桜才学園での生活   作:猫林13世

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タカトシなら慣れてても不思議では無いが


プレゼント選び

 コトミが珍しくいい成績を取ったので、俺は親からご褒美に何か買ってやったらどうだと言われたので、何か買ってやることになった。のだが――

 

「何が欲しいんだ?」

 

 

 年頃の妹の欲しい物なんて分からないので、俺は何件か店を回ったけどさっぱり分からない。こういう時に彼女でもいれば相談できたのかもしれないが、生憎そういう相手はいない。

 

「あれ? タカトシが何で女子向けの店にいるの?」

 

「スズ? それにシノさんにアリアさんも」

 

「私たちは女子会でウインドウショッピングだが、タカトシは何してるんだ?」

 

「コトミにプレゼントをすることになったんですけど、何を買えば良いのか分からなくてですね」

 

「珍しいな。タカトシならそういうシチュエーションに慣れててもおかしくないと思うんだが」

 

「彼女もいない高校生男子に何を期待してるんですか」

 

 

 普段買っている服とかで良いなら問題ないが、それだとご褒美にはならない。だから頭を悩ませているのだが、シノさんたちは微妙な目でこちらを見ている。

 

「何ですか?」

 

「お前なら作ろうとすればすぐにできるだろうと思ってな」

 

「作ろうとしてもコトミの世話とかで時間が取れませんので」

 

「何ならコトミちゃんはウチの淑女教室で徹底的に鍛えてあげるけどー?」

 

「遠慮しておきます。もう少し店を回って決めようと思いますので、俺はこれで」

 

 

 三人と別れ、俺はもう数件の店を回ったが、こういうお洒落着よりゲームの方が喜ばれそうだと思い、コトミと一緒にゲームしている義姉さんに相談して、どのゲームを買うか決めた。もちろん、やり過ぎたら即没収の上捨てるということを言い含めておいたので、やり過ぎることはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室で作業していると、どうしても女子同士ということもあって気が緩むことがある。といっても、主に緩んでいるのは広瀬さんなのだけど……

 

「広瀬さん、スカート短すぎない? ここには女子しかいないからある程度なら黙認するけど、一応生徒会役員なんだから」

 

「そうなんすけど、高校に入ってから急激に背が伸びたので」

 

「スズポンが聞いたら発狂しそうな理由だね」

 

「あの人本当に年上なんですよね?」

 

「私やタカトシ君と同級生なんだから、少なくとも広瀬さんよりかは上だよ」

 

 

 日本には飛び級制度がないので絶対に同い年なのだけど、何となく言い切る自信が無い……こんなこと萩村さんに知られたら怒られそうだけども……

 

「そういうサクラっちも、体操服の丈が短くなってたけど」

 

「高校に入って胸が成長――って何言わせるか!」

 

「シノっちが聞いたら発狂しそうな理由だね」

 

「一々桜才の人を引き合いに出さないでくれません?」

 

 

 天草さんは慎ましやかな胸に、萩村さんは身長にコンプレックスを懐いているのは知っているが、それを引き合いに出すのは本当に止めて欲しい。会長も私がそう言うと分かっていて言ってるから性質が悪いのだ。

 

「そういえば今度の交流会は英稜でやることになってるから、色々と準備しておかないとね」

 

「交流会? それってなんすか?」

 

「英稜高校と桜才学園の生徒会同士で意見交換したり、企画の意見出しをしたりするんだよ。この前のパワースポット巡りはその延長かな」

 

「かき氷大食い大会もそうだね」

 

「あぁ、あれって交流会だったんすね。てっきり会長たちが津田先輩に会いたいからだと思ってました」

 

「そんな理由じゃないよ」

 

 

 確かにタカトシ君がいてくれたらだいぶ楽ができるから良いんだけども、その分タカトシ君が大変な思いをしていると思うと、素直に任せられないし……

 

「広瀬ちゃんはタカ君のこと、どう思う?」

 

「かなりデキる人だと思います。私のことを一目で女子だと見抜きましたし、会長たちに向ける殺気もかなりのものでしたし」

 

「タカ君の凄さはそれだけじゃなくて、勉強もできて料理も得意、掃除洗濯もお手の物。さらには文才もあって運動神経抜群」

 

「本当にいるんすね、そういう完璧超人。でも彼女がいないとか言っていたような気もしたんすけど、それだけのスペックなら、いてもおかしくないとおもうんですが」

 

「タカ君が彼女を作らない理由は、そういうことに時間を割くことが難しいからなんだよ。コトちゃんの面倒を見たり、バイトや家事、エッセイなんかをやって更に自分の勉強をしてるんだから」

 

「タカトシ君はあまり自分の勉強を家でやらないって言ってましたが」

 

「テスト前にはさすがにやってるよ。まぁ、クラスメイトたちに教えてるついでに復習してるらしいから、あまり家でやってる姿は見ないけど」

 

 

 下手な教師より分かり易い解説をするということで、テスト前のタカトシ君はクラスメイトから大人気だとか。まぁ、テスト前じゃなくても大人気なんですが。

 

「そういうわけで、広瀬ちゃんもタカ君に教えてもらうと良いよ。この前のテスト、赤点ギリギリだったんでしょ?」

 

「勉強嫌いなんで」

 

「だいたいみんな嫌いだけど、やらないと駄目だからね?」

 

「善処しまーす」

 

「するつもりないでしょ、その返事」

 

 

 広瀬さんの返事を聞いて、私は思わずため息を吐いた。コトミさんとは違う意味で問題児かもしれないよね、広瀬さんって……




勉強したくないのは分かる

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