桜才学園での生活   作:猫林13世

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60話目です


生徒会室の大掃除

 冬休みに七条先輩の家が保有する別荘でクリスマスパーティーをする事になり、俺はプレゼントを選ぶ為にアクセサリーショップに来ている。

 ちなみにパーティーの事がコトミにバレて、アイツも参加すると言ってきたので、丁度いい機会だから萩村にもアイツの勉強を見てもらう事にしたのだ。萩村には伝えてあるが、コトミには教えてない……楽しいパーティーだと思ってついて来たのを後悔させてやる……

 

「(何か最近思考が黒いな……)」

 

 

 胃痛の原因であるコトミに対してだけでは無く、クラスメイトの泣き言にも嫌気がさしてきてるのかもしれないな……

 

「あら? 津田さん?」

 

「森さん。何故此処に……って、おかしいのは俺のほうですね」

 

 

 ここは女性用のアクセサリーがメインのお店だ。森さんの方が居ても違和感の無い場所であって、俺が居るのがおかしいのだ。

 

「もしかしてプレゼント選びですか?」

 

「もう聞いてるんですね」

 

 

 会長が魚見さんに連絡をしてるので、森さんが知っててもおかしくは無いか。

 

「まさか誘ってもらえるとは思ってませんでした」

 

「大勢の方が楽しいと思ったんじゃないですか?」

 

「そうですね。そうか……女の子用って考えじゃ駄目ですね」

 

「ん?」

 

「あっいえ、津田さんにプレゼントが当たる可能性も考えて買わないとって思いまして」

 

「俺は普通に女性用のプレゼントを考えれば良いんですが……そうか、俺が居る分プレゼントを考えるのが面倒になってるんですね……何かスミマセン」

 

 

 自分の事をすっかり忘れていた……自分で自分に贈る訳じゃないから考えなかったけども、他の人は余計に考えなければいけないのか……

 

「それじゃあまた後日」

 

「ええ、気をつけて」

 

 

 森さんと別れ、俺は一つのネックレスに視線を固定する。可愛いとは思うけど、誰に当たるか分からないからな……萩村やコトミにはあまり似合いそうじゃないし……かといって指輪じゃサイズが分からないしな……

 

「(もう少しシンプルなデザインのヤツを探そう)」

 

 

 そもそも異性にプレゼントを贈るなんて、会長の誕生日以来だな……

 

「(あまり高価なものだと引かれるだろうし……このくらいが妥当かな)」

 

 

 さっき目をつけたネックレスよりも若干控えめなデザインで、値段もそれほど高くは無い。誰に当たるかは分からないけども、これなら全員に似合うだろうしな。

 

「すみません、これをください」

 

「はい。プレゼント用ですか?」

 

「ええ」

 

「では、包装紙をお選び下さい」

 

 

 

 なるほど、今はそういったサービスもあるんだな……彼女とか出来たら大変そうだな……

 俺は包装紙を選んで包んでもらったネックレスを鞄にしまい、家に帰る事にした。冬休みまではまだ少し時間があるし、コトミの勉強を見なければいけないのに変わりは無いからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校も今日で終わりの為、私たちは生徒会室の大掃除を行う事になった。

 

「ねぇスズちゃん」

 

「はい?」

 

「パンツも穿いた方がいいかな~?」

 

「それは最初から穿いてるものでは……ッ!?」

 

 

 まさか七条先輩……

 

「萩村、これって捨てていいのか?」

 

「どれ? ……そうね、取っておいても使わないだろうし、捨てちゃいましょう」

 

「了解。でもいざ捨てるとなるともったいないと思っちゃうのは何でだろう」

 

「あ~その気持ち分かる」

 

 

 七条先輩の事を思考から追い出すのに、津田との会話は非常に役に立った。

 

「駄目駄目、思い立ったら捨てないと。そうやって躊躇してると一生捨てられないわよ」

 

「横島先生……居たんですね」

 

