桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシの胃痛は解消されるのだろうか……


高校生のテスト

 試験まで日数があまり無い状況でも、生徒会の仕事はある。さすがに試験期間中は無いのだけれども、前の週には多少なりとも仕事が存在するのだ。

 

「これで終わりだな」

 

「そうだね~。やっと帰れるよ~」

 

 

 週明けから試験だというのに、私たち生徒会役員は放課後遅くまで学園に残って作業をしていたのだ。

 

「覚えてると思うが、生徒会役員のノルマは学年二十位だからな! もし二十位以下だった場合はある事無い事言い触らすように畑に頼むからそのつもりで」

 

「大丈夫だよ、シノちゃん。シノちゃんとスズちゃんは学年トップで、私と津田君は学年二位なんだから」

 

「その事ですが、津田の状況を鑑みて、もう少しノルマを下げてあげる事は出来ませんか?」

 

 

 津田は作業途中で具合が悪そうになっていたので会長が先に帰したのだが、正直家に帰した方が状況が悪化すると思うのだが……

 

「事情は萩村から聞いたが、それでも生徒会役員のノルマは学年二十位だ。それに、津田なら難なくクリアー出きるだろう」

 

 

 会長の中でも津田は出きるヤツだという認識なので、私の提案は却下された。もちろん私も津田なら二十位くらいならクリアー出来ると思ってるのだが、あのコンディションで実力を発揮出来るかが不安なのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会長たちの好意で早めに帰ってきたのだが、コトミの勉強を見るのには変わりないのであまり早退の意味は無かった……

 

「寒い……寒くて勉強集中出来ないよ」

 

「大げさだろ。それに、寒いのは俺も同じだ」

 

「じゃあタカ兄、温め合おう!」

 

「お断りだ」

 

 

 馬鹿な事を言い出したコトミに呆れ、解決策を考える……暖房はまだ早いしな……

 

「てな訳で炬燵を用意した」

 

「やったー!」

 

 

 正直コトミに付き合うのは辛いのだが、受験に失敗されると今までの苦労が無意味になってしまうので、ここまできたら最後まで付き合って合格してもらいたいのだ。

 

「じゃあコトミ、勉強再開するぞ」

 

「………」

 

「コトミ?」

 

「グー……」

 

 

 ……状況が悪化した。炬燵に入って寝てたら意味が無いだろうが……

 

「おら、起きろコトミ」

 

「……ふぁい」

 

 

 欠伸をしながら何とか目を覚ましたコトミだったが、集中するのか如何かは正直微妙なところだな……

 

「タカ兄、これって如何解くの?」

 

「ああ、これはだな……」

 

 

 漸くスイッチが入ったのか、コトミは真面目に勉強をし始めた。集中しだすまでに時間がかかるが、集中してくれればそれなりに勉強はしてくれるのだ。まぁ答えが合ってるか如何かはまた別の問題なんだが……

 

「コタツちょっと暑いな~」

 

「温度下げるか?」

 

 

 炬燵のスイッチに手を伸ばそうとして、目の前のコトミの動きが不自然な事に気がついた。

 

「何してるんだ?」

 

「んしょ……これでよし!」

 

 

 モゾモゾと動いてると思った次の瞬間に、穿いていたズボンを取り出して放り投げた。

 

「ちょっと……待ってくれるか?」

 

「タカ兄、コタツの中覗いちゃ駄目だよ? オ○ンコ丸見えだから」

 

「……パンツは如何した?」

 

「一緒に脱いだ!」

 

 

 胃痛と同時に頭痛が……この場合は何の薬を飲めば良いんだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テスト期間などあっという間に終わり、結果が貼り出されているので私は見に行くことにした。津田は大丈夫だったんでしょうね……

 

「あれ? 萩村も結果見に行くの?」

 

「一応ね。アンタの結果が気になって」

 

「何かゴメン……」

 

 

 コトミちゃんの勉強に付き合ってた所為で、自分の勉強が少し疎かになってるとは聞いてたけど、さすがに二十位を下回る事はないと思っているのだ。

 

「自信は如何?」

 

「何時も通りとは行かなかったかな……途中で胃痛に悩まされたし」

 

「病院行った方が良いんじゃない?」

 

「どうせ分かりきってる事しか言われないから良いよ」

 

「分かりきってる事?」

 

 

 津田は自分の状態を正確に把握してるようで、病院に行っても意味が無いと言った。

 

「ストレスから来る胃の痛み、ストレスの原因を解消すれば治るとしか言われないだろうし、胃薬もらって終わりだろうからね」

 

「それでも、市販の薬よりかは効くんじゃない?」

 

「病院行ってる時間があるなら、コトミに単語一つでも覚えさせた方が有意義だ」

 

「……そこまで追い詰められてるのね」

 

 

 年が明ければ受験シーズン到来なので、この時期は追い込みを掛けるのだけども、何故受験生じゃない津田が追い込まれてるのだろうか……

 

「そろそろ結果が見えるな」

 

「……アタシは前まで行かないと見えないわね」

 

「付き合うよ」

 

 

 人がごった返している為に、津田も遠くからでは見えないようで私と一緒に最前列まで人を掻き分けて進んでいく。

 

「どれどれ……」

 

 

 結果の書かれた紙の一番上には、何時も通り私の名前が書かれていた。

 

「今回も萩村がトップだな」

 

「当然ね」

 

 

 だが私が気にしてるのは自分の順位ではない。目線を下げていくと、見たかった名前はすぐに見つかった。

 

 一位 萩村スズ 800点

 二位 津田タカトシ 745点

 三位 轟ネネ 737点

 

 

 何時もより点数は離れてるが、私の下には津田の名前があった。

 

「アンタ、やっぱり凄いわね」

 

「全教科満点の人に凄いって言われても……」

 

 

 津田の体調で私が試験を受けたとしたら、もっと点数は低いと思うのだが、津田はこの点数では納得してないようだった。

 

「二年のも貼ってあるわね」

 

 

 一年の結果の隣には、二年の結果も貼り出されている。

 

 一位 天草シノ 788点

 二位 七条アリア 779点

 三位 五十嵐カエデ 760点

 

 

 相変わらずのスリートップだった。見知った名前では、十八位に畑さんの名前がある。あの人の事だから事前に問題を知ってた可能性もありそうよね……

 

「今回もシノちゃんに負けちゃったか~」

 

「これだけはアリアには負けられないからな」

 

 

 会長が七条先輩の胸を見ながら言う……そこで対抗しようとしても無理ですよ……

 

「試験も無事終わったし、冬休みにみんなでウチの別荘に来ない?」

 

「皆と言うと我々生徒会役員か?」

 

「それと英稜の二人も誘いたいんだけど、シノちゃんにお願いしても良い?」

 

「任せろ! ウオミーにメールすれば森さんにも伝言を頼めるだろうしな!」

 

「ちょっと! それって津田君以外全員女子って事ですよね! 不純異性交遊は認められません!」

 

「それじゃあ、カエデちゃんも来る? クリスマスパーティーみたいな事もするから、プレゼントは持ってきてね~」

 

 

 何だかなし崩し的に予定を入れられちゃったけど、津田は大丈夫なのかしら……津田の事だから大丈夫なんだろうけども、何だか心配だわ……




元々点数が高い為に、少し下がっても順位はそのままで……

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