桜才学園での生活   作:猫林13世

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あまりやった思い出は無いな……


潮干狩り

 久しぶりに生徒会メンバーで外出をしようという話になり、私たちは潮干狩りに出かける事にした。買い物とかはしょっちゅう一緒に行っている気もするが、こうして遠出をするのは久しぶりだろう。

 

「さぁ、狩りの時間だ」

 

「遊んでるのは良いが、何でお前までついて来てるの?」

 

「えっ、会長に誘われたので」

 

「おいてくぞー」

 

 

 何となくタカトシに怒られそうに感じたので、私は距離を取ってコトミにそう告げる。別に呼んだからと言って怒られることではないのだが、相談なしに決めたのは何となく気まずいのだ。

 

「それでは早速潮干狩りを楽しもうじゃないか! 私はあっちで探しているから、君たちも頑張ってくれたまえ!」

 

「なんかキャラ違くないですか?」

 

 

 タカトシから少しでも距離を取りたいがために、私はキャラ変更をしてまでアリアと萩村の側に移動した。

 

「あれ、シノちゃん? タカトシ君たちと一緒にやるんじゃなかったの?」

 

「何となく気まずくてな……あっ」

 

 

 逃げてきた時か、今なのかは分からないが、私は自分の足元が濡れている事に気付いた。

 

「裾が濡れてしまったか」

 

「ズボンの丈は短い方が良いね」

 

「そうかもな。だがシャツの丈は長い方が良いぞ」

 

「どうして~?」

 

「ローライズパンチラしそう」

 

「そうなんだ~」

 

「七条先輩の事ですよ!」

 

 

 萩村がツッコんだお陰で、アリアは自分がパンチラしそうになっていたことに気付く。一昔前ならノーパンだったのでパンチラの心配なんてしなくて良かったんだが、今は穿いているからな……

 

「かいちょー! 一緒に貝を狩りましょう!」

 

「コトミか……タカトシはどうした?」

 

「迷子の兄妹がいたので、迷子センターに連れて行ってます」

 

「さすがタカトシ……」

 

 

 こんなところでも頼れる兄貴をしているというわけか……

 

「それじゃあコトミ、一緒に狩るか!」

 

「はい!」

 

 

 そう意気込んだのは良いが、なかなか上手く貝を採る事が出来ずにいる。

 

「ありゃ、また貝われちゃったよー」

 

「力加減が難しいな……」

 

 

 普段熊手なんて使わないので、上手く貝を掘り出す事が出来ない。見つけられても掘り出せなければ、何の意味もないのだ。

 

「二人とも、こっちに並んで」

 

「どうした、アリア?」

 

 

 アリアに手招きされ、私とコトミは素直にアリアの側に移動する。

 

「熊手はね、爪愛撫のように優しくなぞるんだよ」

 

「わひゃ! 何だか気持ちいい……」

 

「(えっ、次は私なのか?)」

 

 

 何となくイケナイ気持ちになり掛けたが、タカトシが戻ってきて熊手のコツを教えてくれたお陰で、私はアリアの爪愛撫を受ける事無く済んだ。何となく残念に思えるのは、きっと気のせいだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長とコトミの相手はタカトシに任せて、私は七条先輩と貝を探す事になった。

 

「砂浜にある穴に塩を入れると――」

 

「わー貝が出てきた! これって確か……マラ貝」

 

「マテ貝です」

 

 

 タカトシが側にいないからなのか分からないけども、今日の七条先輩は絶好調のようだ。こんなことで絶好調になられたくはなかったが……

 

「あっスズちゃん、そこに貝があるよ」

 

「本当ですね」

 

「それってアサリ?」

 

「これはアサリに似ているけど違いますね。一回り大きいです」

 

「ホントだー。えっとそれは確か……ガバマン」

 

「せめてちゃんと隠語使って! バカ貝です!!」

 

 

 やっぱりタカトシにこっちに来てもらおうと思った矢先、会長がカメラを持ってこっちにやってきた。

 

「せっかくの遠出だから、記念に撮っておこうと思ってな」

 

「準備良いですね」

 

 

 私が生徒会に入った頃はデジカメなんて使えなかった会長だが、今では自由に写真を撮る事が出来るまで成長している。まぁ、タカトシが教えたんだけどね。

 

「おっ、良い感じだ」

 

「見せてください」

 

 

 会長が撮った写真を見せてもらうと、スコップを持ってしゃがんでいる私がそこに写っている。

 

「(……なんだか、泥んこ遊びをしているように見える)」

 

「どうかしたか?」

 

「いえ、何でもありません」

 

 

 私が気にし過ぎなだけで、会長に悪意があるわけではないんだから、この考えは私の中にしまっておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貝がいっぱい採れたので、お昼は出島さんにお願いして貝尽くしのメニューにしてもらった。タカトシ君は手伝いたそうだったけども、ウチに招いた以上タカトシ君はゲストだ。ゲストに給仕をさせるなんて出来ないと言うと、渋々納得してくれた。

 

「ホントにタカ兄は真面目だねー」

 

「お前が不真面目なだけだ」

 

「お待たせいたしました。どうぞお召し上がりくださいませ」

 

「美味しそー」

 

 

 タカトシ君に怒られていたコトミちゃんだけども、料理が運ばれてきたらあっという間に興味が料理に移り、凄い勢いで食べ始めた。

 

「美味しー!」

 

「がっつき過ぎだ。ウチじゃないんだから、もう少し遠慮を――」

 

「タカトシ君、別に気にしなくても良いよ? 自分の家だと思ってくれても」

 

「さすがにそれは無理です……」

 

「がっつくと言えば、貝類を食べると性欲が増すらしいです」

 

 

 そう言って出島さんは私の前に料理を運んでくる。

 

「ですのでじゃんじゃん――」

 

「貴女もがっつき過ぎでは?」

 

「あらあら~」

 

 

 出島さんの気持ちは嬉しいけど、私は別にバイじゃないのよね。それに、タカトシ君と出会ってからはタカトシ君以外では興奮出来なくなっちゃったし。




そもそも貝類得意じゃなかった……

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