桜才学園での生活   作:猫林13世

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原作ではタカトシの宿題でしたけどね


ホラーゲーム

 生徒会メンバーが私の勉強を見てくれるということでやってきているのだが、タカ兄は家事、お義姉ちゃんはバイトで私がサボるんじゃないかと思いお義姉ちゃんが頼んだらしいと聞かされ、私はどれだけ信用が無いんだとちょっと落ち込んだ。

 

「冬休みの宿題終わったー!」

 

「意外と早かったな。もう少しかかると思っていたぞ」

 

「私だって成長しているんですよ! まぁ、威張って言える程の成績ではないんですけど」

 

 

 タカ兄とお義姉ちゃんに面倒を見てもらって漸く平均に届くくらいなので、胸を張って言える程ではないと自覚している。それでも入学したてのことよりかは良い成績になっているのだけども。

 

「せっかくですから一緒にゲームしませんか?」

 

「タカトシから許可は出てるのか?」

 

「宿題が終わったらやってもいいって言われてるので」

 

 

 もちろん、やり過ぎたら怒られるだろうけども、このゲームはそれ程長いものではないし、皆でやる分にはタカ兄も怒らないだろう。

 

「んー、私テレビゲームってあんまりやらないんだけど」

 

「見てるだけで良いです。一人でやるの怖いんで」

 

 

 そう言って私は、ホラーゲームのパッケージをスズ先輩に見せる。

 

「ノォオオオオ!?」

 

「何かあったのか?」

 

「スズ先輩をホラーゲームに誘っただけだよ」

 

「なるほど……ほどほどにな」

 

 

 スズ先輩の絶叫を聞きつけたタカ兄が顔を出したが、理由を聞いてすぐに戻っていってしまった。タカ兄がいてくれれば怖くても大丈夫だと思ったんだけど、どうやらタカ兄は一緒にいてはくれないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここで逃げ出すのも子供っぽいので、私はコトミに誘われたゲームをすることにした。別にゲームをすること自体に問題は無いのだけども、よりにもよって何でホラーゲームなのかしら……

 

「最近のゲームって、ずいぶんリアルですね……」

 

「ハハハ、それでも所詮ゲームさ」

 

 

 プレイしているコトミの隣で、私は会長に話しかける。会長は怖くなさそうだけども、何となく顔が強張っているように見えるのは、私一人だけが怖がっているのが恥ずかしいとか、そういう理由ではないと思う。

 

『ヴォオオオ』

 

「っ!?」

 

 

 画面の中でゾンビが襲ってくるシーンが流れると、私の隣で会長が大きく震えた――ように見えた。

 

「今のはビックリしたんじゃなくてしゃっくりだ」

 

「別に誤魔化さなくても良いですよ……私も怖かったですし」

 

「普段大人ぶっていますけど、会長もスズ先輩もまだまだですね。この程度で怖がっていては、この先思い遣られますよ?」

 

「「ぐっ……」」

 

 

 まさかコトミにそんなことを言われるとは思っていなかったので、私と会長は悔しさに押しつぶされそうになる。

 

「はい、スズ先輩が操作してみてください」

 

「えっ、私が?」

 

 

 コトミからコントローラーを受け取り、私はステージを進んでいく。

 

「わっ。スカートの中まで作り込んでいるのかっ」

 

「最近のゲームって凄いねー」

 

 

 所用で席を外していた七条先輩も戻ってきて、私の隣で会長と食い入るように画面を見ている。タカトシがいれば大人しいが、根本的には変わっていないのだろう。

 

「あれ? 動かなくなった……」

 

「まさか萩村もパンツを見たくて」

 

「羞恥プレイかもしれないよ?」

 

「コトミ! 動かないんだけど」

 

「ん? あぁ、フリーズしましたか」

 

 

 コトミに操作を任せようやく再開した。そして私は疲れてしまったので会長に操作を変わってもらうと、順調にステージを進めていく。

 

「おー、初めてなのに上手ですねー」

 

「まぁ、こんなものだ」

 

「次私ー!」

 

 

 会長から七条先輩にプレイヤーが変わる。さすがにここまでくると敵も強くなってきているのか、何度も攻撃を喰らっている。

 

『きゃっ、あっ、んっ、あっ、あんっ、んん』

 

「初めてなのに連続でダメージを受けると喘ぎ声っぽくなることを理解している!?」

 

「コントローラー取り上げろ!」

 

 

 真面目にやるつもりが無いことが分かったので、私は七条先輩からコントローラーを取り上げ、コトミに渡したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラストステージに到達し、プレイヤーは家事を終わらせたタカトシに変わった。本人はやるつもりは無かったのだが、皆怖がってプレイできなかったのでタカトシに任せたのだ。

 

「(ん?)」

 

 

 よく見るとタカトシの腕を萩村が掴んでいる。余程怖いのか無意識に掴んでいるのだろうだが、何となく面白くないのは何でだろう……

 

「ラスボスだ!」

 

「力が入ってきますね!」

 

 

 淡々と戦うタカトシの隣で、私とコトミが盛り上がりを見せる。そして萩村の腕にも力が入っているのか、タカトシの腕を絞り上げているようになっている。

 

「あっ、終わった」

 

 

 最後まで淡々とプレイしていたタカトシの言葉で、このゲームが終わったことを知らされる。途中から怖くてまともに見れていなかったが、終わってみるとすがすがしくなるものだな。

 

「まぁ、なかなかだったわね」

 

「スズ先輩、殆ど見てなかったじゃないですか」

 

「そんなこと無いわよ! 所詮作り話――」

 

 

 そこで萩村は、タカトシの腕に跡が付いていることに気が付いた。

 

「ぎゃぁぁぁ!? タカトシ、憑かれてる!?」

 

「スズが掴んでたんだろ……」

 

 

 完全に無意識だったようで、タカトシに言われるまで萩村はそのことに気付いていなかったようだ。




やっぱりスズはこd……(小柄な人影が飛来)

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