桜才学園での生活   作:猫林13世

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見るだけに限るよな……


ペット事情

 横島先生と二人で生徒会室にやってきたら、丁度他のメンバーたちが話していた。

 

「昨日ニュースで、道路標識が倒れたって話題ありましたよね」

 

「あれってイヌやネコのおしっこが原因らしいね。腐食したって」

 

「うちのボアもよくするから、気を付けなきゃ」

 

「棒○ナニーする時も気を付けなきゃな」

 

「なに言い出してるんですか? 今、ペットの話をしてるんですが」

 

 

 隣にいる横島先生が余計な事を言った所為で、私までタカトシに睨まれたような気分になる。というか、この人は何で何回もタカトシに怒られてるのに余計な事を言うのだろうか……

 

「というか、私だけペットいないのか……私だって飼いたいのに」

 

「でも、親がアレルギーなんですよね?」

 

「あぁ……」

 

 

 それさえなければ、津田家で飼われているネコはウチで飼えたかもしれないのに……

 

「津田をオナペットにしたらどうだ?」

 

「くだらないことを言うな! どうして横島先生はそういう事しか言えないんですかね」

 

「だって、動物アレルギーの親をどうにかするより、アレルギー源ではないペットを探した方が早いだろ? それに天草だって、津田のことを思ってすることはあるだろうし」

 

「余計な事言わんでください!」

 

 

 確かにここ最近のシチュエーションはタカトシに――って、危ない危ない。タカトシは読心術が使えるから、心の中で呟いてもバレるんだった。

 

「ですから、読心術なんて使えませんから」

 

「っ!?」

 

 

 またしても的確なタイミングで思考を読まれ、私は身体をビクつかせる。

 

「アレルギーじゃない動物を飼えば良いんじゃないか? 例えばハムスターとかなら平気なんじゃないか?」

 

「確かに、ハムスターは可愛いですね」

 

 

 ハムスターなら母もくしゃみが止まらなくなるということはないだろうし、何より可愛いのはポイントが高い。

 

「だが、一つ問題がある」

 

「何ですか?」

 

「部屋にペットがいると、一人Hの罪悪感が凄いらしいからな。逆に興奮して止まらなくなる可能性がある」

 

「何言ってるんですか?」

 

 

 一瞬それもありかもしれないと思ったが、そんな事を言えば私までタカトシに怒られると考え却下する。一瞬だけだから、さすがのタカトシも勘付いていないよな?

 

「それならインコはどうですか? 言葉を覚えてコミュニケーションとれますよ」

 

「楽しそうだな」

 

「ちょっと待った! 大きな問題が!!」

 

「私は声を押し殺してする派なので」

 

「じゃあ、恥ずかしボイスを覚えられることはないな」

 

「少し、お話ししましょうか?」

 

 

 横島先生はタカトシに連れていかれたため、これ以上話が脱線することはなくなったが、部屋を出て行く際にタカトシが私のことを睨みつけてきたのが、少し気になった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シノちゃんのペットを考える為に、私たちは外に出て考える事にした。部屋に篭っていたらいい案が出てこないんじゃないかと思ったのと、タカトシ君に睨まれたシノちゃんの為に気分転換を兼ねてのお散歩だ。

 

「子供の頃を思い出したんだが」

 

「んー?」

 

「親戚のネコが全然懐いてくれなくてな。もしペットを飼ってもああなったらどうしよう」

 

「大丈夫だよ~。こんど、皆でペットショップに行こうね」

 

「うーん……足が重いなぁ」

 

 

 シノちゃんは気が進まないようだけども、私はシノちゃんの足元を見て別の意味だと受け取った。

 

「シノちゃんの足に亀さんが乗ってるからじゃない?」

 

「おおっ!?」

 

 

 シノちゃんは言われるまで気付いていなかったようで、かなり本気で驚いている。

 

「おや、亀吉に懐かれたね」

 

「学園長」

 

「亀というのは結構賢いのだよ。餌をくれる人の顔を覚えたりね」

 

「確かに手伝いで偶にやっていますが」

 

 

 そう言えばシノちゃんが中庭で良く目撃されるって聞いたことがあったけども、亀に餌をあげていたんだね。

 

「ほら、ちゃんと動物にもシノちゃんの気持ちは伝わってるんだよ~」

 

「そっか」

 

「タカトシ君に伝わってとも思うしね~」

 

「な、何のことかなっ!? というか、アリアだってタカトシのことを想ってるだろうが」

 

 

 学園長の前だという事を忘れて、私とシノちゃんは暫しその事で言い争いをした。

 

「ペット云々ということだったが、良ければ亀吉の餌やりを正式に引き受けてくれないか?」

 

「いいんですか?」

 

「事情は分からんが、亀吉が懐いているようだし、ペットを飼う気持ちは味わえると思うぞ」

 

「謹んで拝命いたします」

 

 

 少し堅苦しい返事をシノちゃんがしたのが面白かったのか、学園長は終始笑顔でこの場を去って行った。

 

「これでペット問題も解決だね~」

 

「家で飼えないのは残念だが、疑似ペットが出来て良かったよ」

 

 

 亀吉君は余程シノちゃんのことが好きなのか、シノちゃんの足を上り始める。

 

「うわっ!? 亀が入ってきた!」

 

「何っ!? 亀生えてきただとっ!?」

 

「貴女はまだ説教が足りてないんですか? 何なら学園長室で粛々として差し上げますよ? ついでに、給料査定についても話し合うことになるでしょうが」

 

「それだけは勘弁してくださいっ!」

 

 

 漸く合流したと思ったらすぐにこれだもんね……横島先生は何時になったら反省するんだろうな。




生徒に給料査定の話をされる教師っていったい……

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