃなかったの!」

 

「いや、そんな事言われても……」

 

 

 お義姉ちゃんに理不尽に責められて、さすがのタカ兄も戸惑っていた。そして私は、掃除をサボっていたことで後でこっ酷く怒られたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長が携帯をジッと見ているので、私は思わず会長に声を掛けた。

 

「何を見てるんですか?」

 

 

 これで変なサイトを見せられたらお説教していましたが、会長が見ていたのは男の子の写真でした。

 

「これだーれだ」

 

「どことなくタカトシ君に似ているような……」

 

「うん、タカ君の子供(時代)」

 

「っ!? ……あぁ、幼少期のタカトシ君の写真を撮影したんですね」

 

「この前津田家の大掃除をしてる時に出てきたんだ~。すっごく可愛かったよ」

 

「タカトシ君の幼少期ですか……ちょっと想像出来ないですね」

 

 

 今のタカトシ君から想像すると、物凄く真面目でしっかりとした子供時代だったと思うのが普通だけど、もしかしたらヤンチャとかしてたのかな……今度聞いてみよう。




コトミの変態性は昔から……

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