桜才学園での生活   作:猫林13世

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ついに登場新キャラ


新生徒会役員

 生徒会の作業で必要な備品を取りに来たのは良いのですが、私も会長もあの位置の物はとれない。

 

「どうしましょうか?」

 

「私が踏み台になるのでサクラっちが――」

 

「踏み台を持ってきた方が早いですかね」

 

「スルーは酷くないかな? まぁいいです。少し待っていてください」

 

 

 そういって会長は倉庫から出て行く。恐らく踏み台を探しに行ったのだろう。

 

「お待たせ。入って」

 

「人っ!?」

 

 

 てっきり踏み台を持ってくるのだと思っていたのだけども、会長は人を連れてきた。

 

「あの荷物を取ればいいんすね?」

 

「うん、お願い」

 

 

 会長が頼むと、彼はすんなりと荷物を取ってくれた。やっぱり大きいと届くんだな……

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「というわけで、生徒会に入らない? 実は前から目を付けてたんだ」

 

「会長、いきなりは失礼ですよ。いくら男手が欲しいからって」

 

「えっ、私女っすけど?」

 

「ごっ、ゴメンなさい!」

 

「サクラっちが一番失礼だったね」

 

 

 てっきり男子だと思っていたけど、どうやら女子だったようだ……恥ずかしくて穴があったら入りたい。

 

「別にいいっすよ。良く間違われますし」

 

「で、でも」

 

「それに、男に負けないような体作りをしてるんで、間違われるのはある意味光栄っす」

 

「おっー」

 

「腕、硬いね」

 

 

 会長がべたべたと広瀬さんの身体を触りだしたけども、女子同士だし特に注意する必要は無いかな。

 

「失礼しま――」

 

「下っ腹も硬ーい」

 

「っ!?」

 

「女子同士だからね!」

 

 

 タイミング悪く入ってきた青葉さんに、何故か私が言い訳を始める。というか、会長は気にしなさすぎですよ……

 

「やっぱり欲しい!」

 

「会長?」

 

『ドン!』

 

 

 何を思ったのか会長は広瀬さんを壁際に追いやって所謂「壁ドン」をする。

 

「その貴女の素晴らしい肉体、我が生徒会に是非欲しい。真剣に考えてくれない?」

 

 

 どうやら本気で広瀬さんを生徒会に勧誘しているらしい。確かに広瀬さんが入ってくれれば、重いものを運んだり高い場所にある物を取るのに苦労し無さそうだし……

 

「って、股ドンもしようと思ったのに届かない」

 

「目論見外れて良かった」

 

 

 せっかく真面目な雰囲気だと思ったのに、結局は何時も通りか……

 

「入るのは別にいいっすよ」

 

「ホントッ!? じゃあさっそく生徒会名簿に名前を」

 

 

 何だかあっさりと勧誘に成功したようで、英稜高校生徒会役員は四人になった。

 

「これで四人。桜才学園と同じだね」

 

「賑やかになりますね」

 

「生徒会に入るのは良いんすけど、私部活あるんすけど」

 

「うん、そっち優先で良いよ。こっちは暇なときに」

 

「それじゃあ今も部活中? 戻りが遅いと怒られちゃう?」

 

「別に平気っすよ。ちょうど休憩中でトイレに行ってたんで、部の皆うんこだと思ってますよ。あはははは」

 

「もう少し女子としての恥じらいをね……」

 

 

 会長や天草さんたちとは違った意味で恐ろしい子だと感じた瞬間だった……

 

「幽霊部員ならぬ幽霊役員ですね」

 

「そうだね。今度スズポンを脅かすネタにしよう」

 

「止めてあげてください……」

 

 

 萩村さんは怪談が苦手で、面白いくらいに勘違いするので絶対に冷静な判断が出来なくなるだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりに英稜高校との交流会を終え、校門に移動したところで義姉さんが口を開いた。

 

「実は、英稜高校生徒会も役員が四人になりまして」

 

「そうなのか。是非紹介してくれ」

 

「今の時間はちょっと無理ですね」

 

「何か事情があるのか?」

 

「えぇ、幽霊ですので」

 

「ゆ、幽霊っ!?」

 

「スズ、落ちつけ……義姉さんも、狙ってたでしょう」

 

「バレちゃった?」

 

 

 チロリと舌を出して頭を掻く義姉さんを見て、俺は確信犯だっただろうと視線で追及する。だがしれっと追及を避け話を続ける。

 

「今日この後合流するので、その時に紹介しますね」

 

「それじゃあ生徒会室に戻ってお茶でもするか」

 

「そうですね。サクラっち、お茶の用意を」

 

「何で生徒会室を出たんですか……」

 

 

 サクラのツッコミを無視して、義姉さんたちは生徒会室へ歩いていく。

 

「大変だな」

 

「うん、でもまぁ、タカトシ君ほどじゃないから」

 

「そうか……」

 

 

 そう思われるのはなんだか複雑だが、実際サクラの方がまだマシなんだろうな……

 

「それで、新しい役員ってどんな子なの~?」

 

「もうすぐ来ると思いますので、それまでのお楽しみです」

 

「遅れました」

 

 

 お茶を出したタイミングで新しい役員と思われる人が入ってきた。かなり鍛えている様子だし、背もかなり高い。

 

「ほう、彼が新しい役員か」

 

「彼『女』ですよ」

 

「なにっ!?」

 

「あぁ、やっぱり……」

 

 

 どうやらシノさんは新しい役員の人を男子だと思ったようだ。まぁ確かにあの身体つきを見れば勘違いしても仕方がないだろうな。

 

「疑ってるなら触って確かめていいっすよ? そこのお兄さん」

 

「いや、貴女が女子だというのは見ればわかります。かなり鍛えているようですが、骨格などは変えられませんから」

 

「……この人、何者っすか?」

 

「タカ君。私の自慢の義弟」

 

「何の説明にもなってないと思い――」

 

「なるほど」

 

「納得しちゃったっ!?」

 

 

 どうやら別ベクトルのボケのようだな……サクラも大変になるだろうな……




相変わらずの観察眼

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