生徒会に入って、早くも一月が経とうとしているある日、
「本当に可愛かったんだって!」
「あっそ……」
相変わらずの日常を過ごしていた。
クラスメイトとダベリながら休み時間を過ごす。
男子が少ないので、自ずと仲良くなった柳本ケンジ。
女性に対して拘る変人だ。
「何でお前は冷めてるんだよ!」
「お前が熱過ぎるんじゃ無いのか?」
「本当に可愛かったんだって!!」
「そうなんだ…」
如何やら昨日見た女の子が可愛かったらしいのだが、正直如何でも良い。
「顔も可愛かったが、髪をツインにして、服の上からでも分かる巨乳!あれはAAランクだったぜ!」
「ふ~ん…興奮するのは良いが、出来れば俺から離れてくれますか?」
「何で他人行儀なんだよ!?」
「いや、お前と一緒に思われたくないからな」
周りは女子だらけなのだ。
そんな大声で話していれば、注目されるのも無理は無い。
「そう言えば、何処と無くお前に似てたような……」
「俺に?」
もしかしてコトミの事だろうか?
コイツが何処でコトミを見たのかはしらないが、妹がコイツの毒牙にかからないようにしておかなくては…決してシスコンでは無いが、妹がこんなヤツにかどわかされるのは勘弁してほしいからな。
「1年A組津田タカトシ君、至急生徒会室へ来てください」
「タカトシ君、呼ばれてるよ」
「そうだな…」
何故校内放送で呼び出すんだ?
「会長、わざわざ校内放送使って呼び出さないでくださいよ」
「じゃあ如何しろと言うのだ?わざわざ教室まで呼びに行けと言うのか?」
「校内放送するよりは楽でしょ。その場で用件も言えますし」
「生徒会の用を他の生徒に聞かせる訳にはいかない!」
「なら昨日言ってくれればよかったじゃないですか」
「今朝思い出したのだ!」
「はぁ……」
こう言った時、携帯の校内使用禁止って校則は面倒だよな…
「なら今度からは君の下駄箱に手紙を入れておこう」
「誤解されそうなので、別の案でお願いします」
「それじゃあこのピンク○ーターを!」
「何のイジメですか!!」
「兎に角、昼休みに生徒会室に来るように!」
「はぁ…」
それだけなら教室に来たほうが早いでしょうが……
そして昼休み。
生徒会室には既に俺以外の役員が揃っていた。
「遅かったわね?」
「お茶買いに行ってたから、皆さんもどうぞ」
「おお、済まないな」
「津田くん、ありがとね」
「アンタにしては気が聞くわね」
「アハハ…」
最後の一言が余計だったが、此処は良しとしよう。
「それで会長、何の用で生徒会室に呼んだんですか?」
「ああ。来週の高総体の事でな。行事があると忙しくなるからこうして昼休みも使う事にしたんだ。まったく祭りがあると大変だな…」
「俺は祭り、好きですけどね」
授業は無くなるし……
別に問題なく付いて行けているが、やっぱり勉強は好きじゃ無いのだ。
「会長は学園のイベントで好きなものは無いんですか?」
「う~む……」
そんな考え込むほどの質問じゃ無いんですが…
「学校を遅刻しまいと走って、曲がり角で運命の人とごっつんこ」
「パンを咥えてが抜けてるわよ」
「怪我しますよ!」
「萩村、そのツッコミは適切ではない……」
恐らくギャルゲーのイベントなんだろうが、良く分からないのでスルーした。
「そう言えば、この近くに雉が居るんですよね?」
「そうね」
「小中学校では学校で動物飼ってましたけど、さすがに高校じゃ居ませんね」
「私としてはありがたいわね」
「何で?」
「動物嫌いだから」
「へぇ~…」
萩村、動物嫌いなんだ……
「も~う!スズちゃんはツンデレなんだから~!」
「何故そうなるんですか?」
今の話題の何処にツンがあった?
「良く動物がプリントされてるパンツはいてるじゃない?」
「その口閉じろーーーーー!」
……聞かなかった事にしよう。
それが一番安全だ。
翌日の昼休み。
再び生徒会室に集まって企画を考えながら昼食をとる。
「会長の弁当は自分で作ってるんですか?」
「ああ」
「本当に何でも出来るんですね」
弁当を作るのが面倒で、ウチの親は冷凍食品や昨日の余りモノを入れている。
「そうだな、口だけの安い女になりたくないからな」
「そう言うものですか」
「だが、お高くとまっても鼻について嫌な感じだから、と言うわけで手ごろな女を目指している」
「結局安っぽくなってますよ……」
「ねえねえシノちゃん」
「何だ、アリア」
「鼻につくって、何だかエロスじゃない?」
「そうだな!」
「何故そう思えるんだ!」
「萩村の弁当はお母さんの手作り?」
「まあね、昨日の残りだけど」
「俺も同じだよ。弁当なんて普通はそんなもんだよな」
「そうだね~私も昨日の残りだよ」
七条先輩の箸に挟まれているのはステーキ……それも結構分厚い。
やっぱ金持ちって食ってるものも俺たちとは違うんだな~……
放課後、資料を戻すために会長と職員室に向かう。
「会長って何でも完璧にこなしますよね?失敗なんてした事無いんじゃないですか?」
「そんな事無いぞ。私だって失敗の1つや2つくらいあるさ」
「へぇ~」
どんな失敗なんだろうか?
もしかして下発言か!?
「あれは中学の英語のテストだった」
「テスト?」
テストの失敗って、解答欄をズラして書いてしまうあれか?
「鉛筆のスペルがシャーペンに書いてあってな。カンニングをしてしまった戒めとして、空欄で出した」
「それって会長悪くないよね!」
偶然の産物なんだし、回答しても良かったんじゃないだろうか…
そもそも会長は答え分かってるんだし…
翌日の生徒会室。
如何やら昨日七条先輩が誰かに付けられてたらしい。
まあ、結局は勘違いだったらしいが…
「背後から近づいてくる足音ってドキドキするよね」
「そうですね」
「アンタもそんな事あるの?」
「俺だって部屋でオ○ニーしてる時に近づいてくる足音にはドキドキするさ!」
「………」
「何考えてるのかしりませんが、俺はそんな事言いませんからね!」
「何を言わないのかな~?」
「ちゃんと言ってくれなきゃ分からないよ~?」
「良く分かりませんが、このやり取りって立ち位置逆じゃないですか!?」
こうしてまた、無為に昼休みが過ぎていく……
次回あの人が登場。
ネタも仕込みたいと思ってます