桜才学園での生活   作:猫林13世

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後半頑張った……


バイト初日

 柔道部に呼ばれて俺と萩村は武道場に向かう事になった。ちなみに会長と七条先輩も来るらしいのだ。

 

「でも何で呼ばれたんだろう?」

 

「何でも決意表明するから見届けて欲しいらしいわよ」

 

「そうなんだ……」

 

 

 三葉の事だから俺たちに聞かせる事で怠けられなくなる状況を作り出すつもりなんだろうな。そんな事を考えながら歩いていると、一年生の視線が萩村に向けられているのに気がついた。恐らくは萩村の容姿から年上だとは思えないのを何とかして納得してるんだろうな……日本に飛び級制度は無いぞ。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、萩村は模試受けるの?」

 

「全国模試?」

 

「うん」

 

 

 大学受験なんてまだまだ先だと思ってたけど、二年になるとそういった事も考えなければいけなくなるのだ。

 

「無料で受けられるらしいし一応は受けようかと思ってるけど、津田は如何するの?」

 

「萩村が受けるなら俺も受けようかな。その前にバイトの面接があるけどね」

 

「何処でバイトするの?」

 

「とりあえずは接客業をしようと思ってる。就職しても営業とかだろうから対人スキルでも身につけようかなって」

 

 

 社会勉強には丁度良いだろうし、コトミのバカ話に付き合うよりかはよっぽど有意義な時間の使い方だと思うのだ。

 

「私もバイトしようかな」

 

「萩村も? でもウチと違って萩村の家は一人っ子だし共働きって訳でも無いだろ? 留学資金捻出も俺よりかは楽だろ?」

 

「それでも頼りっぱなしってのもね」

 

 

 萩村といろいろ話していたら武道場へと到着した。萩村もやっぱり考えてるんだな。

 

「遅かったな」

 

「スズちゃんと津田君が二人で何処かに行っちゃったのかと思ってたよ~」

 

「すみません、ちょっと話しながら来たもので。それで三葉、決意表明って?」

 

「このたび我が柔道部は部員も増えまして、本格的に全国制覇を目指そうと思ってるの。だから此処で生徒会の皆さんにも私たちの決意を知ってもらおうと思ってね」

 

 

 まぁ意気込むのは良いけど、全国制覇って随分と大きな目標だな……

 

「言うだけなら誰にも出来る。だが三葉なら達成出来ると私も思うぞ! 頑張れよ」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

「じゃあ少し見学してから我々は生徒会室へと戻る事にしよう」

 

「そうだね~」

 

 

 こうして三葉の決意表明とやらは終わり、俺たちは武道場の隅で正座して練習を見学する事になった。

 

「ねぇ、これって私たちにしなくても良かったんじゃ無い?」

 

「気にしたら負けだよ……」

 

 

 俺も思ったけど口にしなかったんだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十分ほど見学して、我々はそろそろお暇する事にした。だが……

 

「ふぉぉ!?」

 

「会長? どうかしましたか?」

 

「足が、性感帯の様に……」

 

「痺れたって言いなさい」

 

 

 津田がツッコンでから私に手を差し伸べてくれた。こう言ったことを自然に出来るから津田はモテるんだろうな。

 

「? 俺の顔に何かついてますか?」

 

「別に何でもない!」

 

「? 何なんです?」

 

 

 津田が不思議そうに首を傾げたが、すぐに興味を失ったのかスタスタと先に行ってしまった。残された私とアリアと萩村は追いかけるのが普通だったんだろうが、アリアと萩村がつまらなそうに頬を膨らまして私を見ていた。

 

「何だいったい」

 

「シノちゃん、津田君に見蕩れてたでしょ」

 

「そもそも足痺れてませんよね?」

 

「ッ!? 何の事だ?」

 

 

 津田に心配してもらいたくて演技したのがバレたのか? それともこれが世に言う女の勘というヤツなのだろうか。

 結局アリアと萩村に冷たい視線を向けられながら生徒会室に戻り、その光景を見た津田が再び首を傾げる事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日はバイトの面接という事で近所のファストフード店に来ている。あまり利用した事は無いが家から近く行き帰りに運動がてら走れそうなのもこの店を選んだ一つだ。

 

「えっと君が今日面接の……」

 

「津田タカトシです、よろしくお願いします」

 

「はいよろしく。早速だけど今からシフトって入れる?」

 

「はい?」

 

 

 これってアルバイトの面接なのか? いきなりシフトに入れと言われても……まぁ用事は無いんだが。

 

「実はかなりの人手不足でね。さっき面接した子も今日出てもらってるんだよ」

 

「そうなんですか……大丈夫ですけど、戦力として期待されても応えられるか如何か……」

 

「大丈夫、人手不足だけど今居るクルーは経験豊富だから」

 

「そうですか。じゃあ大丈夫です」

 

 

 先輩がしっかりしてるなら大丈夫だろうし、見たところそれほど忙しいって感じはしないしな。

 

「じゃあ早速頼むよ。えっとサイズはLで大丈夫だよね?」

 

「はい」

 

 

 制服を渡され早速着替えて店に出る事になった。店長に連れられて先輩のところに行く事になった。その先輩と言うのが……

 

「魚見さん?」

 

「あら、津田さんじゃないですか」

 

「それに森さんも……」

 

「何だ、三人共知り合いなの? じゃあ大丈夫だね」

 

 

 いや、何が大丈夫なのか俺にはさっぱり……

 

「魚見くん、もう一人の新人君だ。しっかり教育してくれたまえ」

 

「えっと……もう一人の新人って森さんだったんですか?」

 

「えぇ……二年生になりいろいろと物入りでして」

 

「まさか同じところでアルバイトする事になるとは……」

 

 

 バイトの先輩が魚見さんってのがちょっと心配だけど、こんな場所でもふざけるなんて事は無いだろうな。

 

「私は二人の指導係ですので、此処では女王様と……」

 

「「こんな場所でまでボケるな(ないでください)!」」

 

「おぉ! 見事なツッコミ。これなら魚見くんを止められるかもしれないな」

 

「「えっそっち?」」

 

 

 店長が俺と森さんに期待してるのは魚見さんの暴走を止める事が第一だったようだ……

 

「それじゃあ津田さんと森さん、まずはレジ操作から教えますので」

 

「分かりました」

 

「お願いします」

 

 

 その後は真面目にレジ操作を教えてくれた魚見さん。だけど隙あらばボケようとするのは何とかならないのだろうか……

 初日という事もあり、今日は三時間で帰る事になった。まぁコトミの晩飯の支度とかあったから正直ありがたい。

 

「では森さん、また今度」

 

「そうですね、また次回もよろしくお願いします」

 

 

 魚見さんにツッコミを入れるのも大変だけど、英稜の生徒会は会長だけだからまだ良さそうだよな……ウチのは書記もボケるし、役員では無いけども新聞部の部長とかロボ研の部長とかも居るからな……今度の交流会でその事を聞いてみよう。




ウオミーのついでに森さんも同僚にしちゃいました。

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