桜才学園での生活   作:猫林13世

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中間試験の結果発表です


勉強の結果は…

 いよいよ明日は高校に入って初めてのテスト……何だけど、私は今自分の部屋で必死に勉強している。

 本当ならみんなと一緒に勉強したんだから安心だと思えるはずだったんだけど、勉強会の途中からシノ会長やアリア先輩、そして魚見さんと盛り上がってしまいろくに勉強してなかった事にさっき気が付いてタカ兄に泣きついたのだ。

 

「何で俺がここまで面倒を見なければいけないんだ? 自業自得だろ?」

 

「仰る通りです……」

 

 

 現時刻は午後の十一時。つまり殆ど時間が無いのだ。

 寝ようとしていたタカ兄に泣きつき、何とか勉強を教えてもらえるように頼み込んだのがほんの数分前。一日何か忘れてるような気がしていたのは、勉強を全然してなかったという事だったのだ。

 

「さっさと勉強しろ。範囲はそこじゃないだろ」

 

「タカ兄、何で一年の範囲を知ってるの?」

 

「八月一日さんと時さんの勉強を見てたんだ。それくらい知ってて当たり前だろ」

 

 

 マキとトッキーは順調にタカ兄とスズ先輩に勉強を教えてもらってたし、シノ会長たちは元々成績優秀だから今になって慌てる事は無いんだろうな……一緒にふざけてたのに不公平じゃないか……

 

「補習になんてなっても知らないからな」

 

「そんな事になったらお母さんに殺される……」

 

 

 そんな事は無いだろけども、間違いなくお小遣いは減らされてしまう。最悪タカ兄みたいにバイトして稼げとか言われそう……

 

「あっ!」

 

「ん?」

 

「いや、何でもないです」

 

 

 バイトなんてしたら勉強の時間がなくなっちゃうとか言えばいいんだと思ったけども、すぐ隣にバイトしてても勉強時間を確保している兄が居た事を思い出した。まぁ私とタカ兄じゃスペックが違いすぎるから比べ物にならないんだけどね。

 

「そこ、間違ってるぞ」

 

「え? そんな事ない……あれ?」

 

 

 初めてのテストまで、もう半日も残ってない。タカ兄に見捨てられてたら、私は現実逃避の為にノンストップでオ○ニーをしていたに違いない。さながら半年前の模擬試験前日のようになっていただろう。

 

「お前……本当に勉強会で何も聞いてなかったんだな」

 

「スミマセン……」

 

 

 タカ兄に蔑みの目で見られ、さすがに興奮する事もなく素直に謝った。だってタカ兄はマキやトッキーにはしっかりと教えてたし、私もやる気を出していたら今頃はぐっすりと寝られてたに違いないのだ。

 

「最低でも二、三時間は寝たいんだが」

 

「頑張ります……」

 

 

 私も徹夜は避けたい。タカ兄がこぼした言葉に、私はそう返すしかなかったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試験なんてものは、あっという間に時間が過ぎてしまうものだ。気が付けば全日程は終了しており、今日はその結果が貼り出される日なのだ。

 

「試験中にトッキーの悲鳴が聞こえてきたのにはビックリしたわ」

 

「うっさい」

 

「まさか解答欄をズラしてたなんて……ズラすのはスク水の……って今は無いのか」

 

「何の話だ?」

 

 

 コトミのボケにトッキーが首を傾げた。まぁ私も良く分からないけど、どうせろくでもない事を言おうとしたのだろう。

 

「にしても、お前の兄貴に教えてもらったものが殆ど問題に出てた時は驚いたぞ」

 

「津田先輩は昔からどれが出そうか同級生に教えてたみたいだし、その的中率も高かったらしいしね」

 

 

 別の先輩から聞いた話だから、本当か如何かは分からないけども、津田先輩に勉強を教わったその先輩は、その時だけは成績が大幅に上がったらしい。その後は津田先輩も忙しくなって教われなかったらしいので……まぁこの後は先輩の名誉の為に考えないでおこう。

 

「しっかし上位二十人しか載ってないんだろ? 見に行く意味あるのか?」

 

「補習じゃ無い事を確認しにいくんだよ!」

 

「アンタはホント津田先輩に迷惑掛けっぱなしよね……」

 

 

 試験初日、コトミは眠そうな顔をして登校してきたので理由を聞いたら、朝の四時まで津田先輩に勉強を見てもらってたのだ。

 試験前にあれだけ勉強の機会があったのに、コトミは会長たちとふざけていて、最終的には津田先輩もツッコミを入れるのを諦めていたのだ。

 

「そろそろ見えるんじゃね?」

 

「まぁ載ってないだろうけどね」

 

 

 漸く見える位置まで来たので、私たちは上から順に名前を見ていく。当然そこに自分たちの名前が載っているなどとは微塵も思っていないのだが。

 

「あれ、マキの名前じゃね?」

 

「ホントだ……」

 

 

 学年十五位に、私の名前が載っていた。信じられなくて自分の頬をつねってみたが、もちろん夢などではなく現実だった。

 

「マキ、四月くらいに真ん中くらいとか言ってたじゃん! あれって嘘だったの!!」

 

「違うよ……津田先輩に勉強を見てもらったからだと思う……」

 

 

 正直、自分の名前がこんな位置に載っているなんて思ってなかったというのは紛れもない事実だし、私自身が夢なんじゃないかと疑ったほどなのだ。

 

「へぇ、凄いね、八月一日さん」

 

「つ、津田先輩!? 何故ここに?」

 

「結果を見に来ただけだけど……隣には二年、更に隣には三年の結果が貼られてるんだし」

 

 

 言われてから私たちは視線を一年の結果から二年の結果へとズラした。

 

 一位 萩村スズ    500点

 二位 津田タカトシ  490点

 三位 轟ネネ     438点

 

 

 レベルが違いすぎて驚くのも馬鹿らしい結果が、そこにはあった。

 

「今回も萩村がトップか」

 

「でも、アンタだって自己最高じゃないの?」

 

「自信あったんだけどな……やっぱり初日の寝不足が原因かな……」

 

「本当に申し訳なかった!」

 

 

 津田先輩の嫌味を、簡単に流せなかったコトミがその場で土下座をした。その姿を津田先輩と萩村先輩は苦笑いを浮かべて見ていたのだが。

 ちなみに三年生の結果はこんな感じ。

 

 一位 天草シノ    486点

 二位 七条アリア   475点

 三位 五十嵐カエデ  460点

 

 

 もっと比べ物にならないスリートップがそこには居た……二年は萩村先輩と津田先輩のツートップだったけども、三年もレベル高いな……

 

「学年は違うが、遂に津田に負けたか」

 

「生徒会で私がビリになっちゃったよー」

 

「別に気にしなくても良いのでは? 学年も違いますし、例の罰は二十位以下にならなければ良いだけですし」

 

「さすがですねー」

 

「……畑さん、エッセイはお渡ししましたよね?」

 

「私だって結果を見に来ただけですよ」

 

 

 学年十五位で浮かれていた自分が、なんだか恥ずかしくなってきた……自力では無いにしても、もう少し頑張ろうと思った。ちなみにトッキーもコトミも補習にはならなかった。




タカトシが神の領域に入り込んだ……

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