桜才学園での生活   作:猫林13世

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コトミの相手は変更


徹夜明けのテンション

 コトちゃんの勉強を見て、タカ君が用意してくれたテストで合格点を採れたので、少しくらいならゲームをして良いと許可をもらったコトちゃんは、私を誘ってゲームを始めた――のが昨日の夜。

 

「徹夜しちゃったね……」

 

「つい盛り上がっちゃいましたからね……」

 

 

 既に外は明るくなってきている……ちょっとの息抜きに付き合うつもりだったのに、私としたことが。

 

「こういう時って、ついハイになってしまいますよね」

 

「えっ、お義姉ちゃんはバンパイアの末裔っ!?」

 

「それは灰でしょ」

 

「「あははははは」」

 

 

 一通り盛り上がったところで、私たちは背後から鋭い視線を向けられている事に気が付いた。

 

「随分と楽しそうですね、貴女たちは」

 

「た、タカ君……」

 

「二人とも少し寝ろ。義姉さんは今日、生徒会業務があるって言ってましたよね? コトミは起きたら勉強だからな。夜通しゲームした罰で、何時も以上に厳しくしてやる」

 

「そ、そんな~……」

 

 

 ちょっとコトちゃんに同情したいけど、まだ終わってないのに盛り上がっちゃったんだから仕方ないよね……というか、あのタカ君に逆らったら、私まで危なくなるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室にやってきた会長は、何処か眠そうだったけども、しっかりと作業をしてくれているのでとりあえずは問題ないだろう。

 

「ところで、これ全部広瀬さんのトレーニンググッズ?」

 

「えぇ。暇さえあれば鍛えてるんで」

 

「そうなんだ」

 

「この間会った桜才副会長、あの人はかなり出来そうですからね」

 

「タカトシ君のこと?」

 

 

 確かにタカトシ君は男子の中でも鍛えている方だろうけども、彼は特別な事は何もしていないって言うだろうな。多分、家事をしてて自然と鍛えられていたとか、そんな感じだろうし。

 

「えぇ、そうっす。ところで」

 

「ん?」

 

「森先輩とその人って、付き合ってるんすか?」

 

「ふぇ!?」

 

「いやだって、名前で呼んでますし。森先輩ってあんまり男子と親しそうにしてるところ見た事ないですし」

 

 

 確かに、英稜の男子とはあまり話さないし、名前で呼ぶこともないけども……

 

「前に生徒会合同で旅行に行ったときに、魚見会長と天草さんの発案で名前で呼び合う事になって、そのままの流れで普段も名前で呼んだりしてるだけだよ。苗字で呼ぶこともあるし」

 

「そうなんすか?」

 

 

 広瀬さんが会長に確認をしようとするけども、会長は何処か眠そうな感じで窓の外を見ていた。

 

「会長?」

 

「……えっ? あぁ、広瀬ちゃんは身体を鍛えてるんだっけ? じゃあ私からはこれを――」

 

「それ以上喋るな! というか、何処からそんなもの持ってきた!」

 

「ふたりって仲いいっすね」

 

 

 この状況でそんな感想が出てくるとは思ってなかったけども、広瀬さんにはこれが何か分からなかったみたいだ……というか、分かっちゃった自分が嫌だ。

 

「それで、森先輩と桜才の副会長は付き合ってるんすか?」

 

「タカ君は誰とも付き合ってないよ。コトちゃんの面倒を見るのが大変で、自分の為に使える時間が少ないのが原因だから」

 

「コトちゃん? ペットでも飼ってるんすか?」

 

「ううん、タカ君の妹なんだけど、毎回毎回補習ギリギリで、タカ君と私が散々勉強を教えて漸く平均点に届くようになってきた子。広瀬ちゃんと同い年だよ」

 

「そうなんすか。まぁ、私も赤点ギリギリなんですけどね」

 

 

 大笑いをする広瀬さんだが、会長の眼が鋭く光ったのを私は見逃さなかった。というか、生徒会役員になったのだから、そんなテスト結果で許されるはずもない。

 

「今度の勉強会は広瀬ちゃんも参加だね」

 

「そうですね。タカトシ君にお願いして、広瀬さん用の対策テストを作ってもらいましょう」

 

「えっ、何でそうなるんすか!? というか、対策テストってなんすか!?」

 

「タカ君は過去の傾向から今回出題されるであろう問題を抜粋して模擬テストを作ってくれるの。その的中率は八割強! これさえ出来ればほぼ合格間違いなしと噂されるくらいのテストなんだよ」

 

「でも、学校の違う私の為のテストは、さすがに作れないんじゃないんすかね? ほら、先生の性格とか分からないでしょうし」

 

「大丈夫。私がタカ君に教えておくから」

 

 

 学校が違う事を理由に逃げようとした広瀬さんだったが、それくらい会長が考えていないわけがない。当然の如く過去問を用意してあり、それをタカトシ君に渡して広瀬さん用のテストを用意してもらうつもりなのだろう。

 

「生徒会役員が補習なんて事になったら恥ずかしいしね。それに補習の所為で部活に参加出来なくなっても良いの?」

 

「それは……嫌っす」

 

「でしょ? 大丈夫。タカ君は厳しいけども、その厳しさが途中から快楽に――」

 

「余計な事は言わなくて良いんで。とりあえず、広瀬さんはもう少し勉強した方が良いと思うよ。生徒会云々は置いておくにしても、補習になっていい人なんていないんだし」

 

「そうなんすけど、勉強は嫌いなんすよ……授業中も途中から眠くなってきますし」

 

「何となく分かるけど、授業中に寝ちゃダメ」

 

 

 どことなくコトミさんと似た感じがするけども、広瀬さんは下ネタを言わないだけマシなのかな……




広瀬もダメっぽいな

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