桜才学園での生活   作:猫林13世

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まともな人が少ない……


栗拾い

 今日は生徒会のイベントとして行われる栗拾いに参加している。メンバーは生徒会の四人と柔道部、カエデ先輩と畑先輩、轟先輩という、ある意味いつも通りのメンバーで、タカ兄が大変な思いをしそうなイベントだ。

 

「(まぁ、迷惑かけてる側の私が言うのもあれだけど)」

 

 

 この間のスポーツジムだって、このイベントの為にシノ会長が前以て痩せておく為のものだったし……

 

「栗拾いにやってきたぞ!」

 

「拾うぞー!」

 

 

 シノ会長とアリア先輩、そしてスズ先輩はテンションが高い様子だけど、タカ兄は既に引率の先生みたいな雰囲気を醸し出している……ちゃんと横島先生が引率で来てるというのに……

 

「秋の味覚!!」

 

「くりくりくりー」

 

 

 スズ先輩とアリア先輩がハイテンションで騒いでいるので、私もそれに倣う事にした。

 

「乳首!!」

 

「くりくりー……って! 何を言わせるんだ!」

 

「会長が引っ掛かった~」

 

「くそぅ!」

 

「………」

 

 

 私とシノ会長のことをタカ兄が冷めた目で睨んでいるので、私はそそくさとトッキーの側に移動して栗拾いを開始する。

 

「トッキー、素手で拾おうとすると危ないよ?」

 

「別に平気だろ……いてっ」

 

「だから言ったのに。軍手かトング使う?」

 

「そうするわ」

 

 

 相変わらずのドジっ子展開にほっこりしながら、私は足を滑らせて尻餅をついてしまった。

 

「わっ!」

 

「大丈夫かよ?」

 

「うん。アリア先輩から貰った鉄パンツ穿いてきたから」

 

「それはいったい何だ?」

 

 

 トッキーには分からなかったようだけど、近くでくりを探していた轟先輩からはサムズアップを貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんとくりを探していると、萩村さんと轟さん、三葉さんと合流した。どうやらタカトシ君は天草さんと七条さん、横島先生の監視で別行動のようね。

 

「これおっきいー」

 

「栗見てるといろんな料理を食べたくなるなー。くりごはんにくりきんとん」

 

「私はうに丼かな」

 

「いや、形は似てるけどさ……」

 

「私はプリン」

 

「何でプリンなんですかー?」

 

「うにはプリン体多いから」

 

「へー」

 

「何ですか、この連想ゲーム……」

 

 

 だんだんと脱線していった連想ゲームを終わらせ、私たちは黙々とくりを拾い続ける。

 

「ちょっと籠が重くなってきたな」

 

 

 まだ動けなくなる程では無いが、それでも負荷が掛かってきているのは誤魔化しようがない。

 

「その分、足腰が鍛えられますよ!」

 

「それは三葉さんだから出てくる感想ですよ」

 

「(ひょっとして今の発言、女子力低い!?)」

 

 

 私の返事に驚いた表情を浮かべている三葉さん。でも、普通の女子が足腰を鍛えたいとは思わないんだし、仕方ないよね……

 

「赤ちゃんが出来た時の予行演習と思いましょう!!」

 

「なんだかいろいろとすっ飛ばし過ぎじゃない?」

 

「何を大声で言ってるんだ?」

 

「あっ、タカトシ君」

 

 

 三葉さんの声が聞こえたのか、右手で横島先生、左手で畑さんの首根っこを押さえて引き摺っているタカトシ君がやってきた。

 

「何かしたの、その二人」

 

「何時も通りのろくでもないことですから。それで、三葉は何を大声を出してたんだ?」

 

「なんでもないよ。それより、タカトシ君の籠、沢山入ってるねー。重くないの?」

 

「くりよりこの二人の方が重い」

 

「何時もご苦労様です……」

 

 

 畑さん一人なら私でも何とか出来るかもしれないけども、横島先生も一緒となると、私では対応できない。ほんと、タカトシ君がいてくれて助かったよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 拾ったくりを調理する為に、七条家が保有している小屋にやってきた。小屋と言っているが、下手な別荘より広いキッチンがあるので、相変わらずスケールが庶民とは違っているんだと思い知らされた。

 

「くりを剥きやすくするために、水につけておく」

 

「それくらいなら私でも出来ますよ」

 

 

 量が多いので、コトミにも手伝ってもらっているようだが、正直コトミがキッチンにいても役に立たないんだよな……

 

「会長、何個か浮いてるんですけど、これって何でですか?」

 

「浮いているくりの中には虫が入っている可能性が高いんだ。タカトシ、任せた」

 

「………」

 

 

 必ずしも虫が入っているわけではないが、こういうのは虫に食われているので食べるのにはむかない。なので浮いてきたくりを分けて外に戻しておく。

 

「というか、調理するメンバーは誰なんですか?」

 

「私は食べる専門ですので」

 

「私もー! 食材に失礼になるからねー」

 

「別に作ってやっても良いが、お礼にお前の○貞を貰っても良いか?」

 

「横島先生、ちょっと別室でお話ししましょうか?」

 

「天草さん、付き合います」

 

「私も」

 

 

 畑さんとコトミは問題外、シノさんとアリアさんとカエデさんは横島先生を引きずって別室に移動。残っているスズと三葉、轟さんや時さんは揃って視線を逸らす。

 

「……何か希望は?」

 

「タカ兄が作ってくれるなら何でもいいよ~。あっ、でもさっきスズ先輩が言ってたくりきんとんが食べたいかも」

 

「私はくりごはんが食べたいなー」

 

「スズ、米を洗っておいてくれ。こっちはこっちで準備するから」

 

「それくらいなら戦力になれるわね」

 

 

 結局調理は俺一人ですることになり、引率兼調理担当みたいな感じでこのイベントは終わった。




結局調理するのはタカトシ……

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