桜才学園での生活   作:猫林13世

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原作よりお客さんが多いですよ


津田家訪問

 夏休みにただただ生徒会の業務だけで集まるのはもったいない、と言う事で今日はみんなで津田の家にお邪魔する事にした。何故津田の家なのかと言うと、英稜の二人も含めた公正公平なる多数決の結果でそうなったのだ。数の暴力では無いぞ、断じて!

 

「ところで、今日は日曜だがご両親は?」

 

「両親は出張です」

 

「なんだかギャルゲーみたいな展開だね」

 

「ギャルゲー? 何の事です?」

 

 

 普段ゲームをしない津田にとって、この表現は分かりにくかったようだ。それにしても、本当に兄妹似てないんだな……方や真面目で誠実、成績優秀で運動神経も抜群に秀でている。方や不真面目でいい加減、成績は低空飛行で運動神経もそれほど良いわけでもない。見た目が似てるから兄妹だと理解出来るが、字だけでみると兄妹だとは思えない差だな……

 

「でも~、私的にはエロゲー的な展開がほしいですね~」

 

「分かるよ!」

 

「分かるな……」

 

「? なぁ萩村、七条先輩とコトミは何で盛り上がってるんだ?」

 

「津田さん、あの二人はですね……」

 

「会長は余計な事言わなくて良いですからね!」

 

 

 ウオミーが説明しようとしたのを、森さんが慌てて止める。この二人も立派なボケとツッコミだな。

 

「両親が不在と言う事は、家事も大変だろう。よし、私たちが手伝ってやろう!」

 

「いえ、今日の分はもう終わってますし、お客さんにやってもらうのは駄目だと思いますよ」

 

 

 クッ、津田の優秀さが憎い! せっかく津田の下着やらを物色するチャンスだと思ったのに……

 

「シノッチ、考えが顔に出てますよ」

 

「シノちゃんだけ抜け駆けはズルイと思うな~」

 

「スマン……」

 

「会長、タカ兄のパンツなら、今干してありますけど」

 

「なにっ!?」

 

「……お前ら、人の家に来てまで何するつもりだったんだ」

 

「「「あっ……」」」

 

 

 まさかコトミが囮だったとは……津田のヤツ、私たちの行動を読むのが上手くなってるな……

 

「じゃ、私はこれで」

 

「待て。お前も余計な事を言った罰だ。ついでに説教してやる」

 

 

 あれ? コトミは囮じゃなかったのか?

 

「そうだな……二時間くらいそこで正座してろ」

 

「それだけ?」

 

「あぁ、それだけだ」

 

「よかった……」

 

「もちろん、微動だにする事は許さないからそのつもりで。トイレに行くなら今のうちにどうぞ」

 

 

 意外と厳しい罰だった……私たち四人は、大人しく二時間正座をし続けたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四人を正座させた津田は、私と森さんと一緒に宿題を進める事にしたのだが、実は私は既に終わらせているのだ。その事を津田に伝えて、私は二人の傍で読書をしつつ、会長ら四人の監視を任された。

 

「やっぱり萩村は凄いね」

 

「何よ急に」

 

「だってこの量をもう終わらせたんだろ? 生徒会の業務とかあるのに凄いって」

 

「私は、アンタみたいに妹の世話や家事なんかをしてないから」

 

「その考え方ですと、同じように生活してる私がなんだか駄目みたいですね」

 

「いえ、森さんはバイトしてるじゃないですか。私はバイトもしてませんし」

 

 

 この前面接に行ったら、年齢詐称とか言われたので怒鳴って帰ってきてしまったのだ。だけどあれは店側が悪い、私は年齢詐称なんてしてないのだから。

 

「今度ウチじゃない何処かに遊びに行く?」

 

「良いわね。夏だし泳ぎたいわね」

 

「泳ぎ……ですか……」

 

「? 森さん、何か不都合でも?」

 

 

 海にするかプールにするかを考えていた私の代わりに、津田が森さんに訊ねる。そういえばこの話題になってから森さんの挙動がおかしかったような……

 

「森っちは泳げないんですよ」

 

「会長! 余計な事言わないでください!」

 

 

 そうだったんだ……でも、森さんでも苦手な事があるのね。

 

「じゃあ山にするか! 夜にみんなで肝試しとか!」

 

「でも、それじゃあスズちゃんが怯えちゃうわよ?」

 

「だ、だ、だ、……大丈夫ですよ?」

 

「萩村、説得力が皆無だよ……」

 

 

 震えながら強がりを言った私に、津田が呆れながらそう言った……だって、怖いものは怖いじゃないのよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二時間正座して、その後でタカ兄のご飯を食べて私たちは今後片付けをしている。

 

「そういえば、台風が近づいてるらしいですね」

 

「そのようだな。どの局も台風のニュースばかりだ」

 

「後は俺がやっておくので、皆さんはそろそろ帰った方がいいのでは」

 

 

 確かに台風が直撃して、電車が止まってしまったらみんな帰れないだろうしね。もうちょっと遊びたかったけども、帰りに支障が出てしまうのは忍びないもの。

 

「大丈夫よ。後で出島さんに車で迎えに来てもらうから。もちろん、シノちゃんたちも一緒に送ってもらえるから安心してね」

 

「なら、この夏休みに遊びに行く計画を練ろうではないか!」

 

「海やプールだと森先輩が駄目で、山だとスズ先輩が夜とか怯えちゃうんでしたっけ?」

 

 

 泳げないのは仕方ないとしても、スズ先輩のは完全に子供だなぁ……

 

「子供って思うな!」

 

「まさか、スズ先輩も読心術を!?」

 

「いや、今のコトミの顔を見れば誰でも分かるだろ」

 

 

 タカ兄が洗い物を終えて私たちと合流してすぐにそうツッコム。相変わらず我が兄は優秀なようじゃの。片割れとして鼻が高い。

 

「心の中でも厨二禁止」

 

「やはり読心術!?」

 

 

 スズ先輩は兎も角、タカ兄は絶対に使えてるよね……何処でマスターしたんだろう?

 

「七条先輩」

 

「ん~?」

 

「迎えに来てもらうにしても、早めに連絡しておいた方が良いですよ? 外、雨とか風とか強くなってきてますし」

 

 

 タカ兄に言われて、アリア先輩は携帯を取り出し迎えを呼ぶ事にした。その間私たちはお出かけの案を出し合っていたのだが――

 

「今車検に出してるんだって~。ビックリだよ~」

 

「……もう電車も動いて無いですよ?」

 

「じゃあお泊りですね~」

 

 

 私が声高にそういうと、シノ会長とウオミー会長、アリア先輩は嬉しそうに、スズ先輩と森先輩は少し恥ずかしそうに、でも心のうちは嬉しそうな表情を浮かべた。

 ただ一人、タカ兄だけは嫌そうな表情を浮かべていたけども、これだけ美人とお泊り出来るんだから、内心は嬉しいんだろうな。って普通の兄ならそう思うのだろうけども、残念ながらタカ兄の場合は嬉しさより先に苦労が押し寄せてくるので本気で嫌がってるのだろうな……なんて残念な思春期男子なんだ。




次回お泊りですね。誰が動くのか……

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