桜才学園での生活   作:猫林13世

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迷走ではありません


魚見さん、瞑想中

 生徒会作業をしていると、シノっちからメールが届いた。

 

「おっ、シノっちたちは現在江戸体験ツアー中のようですね」

 

「天草さんたちが? ですが何故江戸体験ツアーなんです?」

 

「ほら、桜才学園には今、交換留学生が来てるから」

 

「そういえばそうでしたね」

 

 

 サクラっちが作業をしながら器用に私の携帯を覗き込み、写真を見て何度か頷く。

 

「お土産も期待しておけ、だそうです」

 

「わざわざお土産を用意してくれるなんて、相変わらず会長たちは仲がいいですね」

 

「私とシノっちとの仲だからね!」

 

 

 初めは発情スイッチが同じという共通点からだったが、今ではそんなこと関係なく仲がいいと言い切れる関係だと思っている。

 

「というわけで、これからお返し用のお土産を買いにお出かけしよう!」

 

「お土産目的のお出かけとはこれ如何に……」

 

「青葉っちもユウちゃんも急いで作業を終わらせてお出かけするよ!」

 

「おー、お出かけっすか」

 

「それって全員参加なんですか?」

 

「せっかく全員いるんだし、向こうも+αがいるとはいえ、生徒会でのお出かけみたいだしね!」

 

 

 別に対抗するつもりは無いが、向こうは全員参加でこちらは欠員がいると言うのは何となく負けた気分になる。なので私たちは急ぎ生徒会作業を終わらせ、一度帰宅してから再度集結することにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魚見会長がノリノリでお出かけすると言っていたので、何とかして回避したかったが失敗し、私も結局お土産が第一目的のお出かけに参加する事になってしまった。

 

「というわけで、本日は座禅体験にやってきました」

 

「何で座禅?」

 

「あれ、言って無かったっけ?」

 

「聞いてません」

 

 

 魚見会長のことだから、自分の中で盛り上がりまくって伝えたと勘違いしているのだろうが、少なくとも私は聞いてないない。

 

「会長。森先輩はスカートですし、あぐらを組んだらパンツが見えてしまうのでは」

 

「大丈夫。座禅は煩悩を払う為に行うから、JKパンツが見えたところで誰も気にしないって」

 

「なるほど。良かったですね、森先輩」

 

「何だかパンツを見せる流れになってるようだけど、座禅は正座でも良いんだからね?」

 

 

 青葉さんがズレた慰めをしてくれたので、私はその勘違いを訂正することに。広瀬さんは最初から座禅に興味が無さそうなので気にしてなかったが、よくよく見ると私以外はパンツルックだ。どうやら私だけ伝えられていなかったようだ……

 

「会長、もしかして最初から?」

 

「だって、サクラっちはあまりスカート穿かないって言ってたから……」

 

「ただ『お出かけ』としか言われていなかったので、動きやすい恰好で来ただけです」

 

 

 最初から座禅だと知っていたら、わざわざスカートなんて穿かなかった。

 

「話終わったっすか? もう飽きちゃったんでさっさとやりましょうよ」

 

「飽きるの早くないかな?」

 

 

 広瀬さんは部活関係ではかなり我慢できる方らしいが、他のことにはその能力は一切発揮されない。飽き性なのは分かっていたが、座禅する前から飽きるとは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユウちゃんが急かしたので私たちは早速座禅を組むことに。本来の目的はお土産を探しにだが、せっかく体験できるのだからしておきたかった。

 

「(静かだ……心が洗われていく気分)」

 

 

 普段瞑想しようにも、どうしても途中から妄想になり、そして暴走してしまう傾向があるので、こういった体験は貴重だと言えよう。

 

「(それに、普段はコトちゃんのことが気になり出してそれどころじゃなくなるしね)」

 

 

 タカ君のように意識を完全に切り替えることができるのなら、家で瞑想も出来るかもしれないが、残念ながら私にその能力は無い。

 

「(それに、タカ君みたいな人がそこらかしこにいるわけ無いし)」

 

 

 そもそもタカ君と同じ能力を持てるだなんて思う方がおこがましい。

 

「(何だかコトちゃんの影響を受けてるような気も……)」

 

 

 心の中で自分にツッコミを入れ、意識的に思考を切り替えることに。すると今まで気にならなかったことが気になりだした。

 

「(あっ、お尻に汗かいてきちゃった……今日は白いデニム……ということは汗で透けるかもしれない。このまま立ったらパンツ透けちゃうエロハプ!?)」

 

 

 煩悩丸出しになってしまった私を見抜いたように、肩に喝が入れられる。

 

「(どうして私が煩悩丸出しだって分かったんだろう……もしかして、さっきから私のお尻をガン見してたとか!?)」

 

 

 くだらないことを考えていると、もう一回喝を入れられ、私はもう一度意識して思考を切り替えることに。

 

「(シノっちたちは私がタカ君とお買い物に行くと『抜け駆けだ!』とか文句を言ってくるくせに、自分たちはちゃっかりタカ君とお泊りしてるんですから、これは今度英稜メンバーとタカ君でお出かけするしかなさそうですね)」

 

 

 青葉っちやユウちゃんは、純粋にタカ君のことを尊敬してるようだが、私やサクラっちは違う。異性として意識していると言い切れるだろう。

 

「(義姉弟での関係も悪くないし……)」

 

 

 またしても煩悩丸出しな思考になってしまい、私はもう一度喝をいただいたのだった。




しっかりと煩悩を払わないと

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