桜才学園での生活   作:猫林13世

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花粉症ではないけど、辛そうだってことは分かる


鼻水の原因

 最近何だか鼻がムズムズする。出島さんに相談すると、風邪か花粉症だと言われ、特に熱っぽさは無いから花粉症だろうと結論付けた。

 

「お嬢様も本格的に花粉症デビューですか」

 

「前から疑わしいかなーって思ってたけど、ここまで辛くなかったからね」

 

 

 以前からこの時期になると鼻がムズムズしたり、目がかゆくなったりとあったけども、ここまでではなかった。だが最近は鼻水も止まらないしくしゃみも出るし、目がかゆくて仕方ない時も出てくる。これは完全に花粉症だろう。

 

「鼻水は辛いな」

 

「そういうときはワキにペットボトルを挟むと楽になるらしいですよ」

 

 

 そう言ってペットボトルを差し出してくる出島さん。私はそれを受け取ってワキに挟む。

 

「あっ、心なしか楽になったよー。ありがとう、出島さん」

 

「お嬢様、そろそろ出発のお時間です」

 

 

 橋高さんに言われ時計を見て、私は急いで支度する為に部屋に戻る。その背後で――

 

『そしてお嬢様のワキに挟んだペットボトルの水は美味しい気がする』

 

『何をしていらっしゃる?』

 

 

――出島さんに渡したペットボトルの水を美味しそうに飲んでいるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パリィと将棋を指していたが、意外と白熱した勝負になっている。初めは接待でもしようかと思っていたのだが、少しでも気を抜けば一気にやられるような雰囲気があったので、私も全力で指しているのだが、互いに決め手に欠けている状態だ。

 

「そろそろケリをつけてくださいね。もう下校時間ですよ」

 

 

 萩村に言われ時計を見ると、意外と時間が経っていたことに気付かされる。まさかここまで集中して将棋と向き合う日が来るとは……

 

「で、アリアは何をしているんだ?」

 

「だってスズちゃんが『蹴りつけて』って言ったから」

 

「誰が蹴れと言ったっ! ケリをつけろって言ったんですよ!!」

 

 

 最近愉快な聞き間違えが減ってきていたと思っていたのだが、アリアは盛大に聞き間違えをしているようだった。

 

「ところで、タカトシは何処に行ったんだ?」

 

「タカトシでしたら、会長とパリィが将棋を指し始めた後に五十嵐先輩に呼ばれて新聞部に。どうやら畑さんが職員室を張り込みしているらしいということで真意の確認に向かいました」

 

「職員室に? 何か面白いネタでも入ったのか?」

 

「いえ、そう言うのはまだ分かりません。ですが、不正があるようなら問題にするでしょうね」

 

 

 ただでさえ最近怪しい動きが目立つ畑だ。ここにテスト問題の窃盗などという疑惑が加わればあっという間に停学、最悪の場合は退学処分になるだろう。

 

「三年間一緒に学園生活を過ごした仲間がいなくなるのは寂しいが、アイツがいなくなれば平和になるのも事実だしな……」

 

「そうですね」

 

 

 実際ここにいる面子は――パリィは兎も角――畑に恥ずかしい写真を撮られまくっている。例えば私は生徒会室でバストアップ体操をしていた場面だったり、萩村は毛糸のパンツを履いているところだったり、アリアは昔のノーパン時代のギリギリのアングルだったりと。

 最近はタカトシの監視の目が厳しくてそこまで過激な写真は撮っていないようだが、それでも更衣室に隠しカメラだったり、トイレ越しに盗聴だったりと、かなり危ないことはしているので、ここにもう一つでも疑惑が乗っかれば、さすがに庇いきれないだろう。

 

「ところでパリィ。さっきからくしゃみを我慢しているようだが、花粉症か?」

 

「そうなのかなー? でも、昨日まで何でもなかったんだけど」

 

「花粉症っていきなりなるから」

 

「そうなんだー」

 

「私たちも気を付けておかないとな」

 

 

 既にアリアは花粉症だし、コトミもこの時期になると鼻水が止まらないとか言ってティッシュを鼻に突っ込んでたりする。あそこまでのことはしたくないが、花粉症は辛いと聞いているからな。

 

「ん? 私も何だか鼻がムズムズするような気が……」

 

「会長もですか? 実は私もさっきからずっと……」

 

「シノとスズも花粉症?」

 

「いや、そんなわけは……」

 

 

 アリアがいるのでこの部屋の窓は締め切っている。だからこの部屋に花粉が入って来ることはそうそうないと思うのだが、私と萩村は鼻水が出たりくしゃみが出そうになったりと、花粉症の症状が見られる。

 

「とりあえずタカトシに連絡を入れて帰るか」

 

「そうですね」

 

 

 タカトシの方はもう少しかかりそうだということで、私たちは先に帰ることに。

 

「花粉症に効く料理とか調べるか」

 

「さんせー! でも誰が作るの?」

 

「ウチで用意しようか~?」

 

「七条先輩の家か、タカトシに頼むのが確実ですかね」

 

 

 ここで私や萩村が立候補しないのは、決して料理が苦手だからではなく、七条家やタカトシに勝負を売るだけ無謀だと理解しているからである。

 

「では明日な!」

 

 

 解散を宣言して家路についたが、どうもくしゃみや鼻水が止まらない。これは本格的に花粉症になってしまったのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 畑さんの張り込みはとりあえずテスト関係ではなかったので厳重注意で済ませたのだが、その翌日には別の問題が発生していた。

 

「シノ会長とアリア先輩、スズが風邪でダウン。おまけにパリィも……」

 

 

 昨日生徒会室にいたメンバーが風邪をひいたとのことで、俺は数日間生徒会作業を一人でやらなければいけないことになってしまったのだった。今は立て込んでるから終わるかどうか……




タカトシからパリィに感染源を変更しました
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