桜才学園での生活   作:猫林13世

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再びアレを装着するシノ……そして新刊発売です!


さりげない仕草に

 冬休みも終わり、我々生徒会はますます忙しくなってきた。

 

「最近肩こりが酷くてな」

 

「えっ? シノちゃん肩凝るほど胸あったっけ?」

 

「……デスクワークで凝ってるんだ!」

 

 

 アリアの天然毒に若干のダメージを負いながらも、私は何とか返事をした。

 

「まぁ大変だもんね~。私が、もんであげようか?」

 

「えっ、胸を!?」

 

「肩だよ~。シノちゃんの胸は自分で揉んだら~?」

 

「そ、そうだよな。生徒会室で胸を揉むなど破廉恥な行為は私が許さんからな」

 

 

 津田がジト目で私たちを見ていたが、すぐに作業を再開した。生徒会が何とかなってるのは、津田の功績が大きいだろうな……

 

「じゃあいくよ~」

 

 

 何時の間にか背後に回っていたアリアが、私の肩をもみ始める……これはなかなか。

 

「気持ち良いな。あまりの気持ちよさに、身体が、喘ぎ声を、あげそう、だ……ハァハァ」

 

「本当に出てるよー」

 

 

 津田のツッコミで自分が喘ぎ声を出していた事に気が付く。だが気持ちよくて我慢出来ないな。

 

「そんな時はコレ!」

 

「すぴー」

 

「まだ持ってたのかよ!」

 

 

 二学期にため息防止で使ったものを再び取り出したアリアに、津田がタメ口でのツッコミを入れた。相変わらず津田のタメ口は興奮していかんな。

 

「すぴ~」

 

「アンタも大概にしろよな」

 

 

 さすが津田、私が何て言ったのか理解してるようだ。

 

「おはようございます」

 

「萩村、何処行ってたの?」

 

「ちょっと職員室に。それにしても寒いわね~」

 

「そうだな。確かに寒い」

 

「すぴ~!」

 

「そんな事言われても、寒いものは寒いですよ」

 

「すぴ! すぴすぴ~!」

 

「そんな訳無いでしょ」

 

「ねぇ津田、会長は何て言ってるの?」

 

 

 津田にしか分からないようで、アリアも萩村も頭の上に疑問符が浮かんでいる。

 

「いや、寒いというから寒いんだって」

 

「ん~……エロス、エロス、エロス! ……エッチな気分にはならないね~」

 

「すぴ~~、すぴすぴ!」

 

「いや、自分の意見に自信を持ってくださいよ……」

 

「だから何て言ってるのよ……」

 

「前言を撤回するって」

 

 

 津田が居てくれれば、私はしゃべらなくて良いんじゃないだろうか。

 

「そんなところで楽しようとしないでください」

 

「すぴ!?」

 

 

 さすが津田だな。読心術もバッチリだ。これなら本当にしゃべる必要が無くなるのではないだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、職員室に用が出来たので会長と二人で横島先生を訪ねた。もちろん今日はおかしな物を咥えてない。

 

「横島先生……如何かしたんですか?」

 

「ちょっとね……」

 

「風邪ですか?」

 

「そうね……食欲も湧かないし、性欲も湧かないし」

 

 

 何故その二つが同列で? だがあの横島先生がねぇ……

 

「重症だな」

 

「そんな時はお尻にネギを刺すと良いらしいよ~」

 

 

 何処からか現れ、また何処からか持って来たネギを掲げている七条先輩に、珍しい人がツッコミを入れた。

 

「医学的根拠ないでしょ、それ」

 

「本当にマズイな」

 

「すぐに病院に」

 

「あの、俺風邪薬持ってるので、とりあえず気休めにどうぞ」

 

 

 ポケットから薬を取り出し横島先生に手渡す。この人、体調悪いと常識人になるみたいだし、負担が減ると考えればこのままにしておくのが一番だが、なんか調子狂うんだよね。

 

「まさか横島先生がツッコミを入れるとはな」

 

「ビックリしてちょっと漏れちゃったよ~」

 

「それは無い。絶対に無い」

 

「遅れました……如何かしたの?」

 

 

 別行動をしていた萩村が合流してすぐに俺を気遣う。結局負担は減ることが無いんだなと思った瞬間だった。

 

「それじゃあ俺たちはクラブの見回りにいってきます」

 

「あっ、それじゃあコレ園芸部に返してきて」

 

「園芸部のネギだったのかそれ……」

 

 

 七条先輩からネギを受け取り、萩村と二人でクラブの見回りに出かける。

 

「津田、そのネギは何に使ったの?」

 

「ああ、実は……」

 

 

 萩村に事情説明すると、納得したように何度も頷く。萩村も大分耐性が出来てきたな……

 

「確かに今は風邪が流行ってるものね。コトミちゃんに気をつけるように言っておいてね」

 

「大丈夫だろ。アイツが風邪引いたなんて、俺の記憶では無いからな」

 

「そうなの? 健康なのね」

 

 

 いや、如何だろう……何とかは風邪引かないとも言うし……

 

「やっ!」

 

「畑さん」

 

「実は私も風邪引いちゃった」

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 畑さんがマスクしてるのを見ると、何となく変な感じがするな……日夜スクープ目指して張り込みなんてしてるから風邪を引いたんだろうか?

 

「でもこれはマスコミの性よね」

 

「マスコミ? 風邪とマスコミって何か関係あるんですか?」

 

「流行りものに弱い!」

 

「……これって上手いのかしら?」

 

「とりあえず、愛想笑いしとこ」

 

 

 畑さんのよく分からないボケに、俺と萩村は揃って愛想笑いを浮かべた。だってそれ以外に反応しようがなかったし、ホントに風邪を引いてるのでさすがに殴って終わらせる事も出来なかったからだ。

 

「あら、津田君……クシュン」

 

「五十嵐さんも風邪ですか?」

 

「違うと思うけど……クシュン」

 

「ちょっと失礼しますね」

 

 

 五十嵐さんのおでこに手をあて、自分との差を測る。ちょっと熱いか?

 

「微熱ってところでしょうか。一応家に帰ったら体温計で熱を測る事をお勧めします」

 

「そ、そうね……」

 

 

 何だかますます赤くなってるような気が……やっぱり風邪が流行ってるのだろうか?

 

「萩村、何で頬を膨らませてるんだ?」

 

「別に、何でもないわよ」

 

「何でもない訳ないだろ。いきなり膨らませたら何かあったって思うのが普通だろ」

 

「じゃあ何かあったんじゃない? 自分で考えてみたら」

 

 

 何で若干怒ってる風なんだろう……俺、何か怒られるような事したかな……

 その後も萩村の機嫌が直ることなく、何となく居心地が悪いままクラブ活動を見回ったのだが、ホントに何をしたんだろう……ぜんぜん思いつかないんだよな……




スズが明らかにカエデに嫉妬してます。

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