桜才学園での生活   作:猫林13世

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700話目らしいです


取材対象の条件

 本当ならタカトシと荷物運びの予定だったのだが、ネネが不用品を持ち込んでいると畑さんから報告があったので、私はロボ研の部室に来ている。

 

「ネネ、あれほどフィギュアを持ち込むなって言ったでしょうが!」

 

「ゴメンなさい! なので処分だけは何卒……」

 

「怒られるって分かってるんだから、最初から持って来なければ良いでしょうが」

 

 

 私よりタカトシが怒った方が効果があるだろうけども、私一人で荷物運びをしたって作業が滞るだけだ。なのでタカトシにそちらを任せて、私がネネのお説教役になったのだけど、イマイチ効果があるのかどうか分からない反応なのよね……

 

「でも、何でスズちゃんにバレたんだろう……最近は遊びに来てなかったよね?」

 

「あぁ、それは畑さんから報告があったのよ」

 

「畑先輩から?」

 

「あの人、最近色々とやらかしてるから、少しでも点数稼ぎをしておこうとか思ってるんじゃないの?」

 

 

 この前は七条家に忍び込もうとしていたとかなんとか……実行されることは無かったので実害はないのだけども、考えが相変わらずぶっ飛んでるのよね……

 

「そういえばこの前、畑先輩にインタビューされた時に見られたんだっけ……」

 

「インタビュー? ネネに?」

 

「今後のロボ研発展の為って言われて」

 

「何か裏がありそうね……」

 

 

 あの人が純粋に取材することなんて無いと思っているので、私は何か企みがあるのではないかと思考を巡らす。

 

「あっー!」

 

「っ!? な、なによ」

 

 

 考えに集中していたところにネネが大声を出すものだから、私は何時も以上に大袈裟に反応してしまった。決して、ネネの大声に驚いたのではなく、意識を他のことに割いていたから驚いただけだ。大声が怖いとか、そういう子供っぽい理由ではない。

 

「私のフィギュアに虫が」

 

「虫?」

 

 

 ネネに言われてフィギュアに視線を向ければ、確かに虫が止まっている。私では処理できないが、ネネなら自力で出来そうだし問題は無さそうね。

 

「………」

 

「? ネネも虫ダメなの? 何ならタカトシを呼ぶけど」

 

 

 これくらいで呼ぶのはどうかとも思うけども、私もネネもダメなら仕方が無いだろう。会長や七条先輩も虫は苦手だったし、後はタカトシくらいしか思いつかないし。

 

「ムシ姦っぽくて見惚れてたんだよ」

 

「君はたくましいなぁ……でも、さっさと片付けないなら没収して七条グループの伝手で売ってもらうから」

 

「それだけは平にご容赦を!」

 

 

 そんなことを本気でするわけ無いのだが、これくらい脅せば今後は持ち込むことはしないだろう。決して私が虫が怖いからとか、そう言った理由で片づけを急かしたわけではない。断じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒会室に入ると、何故か畑が陣取っている。隣で古谷先輩が携帯に向かって何か話しかけているので、恐らくはテレビ電話中なのだろう。

 

「はー楽しかった」

 

「誰と電話してたんです?」

 

「電話? ワイドナショー見てただけだよ」

 

「テレビに話しかけてたんですか」

 

 

 ウチのお母さんと同じようなことをしている先輩に、少し首をかしげたくなる。だがこの人の感性は昔から同年代というより、だいぶ上だったからな……これくらいはあるのだろう。

 

「それで先輩と畑はここで何を?」

 

「ちょっと津田君に用事があったから待たせてもらってるんだよ」

 

「タカトシに?」

 

「この間借りた辞書を返しに来たんだよ」

 

 

 私が何を考えたのか、的確に見抜いて安心させるような言葉をくれた古谷先輩。だがニヤニヤしてるのを見るに、私を気遣ったのではなくからかったのだろう。

 

「そ、それでは畑は何をしに生徒会室に?」

 

 

 このまま古谷先輩の相手をしていたらマズいと直感し、私は無理矢理話題を変えることに。

 

「実は、最近良い取材対象がいないのです。なので生徒会の皆さんにご相談をと思ってきたのですが……古谷先輩がいらっしゃったので少しお話をしていました。ところで、何故今天草会長は慌てたんですかね?」

 

「そ、それは……」

 

 

 畑に滲みよられ、私は答えに窮した。何とかして誤魔化さないとからかわれる未来しか見えないぞ……

 

「は、畑の言う良い取材対象って具体的にはどんな相手だ?」

 

「何だかうまい具合に逃げられた気もしますが、相談しに来たのは確かですから誤魔化されましょうか」

 

 

 完全には躱しきれていないようだが、とりあえずは凌げた。

 

「叩けば埃が出る人とか良いですよね。津田先生のエッセイばかりだと思われがちですから、ここらで桜才新聞はエッセイだけではないという感じにしておきたいので」

 

「そんな人いるか?」

 

「シノちゃんとか良いんじゃない?」

 

「アリアっ! って、私は叩いても埃は出ないぞ」

 

「えっ? 叩くと誇りが出ていく人じゃないの?」

 

「私は暴力に屈しないぞ!?」

 

「でも、相手がタカトシ君だったら?」

 

「……すぐに屈しそうだ」

 

「そんなんじゃ記事になりませんよ」

 

「そうだな。ほとんどの女がそんな感じだろうしな」

 

 

 私たち三人が笑い合っていると、古谷先輩が私たちの背後に声を掛けた。

 

「津田君、これ、ありがとうな」

 

「いえ」

 

「つ、津田……いったい何時から……?」

 

「さて、何時からでしょうね」

 

 

 素敵な笑みを浮かべているタカトシを見て、私たち三人は揃って震えあがったのだった。




この後説教コース直行だな……
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