 

 相変わらず存在感の無い生徒会顧問ね……

 

「ちなみに私は最近、羞恥心を捨てたわ!」

 

「えっ、最近なの?」

 

 

 津田のツッコミが入り、横島先生は生徒会室から出て行った……何しに来てたんだあの人はまったく……

 

「あっこれ俺の消しゴム」

 

「棚の奥に入っちゃってたのね」

 

 

 ものを落としてそのまま隙間に……なんてよくある事だし。

 

「あっ、ロー○ーのリモコン。こんなところにあったのね~、やっと止められるよ~」

 

「驚かなきゃいけないのに平然としてられる自分が怖い」

 

「そうね……私もあんまり驚いて無いわ」

 

 

 生徒会室になんてものを持ち込んでるんだ、とか思わなきゃおかしいのに、何故だか七条先輩だからという事で納得出来ちゃってるのよね……慣れって怖いわね~

 

「シノちゃん、その箒はこの前の私物?」

 

「いや、これは学園のだ。だが箒を見てると思い出す事があるんだ」

 

「ん? な~に~?」

 

「魔法少女が箒に跨って空を飛ぶシーンがあっただろ」

 

 

 そんなのもありましたね……もしかして箒で空を飛んでみたいとか思うのかしら。

 

「あれは気持ち良さそうだった」

 

「分かるよ!」

 

「分かるな」

 

 

 私よりも先に津田のツッコミが炸裂する。具合悪そうなのに相変わらずの切れの良さよね。

 

「さて、こんなものか」

 

「後はこのゴミを収集所に持ってくだけだね~」

 

「俺が持ってきますよ」

 

 

 結構な量があるのにもかかわらず、津田は簡単にゴミを持ち上げて収集所に持っていった。

 

「さすがは津田だな」

 

「力持ちだよね~」

 

「うむ! 五月に重い日の私を軽々持ち上げただけはあるな!」

 

「そんな事もありましたね」

 

 

 あの時はまだ津田の事を誤解してたけど、今は安心して付き合えてるものね。

 

「そういえばシノちゃん、プレゼントは用意した?」

 

「当然だ! ウオミーや森さんにも連絡はしておいたからな!」

 

「私もカエデちゃんに連絡しておいたから、当日は家まで迎えに行くからね」

 

「そんなに大勢乗れるんですか?」

 

「大丈夫、出島さんは大型車も運転出来るから」

 

「なら安心だな! 後は当日を待つだけだ!」

 

「シノちゃん、楽しみにしてるのはいいけど、また寝不足にならないでね」

 

 

 そういえば会長って、遠足とかの前日寝れないタイプなんでしたっけ……よく見れば隈があるよな気も……

 

「クリスマスパーティーも大事だが、各自冬休みの宿題を忘れないようにな!」

 

「大丈夫だよ~。別荘で一緒にやれば」

 

「そうですね。参加メンバーを見れば問題は無さそうですしね」

 

 

 気になるのは津田の妹のコトミちゃんだ……津田が具合悪そうにしてる原因だけど、何故だかこのパーティーに参加するようなのだ……津田からは勉強を教えてやってくれと頼まれたけども、正直不安しかないのだけども……

 

「戻りました」

 

「よし! それでは今年の生徒会はこれにて終了だ!」

 

「お疲れ様~」

 

「次はアリアの別荘で会おう!」

 

 

 張り切ってるわね~……まぁ楽しみなのは私も同じだけども、あそこまではしゃぎはしないわよね。

 

「では俺はこれで。妹の成績を確認して冬休みにスケジュールを組まないといけませんので」

 

「頑張れよ」

 

「お迎えに行くから、当日は準備して待っててね」

 

 

 校門で別れ、私たちはそれぞれ帰路についた。会長と津田が同じ方向なのが気になるけど、あの二人なら何も無いわよね。




次回別荘へ……待ち受けるのは誰に対しての地獄なのか……

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