桜才学園での生活   作:猫林13世

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みんな興味津々だよな……


UMA捜索

 雌型の獣人を追って、山を捜索します。参加者は私と生徒会役員の方々。そして七条家の全面協力の元捜索するので、発見できる確率はかなり上がっているでしょう。

 

「むっ! 見てください、怪しい獣道です!」

 

「普通の獣道に見えますけど……」

 

 

 萩村さんが呆れ気味に私のテンションにツッコミを入れてきますが、私はこの程度のツッコミで大人しくなるつもりはありません。

 

「津田君、怖いから先頭歩いて」

 

「人をフン避けに使おうとするな」

 

「な、ナンノコトデスカ?」

 

 

 私が思っていたことを的確に指摘してきたので、私はついカタコトになってしまう。相変わらず人の心を見透かしたような発言が多い人ですね……

 

「特に何もいないようですね。気配もありませんし」

 

「タカトシ、常人の範囲で判断してくれ……」

 

「普通、気配なんて分からないわよ」

 

「そうか?」

 

 

 天草さんと萩村さんが若干呆れ気味でツッコミを入れると、津田君は不思議そうに首を傾げます。この人は普段常識的なのに、意外なところでズレていますからね。

 

「とりあえず、ベースキャンプに戻りましょうか」

 

「そうだな……おい畑。ベースキャンプはどっちの方角だったか?」

 

「はい?」

 

 

 怪しい獣道に片っ端から入っていったせいで、方向感覚が狂い、ベースキャンプの位置が分からなくなってしまった……

 

「これは、遭難したという事でしょうか?」

 

「おーい。タカトシ君がこっちだってさ~」

 

「……出島さんの気配を辿ったのか?」

 

「それか、最初から分かっていたかのどちらかでしょう」

 

 

 津田君の後に続きベースキャンプに戻ると、七条家メイドの出島さんが出迎えてくれた。

 

「お疲れさまです。どうでした?」

 

「発見には至りませんでしたが、とりあえずくさい箇所に幾つか監視カメラを」

 

「っ!」

 

 

 私の言葉に驚いた出島さんが、小声で津田君に話しかけるのを見て、私はその会話を聞きたくて耳に全神経を傾けた。

 

「相手がUMAとはいえ、法的に大丈夫ですか?」

 

「マーキングポイントじゃねぇよ」

 

 

 出島さんの意図を完全に理解したツッコミに、私は思わず拍手しそうになり、慌てて自分の手を抑える。そんな事で拍手したら、津田君に怒られそうだからね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 監視カメラを仕掛けたお陰で、私たちが歩き回って獣人を探す必要は無くなったが、ずっと静止画でだんだんと飽きてきた。

 

「本当に出るのか?」

 

「そう簡単に見つけられたら、今頃他の誰かが発見して大騒動になっていますよ」

 

「そうかもしれないが……」

 

 

 先ほどまで食事をしていたので、その間の映像も巻き戻して確認したが、特に怪しい物は映っていなかった。

 

「それにしても、相変わらず津田君の料理の腕は凄いですね。本職の出島さんにも負けていない味でしたし」

 

「まぁ、アイツは主夫だからな」

 

 

 ちなみに、タカトシは今出島さんと二人で食器の片づけをしている。普通なら男子のタカトシが私たちの使用済み食器を舐めないか心配になるところだが、あの二人に限って言えば、出島さんが食器を舐めないようタカトシが監視しているのだ。

 

「なんだか手がかゆい」

 

「捜索中になんかの植物に触ったんじゃ? かいちゃダメだよ」

 

 

 画面を見詰めていたら、隣で萩村がアリアに軟膏を貰っていた。

 

「準備が良いな、アリア」

 

「出島さんが粗相プレイで良くかぶれるから、以前から持ち歩いていたんだ~。前は私も良くやってたし」

 

「常用理由は聞きたくなかったです」

 

 

 アリアから理由を聞いた萩村がドン引きしているが、今のは女子の間では一般的な会話ではないのだろうか? 私たちは良くそういう会話をしていたんだがな……

 

「何か映りましたか?」

 

「いや、今のところ何も……」

 

 

 タカトシが片づけを終えて合流したタイミングで、画面の中で何かが光り私はタカトシの腕にしがみつく。

 

「何か光ったぞ!?」

 

「タヌキですよ」

 

 

 冷静に画面を見ていたタカトシが正体を教えてくれたお陰で、私は粗相せずに済んだ。

 

「もしもし、くっつき過ぎでは?」

 

「スズちゃんの目も光ってるね」

 

「夫の浮気現場を目撃した正妻?」

 

「なっ!?」

 

「私は浮気相手じゃないぞ!?」

 

「そのツッコミはおかしい。というか、アンタの取材に協力してやってるのに、随分と面白い事を言うんですね?」

 

「「「っ!?」」」

 

 

 畑に向けて放たれた殺気ではあるが、私たち三人もその殺気に中てられ背筋を伸ばす。先程のタヌキ以上に粗相しそうになったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局俺以外のメンバーは寝てしまい、監視は俺一人で行う事に。途中で出島さんが余計なものを鍋に落した所為でおかしな音が響いたが、それ以外は特に問題は起こらなかった。

 

「まさか寝てしまうとは……」

 

「特に何も無かったですし、記録は残ってるのでご自分で確認してください」

 

「結局イタズラだったという事ですか……」

 

「まぁ、そう簡単に出会えるのなら未確認生物なんて言われませんよ」

 

 

 とりあえず慰めておく事にしたが、最初からいないと思っていたので、そんなにショックを受ける理由が俺には分からない。

 

「せっかく私たちが獣人にイタズラしたかったのに」

 

「そんなくだらない理由だったのかよ……」

 

 

 こんなことの為に、俺は義姉さんにコトミの面倒を頼んで手伝ってたのか……




目的はくだらないけど、行動に移すことは尊敬……いや、しないな

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