桜才学園での生活   作:猫林13世

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柔道部メインで


見学のムツミ

 今日は休日だけど柔道部の活動があるので、私は朝から学校へ行くために早起きをしようとして――

 

「遅刻だー!」

 

 

――盛大に寝坊した。

 

「何してるんだ、お前は……」

 

「タカ兄、何で起こしてくれなかったの!?」

 

「自分で起きる努力をしろって言っただろ。前にも言ったが、高校生にもなって自力で起きられないなんて情けない」

 

「小言は良いから、水筒ちょうだい!」

 

 

 タカ兄から水筒を受け取って猛ダッシュで学校へ向かう。普段なら電車を使って行くのだが、電車では間に合わない時間なので走っていく事にしたのだ。

 

「まったく、タカ兄が起こしてくれなかったから大変な目に遭ってるというのに、タカ兄は冷たいんだから」

 

 

 両親不在なんだし、たった二人の兄妹なんだから、もう少し優しくしてくれてもいいのに……

 

「まぁ、甘えまくってるせいでもあるのかもしれないけど」

 

 

 私だってタカ兄に甘えている自覚はある。だがタカ兄がいなかったら桜才に合格できなかっただろう私が、今更タカ兄に頼らずに生活できるわけがない。家事も勉強もタカ兄がいなかったら何も出来ないのだから……

 

「ま、間に合った!」

 

「おっ、コトミだ。先に来て道場の掃除をするとか言ってたが終わったのか?」

 

「な、中里先輩……今から急いで掃除します」

 

「まぁまだ開始時間まではあるから、少し休んでからでも良いんじゃないか?」

 

「いえ、そんな悠長なことをしてる余裕がない程汚れてるので……」

 

「こまめに掃除してるんじゃなかったのか?」

 

「それは……」

 

 

 私一人ではどうしても手を抜いてしまうので、先輩たちが来るというシチュエーションじゃないとこまごまな所は掃除していない。これがタカ兄なら常日頃から綺麗にしているのだろうと思うと、どうして私にはタカ兄のような才能がないのかと愚痴りたくなる。

 

「まぁ、使える範囲が綺麗なら、後は私たちが練習中にでも掃除すればいいだろ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 とりあえず中里先輩からのお咎めは無かったので、私はとりあえず掃除を始める為に道場に向かう。

 

「まずは拭き掃除をしてから乾拭きして……それから換気をしてっと」

 

 

 手順なんて分からないから、とりあえずで掃除しているが、これで本当に良いのだろうかという不安がよぎる。

 

「今度、タカ兄に掃除の手順でも習おうかな……」

 

 

 その前に勉強しろとか言われそうだから、素直に聞きにくいんだよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドタバタとしていたコトミだったが、何とかムツミが到着する前に練習範囲の掃除は終わらせたようだ。

 

「やっほ」

 

 

 隅っこでコトミがバテている中、少し遅れてムツミがやってきた。

 

「そのジュース、どうしたんだ?」

 

「登校中に献血をやっていたからしてきたんだ。そうしたらサービスしてもらった」

 

「偉いねー」

 

 

 特に考えることなく人助けできるのが、ムツミの良いところだろう。だがこいつは何の為に学校に来たと思ってるんだろうか。

 

「献血の後って運動しちゃダメじゃね?」

 

「あっ!?」

 

「やっぱり考えてなかったのか……」

 

 

 これくらいの知識なら私だって持っているんだ。ムツミだって当然知っていただろう。だがやはり考えなしだったようで、ムツミはその場にガックリと膝を突く。

 

「とりあえず荷物置いてくる……」

 

 

 何とか立ち上がり更衣室に移動するムツミ。何だか可哀想だが、こればっかりは仕方が無いだろう。

 

「あーあ、今日は見学かー」

 

「そう言いながら、何で道着着てるんだよ?」

 

「気分だよー」

 

 

 見学だけなら制服のままでいいはずなのに、ムツミはしっかりと道着に着替えている。

 

「んなこと言って、ちゃっかり練習に参加する気じゃないの?」

 

「大丈夫ですよ」

 

 

 さっきまで隅っこでバテていたコトミが、何故か自信満々に声を掛けてくる。

 

「何か秘策でもあるのか?」

 

「主将にはアンダーシャツ着せていませんから」

 

「スースーする」

 

「(結構スパルタだな……この辺はさすが津田君の妹という感じなのか?)」

 

 

 彼もかなりのスパルタだから、その妹のコトミが多少スパルタでもおかしくはないのだろうが、アンダー無しの道着は少し動いたら中が見えてしまうのではないだろうか……

 

「というかコトミ、残りの掃除はどうしたんだ?」

 

「こ、これからしようと思ってたところです」

 

「何だったら手伝うよ? ただ座ってるのも暇だしね~」

 

「それはありがたいですけど、主将がはだけたタイミングで男子生徒が道場にやってこないとも限りませんので、主将は大人しくしててください」

 

「男子生徒って、今日は休日だしいないんじゃないの?」

 

「いえ、タカ兄が後から生徒会作業の為に登校してくるでしょうから、タカ兄に見られたいのでしたら主将にも手伝ってもらいましょうか」

 

「えっと……止めておこうかな」

 

「というかコトミ、掃除はマネージャーの仕事なんだからしっかりやれよな」

 

「分かってますよ……というわけで、主将の監視をお願いします」

 

「任せろ」

 

 

 ムツミのことだからアンダーシャツ無しでも動き回れそうだしな……コトミの言う通り、監視は必要だろう。




鬼畜なのは兄譲り
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